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2024.04.25更新

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リカレント教育とは?リスキリングとの違いや目的について紹介

社会人になってから仕事に必要な知識やスキルを身につける為に、必要なタイミングで教育を繰り返し受けるリカレント教育が注目されています。

リカレント教育とは、社会人の学び直しという意味をもち、社会に出た後にも仕事と教育を繰り返してキャリア形成していくことを表わしています。

この記事では、リカレント教育が必要とされる理由や目的、リカレント教育とリスキリングや生涯教育との違い、リカレント教育のメリットなどについてわかりやすく解説しています。

目次< リカレント教育とは?リスキリングとの違いや目的について紹介>

リカレント教育とは

リカレント教育とは、子ども時代からの学校教育から離れ社会に出た後にも、必要なタイミングで再び教育を受け、「仕事」と「教育」を繰り返しキャリア形成していくことを意味します。

リカレント(recurrent)は、「循環する」「繰り返す」を意味する言葉であり、リカレント教育は、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶために教育を受けることを繰り返すといった意味になります。

リカレント教育については、内閣官房が公開した「人生100年時代構想会議」のなかでも「全ての⼈に開かれた教育機会の確保、負担軽減、無償化、そして、何歳になっても学び直しができるリカレント教育」としてテーマの1つに取り上げられています。
出典:内閣官房 ⼈⽣100年時代構想推進室

また、政府や各省庁もリカレント教育に注目しており、ホームページを通じて情報やガイドラインを発信しています。
出典:政府広報オンライン:「学び」に遅すぎはない! 社会人の学び直し「リカレント教育」

リカレント教育とリスキリングの違い

リスキリング(reskilling)とは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と経済産業省が2021年に公表した資料に記されています。
出典:「経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」

リカレント教育とリスキリングは異なるものです。リカレント教育は、社会に出た後に仕事に必要なスキルや知識を身につけるために、従業員が自主的に大学や専門学校などの教育機関で学び直しすることです。一方のリスキリングは、企業が主体となって従業員に対して仕事に必要となる新しいスキルを身につけるために教育を行っていくことを意味しています。

つまり、リカレント教育が従業員の自発的な学びであるのに対して、リスキリングは企業が従業員に課す教育といえるでしょう。

リカレント教育と生涯学習の違い

リカレント教育は、仕事に必要な知識やスキルを身につけることを目的に学びます。外国語、仕事に役に立つ資格習得、経営・法律・会計、プログラミングスキルなどを繰り返し学びます。
一方、生涯学習は、仕事に限らないことも含めたことの学習を目的に学びます。趣味や文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動など人生を豊かにする、生きがいに通じる内容も学習の対象に含まれます。

リカレント教育が必要とされる理由

社会人の学び直しという意味をもち、教育を受けることを繰り返すリカレント教育が必要とされる背景としては「人生100年時代構想:日本社会の長寿化」と「技術革新の急速な進展」という2つの大きな要因があります。
そういった背景の中で、リカレント教育が必要とされている4つの理由についてご紹介していきます。

  • ライフスタイルの変化
  • 技術革新による社会の変化(Society 5.0)
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)
  • 年功序列・終身雇用制の変化

 ライフスタイルの変化

これまでは、学校で勉強した後には、就職し定年退職まで働き、その後はリタイヤ生活を送るというスタイルでした。しかし、人生100年時代といわれる現在においては、社会に出た後にも仕事に必要な知識やスキルを学校などで学んだり、子育てをしながら働き続けたり、定年後も新たな仕事や事業に挑戦するなど、個々の多様な価値観に沿ってライフスタイルやライフステージも多様化しています。それにより、常に新しい知識やスキルを身につける為に学び続けていくリカレント教育が必要になっています。

技術革新による社会の変化(Society 5.0)

「Society 5.0」は、日本が目指すべき未来社会の姿として「第5期科学技術基本計画」において内閣府から提唱されたものであり、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合したシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会と定義されています。 Society 5.0が目指す社会は、AIやIoT、ロボットなどの最先端技術を活用して、あらゆる人が快適に暮らせる社会を実現することといえます。それには、さまざまな技術革新や市場の変化が発生します。そこで、リカレント教育によって最新の知識やスキルを身につけ技術革新や市場の変化に対応していく必要があるといえます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

DXとは、デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念です。 わかりやすく言い換えると、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するためにデータとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズに合わせて製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務自体や、組織、プロセス、組織風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。 そのDXを推進するには、DXに対応できる知識やスキルをもつ人材確保が必要です。少子高齢化による労働人口の減少やIT需要の急速な高まりが相まって、DX人材の獲得は非常に難しくなっているなか、リカレント教育によって学ぶ必要性が高まっているといえるでしょう。
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年功序列・終身雇用制の変化

従来の日本で一般的であった年功序列制や終身雇用制といった雇用制度は変わりつつあり、企業が人材を採用する際に明確に定義した職務内容や雇用条件に基づいて労働者を採用するジョブ型雇用が広まっています。 このようにジョブ型雇用が広まることによって、仕事に必要な知識やスキルを学校などで学び続けるリカレント教育の必要性が高まっています。

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リカレント教育のメリット

リカレント教育には、企業側と個人側それぞれにメリットがあります。ここでは、3つのメリットについてご紹介します。

  • 従業員満足度の向上と人材流出の防止(企業側)
  • 生産性の向上が見込める(企業側)
  • 専門性の向上と希少性が高まる(個人側)

従業員満足度の向上と人材流出の防止(企業側)

企業が従業員に対してリカレント教育の機会を提供することを通じて、従業員は業務に必要なより深い知識やスキルの習得や、新たな業務に必要な知識やスキルを学ぶことが実現できます。その結果、業務の範囲が広がったり、新たな仕事にチェレンジするチャンスも広がり、従業員の活躍の可能性が高まっていきます。 企業がリカレント教育を支援したり促進することは、従業員の新たな知識やスキルの習得だけにとどまらず、成長機会を設けた会社へのエンゲージメントが高まり、従業員満足度の向上につながるとともに、長期的に働く可能性が高まり人材流出の防止にも繋がります。

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生産性の向上が見込める(企業側)

リカレント教育によって、新しい知識やスキルを身につけた従業員が増えることは、自社の生産性向上に直結します。 従業員一人ひとりが新しい知識やスキルを身につけ、担当業務の専門性を高めたり、新しい業務にチェレンジすることによって、企業全体のパフォーマンス向上が期待できます。また、既存業務の改善やイノベーションの創出も期待できるといえ、リカレント教育は企業全体の生産性向上につながるでしょう。

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専門性の向上と希少性が高まる(個人側)

従業員にとってリカレント教育を受けることは、ビジネスやテクノロジーなど、実務に役立つ新しい知識やスキルの習得とともに、既に持っている知識やスキルのアップデートや深掘りに繋がります。 リカレント教育によるスキルアップや資格の取得は、担当する業務について専門性と希少性を高めることに直結し、現在の職場内や転職時のキャリアアップにつながるといえるでしょう。

リカレント教育に関連する助成金や支援制度

カレント教育は、仕事に必要なスキルや知識を習得するために大学や専門学校などの教育機関で学習を繰り返し行うことであり、教育を受ける際には費用が必要になります。

厚生労働省では、経済産業省・文部科学省等と連携して、学び直しのきっかけともなるキャリア相談や学びにかかる費用の支援など、「事業主による人材育成への支援」と「労働者の主体的な学びへの支援」の両面から取り組んでいます。
出典:「リカレント教育」(厚生労働省)

また、文部科学省の「マナパス」(社会人の学びを応援するポータルサイト)では、約5,000の大学・専門学校等の条件別講座検索、費用支援や職種別の学び直しを紹介する特集ページなどの社会人の学びに関する情報を発信しています。
参照: マナパス

 事業主による人材育成への支援

事業主による人材育成に対する支援についてご紹介します。
出典:人材開発支援助成金(厚生労働省)

人材開発支援助成金

事業主が従業員に対して職務に関連した訓練を実施した場合や、新たに教育訓練休暇制度を導入して、教育訓練休暇を与えた場合に、訓練経費や制度導入経費等の助成が受けられる。

生産性向上支援訓練

事業主のニーズに応じて、講義だけでなくグループワークなど効果的な演習を取り入れて実施する訓練。規模の⼩さな企業でも利⽤しやすいオープンコースも展開しており低コスト受講可能。

企業内のキャリアコンサルティング(セルフ・キャリアドック)

企業内のキャリアコンサルティングの導入に向けて、無料でキャリアコンサルティングや相談支援を受けることが可能。

労働者の主体的な学びへの支援

労働者の主体的な学びに対する支援についてご紹介します。
出典:リカレント教育(厚生労働省)

教育訓練給付金

対象講座を修了した場合に、自ら負担した受講費用の20%~70%の支給が受けられます。

高等職業訓練促進給付金

ひとり親の方が看護師等の国家資格やデジタル分野等の民間資格の取得のために修学する場合に、月10万円(※)の支給が受けられる制度。

キャリアコンサルティング

今後のキャリアなどについて、キャリア形成・学び直し支援センターでキャリアコンサルタントに無料相談が可能。

学び・学び直し促進のための特定支出控除における特例措置

労働者が受講できる公的職業訓練(ハロートレーニング) 希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを無料で習得することができます。

※各種、給付金や支援制度の詳細については、各省庁や自治体のホームページなどでご確認ください。

リカレント教育はインターナルモビリィを促進する

企業はリカレント教育を支援・促進することで、従業員に業務に必要なスキルや知識を習得する機会を提供します。 従業員は元より持っている能力に加え、リカレント教育によって新たな知識やスキルを習得することによって、それに見合うような活躍の場を得るチャンスが広がります。
企業内において従業員の能力に見合うポジションや職務の提供を可能にする人事異動制度はインターナルモビリティと呼ばれています。具体的には、社内公募制度や社内FA制度などにより従業員の希望に沿って異動が行われます。このインターナルモビリティは人材育成に結び付き、企業の成長を根底から支える重要な役割を担うものです。

企業にとってリカレント教育を支援・促進することは、従業員の成長意欲を高めることにつながり、業務に必要なスキルや知識を習得した後には「新たな仕事にチェレンジしたい」「新しいポジションや役割を担いたい」など新しい活躍の場を求めてインターナルモビリティの促進につながります。。

インターナルモビリティによって下記のようなメリットがもたらされます。

・人材の育成と社員のキャリア形成につながる
部署間を横断し、さまざまな業務を経験できる環境を整えることで、多くの知識や技術を習得してもらえます。広い視野と深い見識を持つ社員を育成できる他、社員のキャリア形成にも役立ちます。

・ミスマッチを防ぎ、定着率を上げる
事前に応募条件を提示することで、社員の能力と業務内容のミスマッチを防ぎ、離職する可能性を下げる効果が期待できます。

・社員のモチベーション向上
近年の転職理由事項として急上昇している「スキルアップしたい」「他の仕事がやりたい」などの社員の意向に対して、組織として成長機会を提供できます。モチベーションが上がり、社員がイキイキと働ければ、離職率が下がる結果につながります。

グローバルな人材と企業を育てる!インターナルモビリティの重要性

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監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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