京都に拠点を構える計量包装機器をはじめ「食のインフラ」を支えるメーカー株式会社イシダ。
同社は1893年創業という老舗BtoB企業であり、グループ全体の売上は1,282億円(2018年度)の規模まで右肩上がりで成長し、世界100ヶ国以上でグローバルに事業を展開してきました。
また、2010年には石田隆英氏が新社長に就任。よりチャレンジングで柔軟な組織体制へと進化を続けています。そうした中、2018年1月には新卒採用向けのリファラル採用を導入し、4名が入社決定。さらに同年9月には中途採用にもリファラル採用を取り入れたことにより、6名が入社を果たしています。
順調に事業を拡大してきたイシダが、なぜリファラル採用に注目し、導入したのでしょうか。そして具体的な運用方法について、管理本部 総務人事部 人事課 西村英一氏に詳しく話を伺いました。
株式会社イシダ | |
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従業員数: | 3,688名 (2019年6月現在) |
事業概要: |
計量包装機器メーカー |
管理本部 総務人事部 人事課 西村 英一氏 |
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求めている人材に出会うことが難しくなってきた
まずは、御社の採用状況についてお聞かせください。
西村氏:
当社は新卒採用がメインでしたが、近年は経験者採用も少しずつ増やしています。新卒・中途採用をミックスして、継続的に若くアグレッシブな人材の採用を行っているのが現状です。
採用手法としては、どのような形が多いのでしょうか?
西村氏:
新卒採用に関しては、ナビ媒体や説明会による自由応募や学校推薦が多いですね。中途採用に関しては、人材紹介会社を経由した応募がメインになっています。
採用力については、ここ数年、目標採用数に対して一定人数は採用できるものの、あと少し達成できていない状況でした。採用ルートに多様性がなく、何かを変えない限りは当社が狙う中途採用は到底実現できないと考えています。
採用活動において、御社ではどのような課題を感じているでしょうか?
西村氏:
課題は大きく3つあると認識しています。まず1点目は、売り手市場と言われる中で私たちが求めている人材に出会うことが難しくなってきていることです。また2点目は、求職者の価値観が多様化していることです。プライベートと仕事の両立や勤務地など、求職者の希望はさまざまです。そうした声に合わせて、採用を受け入れる体制作りをしていかなければならないと実感しています。
最後の3点目は、当社の知名度です。私たちは計量包装機器メーカーで、事業のほとんどはBtoB。さらに、本社が京都にあるため、東日本ではネームバリューがほとんどないという状況です。東京での認知度も向上させる必要があると考えています。
恒常的な人手不足が続くなか、特に1点目に挙げられた「求めている人材に出会えない」と感じている企業はとても多いと思います。今回、リファラル採用に取り組まれた背景には、人材との出会いの精度を高めたいといった狙いがあったのでしょうか?
西村氏:
そうですね。リファラル採用の最大の利点は信頼感が高いこと。いわゆるナビ媒体などでマスに向けて求人広告を展開するよりも、確実性がとても高いと感じています。しかも、応募いただくのは社員とつながりがある人なので、仕事内容を把握し、共感してくれているケースが多いです。一般的な採用手法の場合、せっかく応募していただいても「やっぱり何か違う」とマッチしないことも少なくありませんから。リファラル採用は、そうしたギャップが少ないと思います。
ちなみに御社では、最初に新卒採用からリファラル採用を導入しています。それには何か理由がありますか?
西村氏:
もともと新卒採用では先輩から後輩を紹介する文化が少しあったので、リファラル採用制度の活用シーンが想定しやすかったからです。
就職活動中の学生は、部活やゼミの先輩から情報収集することが多くあります。また、ナビ媒体などを使えば一斉に複数社へエントリーできますが、最終的にどの会社に決めるかは「知っている人がいるか」といったアナログな部分が決定打になることもあります。そうした傾向をふまえてアナログ的なつながりを活性化させるために、新卒採用からリファラル採用を導入し始めました。
採用課題の知名度に対して考えても、やはりB2B企業は学生の理解が少ないです。
入口は遠いのですが、先輩の話を聞いたり工場見学で製品を見たりしたら「こんな世界があるんだ!」と一気に志望度が上がることもあります。そのきっかけになることを期待しました。
チャレンジングな風土に後押しされ、効率的に効果を生むMyReferを導入
リファラル採用は比較的新しい採用手法と言えます。御社は、1893年創業という老舗企業ということもあり、導入することに対してネガティブな意見などもあったのではないでしょうか?
西村氏:
確かに当社は、外からは「堅い会社」を思われがちです。実際、ビジネス的にも堅調に推移していますが、実は社内には「挑戦しよう」という空気感が満ちています。さらに、柔軟な考えを持った社員が多いため、あまりネガティブな意見はありませんでした。リファラル採用を取り入れて、社内にMyReferの利用をお知らせした際にも、たくさんの社員が賛同し、参加してくれましたね。
なるほど。社内にチャレンジングな風土が根付いているんですね。それでは次に、リファラル採用を導入するにあたって、MyReferを選んでいただいた理由についてお聞かせください。
西村氏:
MyReferの導入を決めた理由も、チャレンジしよう!という流れからです。
会社としてチャレンジングな風土に変わってきているので、採用チームとしても新しいことにチャレンジしようと思い、制度を作るだけでなくツールを導入して本格的に取り組むことに決めました。
MyReferのさまざまな機能を通して「当社と同じ価値観を持った“いい人材”と出会える」と感じました。
採用における効果があって、さらに効率的になることを期待していました。
社員が楽しく簡単にSNSを通じて友人に紹介できるので採用数が増えます。人事も活動の見える化によって継続的に活性化する施策を考えることができ、候補者やインセンティブの管理も簡単です。
55名の応募と6名入社!会社のファンを増やしてくれる社員を表彰
御社ではリファラル採用導入に合わせて、MyReferの機能を活用した「トップリクルーター表彰制度」を立ち上げたと伺っています。この制度の目的や狙いについて教えていただけますか?
西村氏:
もともと当社には、「表彰制度」がありました。例えば、日々の仕事で良いことをしてくれたら「ありがとう賞」を贈り合ったりと当社の行動規範に準じた各賞を設け、社員同士が認め合い、モチベーション向上を図る制度です。今回のトップリクルーター表彰も、この制度の延長線上にあります。
リファラル採用は、人事だけではなく社員みんなが仲間を集めようという施策です。つまり、社員が志を一つにして良い会社にしていこうという活動と言えます。ですので、トップリクルーター表彰については採用の“決定率”よりも“行動力”を重視。当社の良さを言葉にして、周囲にアピールして会社のファンを増やしてくれる社員をきちんと表彰しています。
御社の社員のみなさんから、リクルーターの表彰制度についてどのような反応がありますか?
西村氏:
一例ですが、こうした表彰制度がモチベーションの一つになり、積極的にリクルーティング活動を行ってくれるベテラン社員がいます。この方は人望も厚く、社外のさまざまなコミュニティで繋がりのある方を次々と紹介してくれていますね。
MyReferによって活動状況が見えてポイントもたまっていくので、表彰制度を用いながら楽しく活動することに役立っています。
実際に、リファラル採用を通してどのくらい入社決定が出たのでしょうか。具体的な効果についてお聞かせください。
西村氏:
初年度(2018年度)は、55名の紹介があり、そのうち採用が決定したのは6名となっています。初年度としては良い成果が出たと考えていますね。
これから長く活躍してもらえることを期待しています。
それでは最後に、今後どのようにリファラル採用に取り組んでいきたいとお考えですか?
西村氏:
リクルーターとなる社員のみなさんに、もっとリファラル採用の重要性を感じて、共感をもってもらえるような施策を取り入れていきたいと考えています。会社のことや採用、働く環境のことなども、紹介するうえで理解してもらえるようにもっと社内広報をしていきます。一方で、採用が難しそうな職種に関してはインセンティブにメリハリをつけるようにしました。リファラル採用の浸透を推進し、「友人や知人を紹介していいんだ」という空気を作り出していきたいですね。
当社が、より強い組織になっていくためには、多様な価値観を持った人材に仲間になってもらうことが必須です。企業理念を軸としながらも、社員が採用に関わることでさまざまなバックボーンの方々と混ざり合い、まさに「ワンチーム」でイノベーションを生み出していきたいと思います。
編集後記
今回は、計量包装機器メーカーであるイシダ様の事例をご紹介しました。
老舗企業/ニッチトップ企業であることに安心することなく、採用の課題感を客観的に把握し、リファラル採用の導入を決めたという経緯に「強い組織をつくる」という意思を感じました。また、イシダ様では「表彰制度」を取り入れ、リファラル採用を活性化させている点に独自性があります。今後もさらに社内に浸透させるためにMyReferとしても全力でサポートしていきます。
次回は、実際にイシダ様にリファラル採用で入社した友人と紹介した社員にインタビューを行い、リファラル採用の実態を紐解いていきます。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
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