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2023.09.01更新

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人材紹介会社の推薦を増やすには?エージェントをファンに育てよ

経験者採用が本格化する昨今、優秀な人材からの応募を集めるために人材紹介会社(エージェント)を活用する企業が多いのではないでしょうか。

実際に、HR総研が行った2019年の調査データでは、およそ73%の企業がキャリア採用で「人材紹介」を利用していると回答しており、企業規模に関わらず、キャリア採用を実施する多くの企業の主要な採用手法として位置付けられています。

しかし、ただ人材紹介会社に求人を伝えるだけでは、なかなか自社にマッチする人材が推薦されてきません。

近年では有効求人倍率も高くなるなかで、人材紹介会社からの優先順位を下げられ、そもそも自社の求人が、求職者にすら紹介されていないということも往々にしてあります。

そんな中、マーケティングの視点を取り入れた「エージェントマーケティング」という手法が注目されつつあります。今回は、エージェントマーケティングを活用しながら、戦略的にエージェントからの推薦を増やす秘訣を紹介します。

人材紹介会社をファンにする「エージェントマーケティング」とは

エージェントマーケティングとは、人材紹介会社からの推薦を増やすためのマーケティング活動です。

前提として、日本企業は人材紹介会社を使用している企業が多く、2021年の矢野経済研究所のデータによると、採用の市場規模1兆円のうち3000億円が人材紹介会社の市場と言われています。
大手企業では、経験者採用の7~8割の人数を人材紹介会社での推薦で確保しているケースも多いです。

一方で、人材紹介会社から推薦される候補者とのマッチング率を高めたり、推薦数を増やしたりするために、企業側が戦略的な活動をしている例はあまり見かけません。

人材紹介会社と契約を結んだあと、ただ推薦を待っている企業も多いでしょう。
定期的に採用について打合せをするとしても、戦略的に応募を増やすためのコミュニケーションをデザインできている企業は少ないのではないでしょうか。

そのため、現在は人材紹介会社から、採用充足するに足る推薦数が確保できなくても、なかなか打ち手が見つけられていないというのが実態です。そんな事態を解決するのが「エージェントマーケティング」の考え方になります。

そもそも、今まで通りでは人材紹介会社から推薦が来ない理由

従来は、人材紹介会社と契約したあと推薦を待っていることが当たり前でした。

しかし、人材獲得競争が激化する今、これまで通りのお付き合いでは人材紹介会社から有効な推薦が来なくなっています。背景は下記3点と考えられます。

一人の候補者に相当数の求人が紹介される

コロナで一次的に有効求人倍率が低下したものの、2022年の平均有効求人倍率は2.54倍(doda求人倍率レポート(2022年12月))であり、過去4年間で最高水準となっています。
少子高齢化も相まって2030年にはほぼ全ての職種で人手不足になると言われており、特にIT人材に関しては2030年で210万人の労働人口が不足すると予測されています。
その反面、求人数は右肩上がりで増加しており、一人の求職者に対して紹介される求人数が増えていくことで、転職市場の需給バランスは崩壊していくことが予想されます。

候補者(転職者)の立場からの景色で例えると、従来は人材紹介会社からの紹介先企業数は1人に対して
5~6社だったものが、現在は候補者1人に対して15~20社にまで求人案件紹介が増加しているのです。

応募意思を獲得するための訴求ができない

企業からすると人材紹介会社からの推薦があがってこないと感じることもあると思いますが、実際に人材紹介会社が候補者に求人を紹介して、その候補者から応募意思を獲得できるのはたったの5%程度です。

転職市場が活性化して求職者の志向性も多様化する中、自社求人への応募獲得や意向醸成を行うためには、他社と差別化した魅力を伝える必要があります。

人材紹介会社の構造を理解できていない

人材紹介会社のビジネスモデル上、どこかの企業に候補者の入社が決定したら紹介手数料(一般的には決定した候補者の理論年収の35%)が発生する仕組みになっています。
大手人材紹介の法人営業担当は、1人30~40社の企業を担当しているなかで、特定の企業に必ずしも推薦する理由はありません。
特に売り手市場の中では、いち企業のためだけに情報収集して推薦することは少ないでしょう。

また、法人・個人の双方を支援する中小人材紹介会社においても、多くの案件が日々舞い込んでくるなかで、「この個人を支援できる先はどこか?」という観点、つまり候補者起点で推薦先企業を選定するため、わざわざ1社のためだけに主体的に情報を取りに行くケースは少ないと考えられます。

このような特性を理解したうえで、自社のためだけに推薦してくれるわけではない人材紹介会社に、いかにして自社のファンになってもらうかを考える必要があります。

人材紹介会社からの推薦を増やす方法

それでは、実際に人材紹介会社からの推薦を増やす方法をご紹介します。

人材紹介会社のモデルを理解する

前提になりますが、まずは人材紹介会社のモデルを理解することが重要です。人材紹介会社は、大きく片手型と両手型の二種類があります。

①片手型
大手の人材紹介会社に多く、法人向けの営業担当と個人向けのキャリアアドバイザーが分業化しているパターンです。
法人営業担当が担当企業の案件を理解し、自身が担当する企業30~40社の中で優先順位をつけ、個人のキャリアアドバイザーに広報します。
キャリアアドバイザーは月に50名人近くの候補者とカウンセリングを行い、数ある求人の中で候補者に合っていると考える求人を提示する構造です。

つまり、法人営業担当にファンになってもらい、さらにキャリアアドバイザーに動いてもらって候補者にメッセージを伝える伝言ゲームのような形になっています。
だからこそ、より伝わりやすいシンプルなメッセージを意識しなければいけません。

②両手型
中小や個人の人材紹介会社に多く、法人向けの営業担当が直接個人に求人を紹介するパターンです。
人材紹介会社の担当者は、候補者起点でいかに入社が決まるかを考えながら動くケースが多いです。

人材紹介会社の担当者は候補者の志向性をヒアリングして、そのニーズに合って入社決定が出そうな求人を紹介するため、企業人事は「どういう人材が入社決定しやすいか」を伝えなければいけません。
法人起点で動くことが少ないため、片手型よりもより入社決定のイメージが沸くかどうかが鍵になるのです。

エージェントマーケティングのポイント

Point① エージェントを会社のファン(サポーター)になってもらう

前提としてエージェントマーケティングは、人材紹介会社の担当者に自社のファン(サポーター)になってもらうという考え方が重要です。
求人広告やダイレクトリクルーティングと違い、候補者に情報を魅力的に伝えるのは自社ではなく、外部の人材紹介会社の法人営業担当であるということを忘れてはいけません。

法人営業担当やキャリアカウンセラーがおすすめしたくなるような情報、ストーリーを提供し、無機質な求人の条件のみで訴求するのではなく、会社として魅力付けしていくことが何より重要になります。

人材紹介会社の担当者は1人当たり30~40社の企業を担当するとしても、合理的な判断軸のみで支援しているわけではありません。「この会社が好きだから応援したい」という気持ちが少なからず推薦のきっかけになるでしょう。

なぜこの会社が創業し、どこに事業の競合優位性があり、社内でどんな人が働いているのか。
会社のEVP(Employee Value Proposition)に基づいて、一貫した魅力をストーリーで語り、エージェントをファンにするコミュニケーションを心がけましょう。

Point② ターゲットをイメージでき、候補者に訴求しやすい情報を渡す

人材紹介会社の担当者から候補者に対して自社の魅力を伝えてもらうためには、求める人材のターゲット像と求人の魅力をセットで伝えることが大事です。

単に「法人営業担当を募集している」といった情報では不十分です。
例えば、ターゲットと魅力をセットで「〇〇業界での法人営業経験が2年以上ある組織内順位10%以上のハイパフォーマー」に、「ただのSaaSフィールドセールスではなく、複数のプロダクトを組み合わせられる総合提案としての裁量」などと伝えます。

そうすることで、どの候補者に何を伝えるかが明確になり、魅力を訴求しやすくなるでしょう。
ここでのポイントは、いかにシンプルに伝えるかです。
キャリアアドバイザーは候補者に企業の特徴を説明しますが、1時間のカウンセリングの中で20社近くの求人を紹介することもあるため、長い情報は記憶に残りませんし、紹介すらしてもらえません。

「大手人材会社〇〇社のRA法人営業部門のハイパフォーマーがターゲットです。」
「営業のみでなくBizDevができることが魅力です」
「とはいえ、まずは幅広で人材業界法人営業経験が1年あれば紹介していただいて結構です」
このように、ターゲットがすぐにイメージができ、候補者に訴求しやすいシンプルな魅力として情報伝達することがポイントです。

Point③ 人材紹介会社に入社決定イメージを沸かせる

人材紹介会社の担当者やキャリアアドバイザーに「決定支援ができそうだ」とイメージを持ってもらうために、まずは過去のに内定した人候補者の情報を展開します。
また「こういう人材であれば書類通過を確約します」と選考ステップの短縮や面談確約などの条件を伝えることで、人材紹介会社側に入社決定支援をしやすい企業であるというイメージを持ってもらうことも有効です。

エージェントマーケティングのすすめ

3つのポイントをふまえて、どのように人材紹介会社に伝えていくのがよいでしょうか。
手段としては、対面での打合せやエージェント向け説明会、メールでの情報提供などがあります。

個別の打合せも重要ですが、大手企業になるほど契約している人材紹介会社の数も膨大になるので、それぞれの人材紹介会社への情報の伝え方にバラつきが出てきてしまいます。
また、エビングハウスの忘却曲線でも言われるように、人間は1週間で77%のことを忘れてしまいます。
一度開催したくらいではすぐに優先度が下げられてしまうことが往々にしてあります。

そんな中、人材紹介会社をファンにする効率的な手段としてメールでの「エージェントマーケティング」をおすすめします。すべての人材紹介会社に対して、継続して定期的に細かい情報を伝えていくことができます。
また、ツールを活用することで、メール開封率やリンククリック率など、エージェント毎の自社理解を分析することができ、非注力エージェント、注力エージェントを見極めながらPDCAを回すことが可能になります。

本格的にメールマーケティングを行っている企業は、まだあまり多くない状況ですが、エージェントマーケティングは戦略的にすべての人材紹介会社をファンにできる手段です。

エージェントマーケティングの効果と障壁

エージェントマーケティングの効果

ある企業では、1カ月に1回程度、契約中の全ての人材紹介会社向けに自社を理解してもらうためのコンテンツをメールでお送りして、エージェントマーケティングを実施しています。
その結果、求人への推薦が増えたり、人材紹介会社からの質問がよく来るようになったりしたという話を聞きます。

また両手型の人材紹介会社では、法人営業担当がもらったメールをそのままキャリアアドバイザーに転送することができます。
法人営業担当者にとっては、打合せのメモをまとめて共有するよりも各段に楽で、伝えたいメッセージがシンプルに伝わり、結果的にキャリアアドバイザーの自社理解向上や候補者の応募意思獲得につながります。

エージェントマーケティングの障壁

一方でエージェントマーケティングには、マーケティングの知識やスキルが必要になります。
100社にメールを送信し、開封率や人材紹介会社のリアクションを分析する場合、デジタルマーケティングツールの理解が求められます。

また、定期的にコンテンツを配信するならば、人材紹介会社の興味を惹いたり、自社の認知や理解度を高め、面白い、候補者のためになると思ってもらうための情報を届けるためのメルマガ作成スキルが必要になります。
クリックしたくなる件名をつけることやメールを開けたときのファーストビューで中身に何が書かれていることを伝えるなどの工夫が求められます。

さらに、エージェントマーケティングをする上では振り返りの分析も必要になるでしょう。
従来通り打合せや説明会をするだけでは、人材紹介会社ごとの自社理解度が分からず、どの人材紹介会社にどれくらいコミュニケーションを取れば推薦が増えるのかも分析できませんでした。

本格的にエージェントマーケティングをするには、このように実際にデジタルツールを使ってメールの開封率や自社へのファン度合いを可視化し、PDCAを回すというマーケティングの知識を身に着けることが重要です。

エージェントマーケティングにおすすめのサービス

エージェントマーケティングに活用するツールとしては、メルマガサービスやMA(マーケティングオートメーション)や採用版のMAサービスなどが考えられます。

メルマガサービスは、「SendGrid」や「Mail Chimp」などがあります。それらは、毎回メルマガ登録者に対してコンテンツを作って配信する、メールマーケティングに特化しています。
そのため、人材紹介会社ごとのファン度合いを可視化してPDCAを回すような機能はあまりありません。

MA(マーケティングオートメーション)は、「Hubspot」や「Marketo」などがあります。
こちらは大量のハウスリストに対して配信して分析することができます。ただ採用マーケターが活用するものとしては複雑性が高く、相応のスキルが求められます。

最後に採用版MAサービスは、国内では「MyTalent」のみです。採用担当者が使いやすいUIUXで設計されています。採用候補者のリストにも、人材紹介会社のリストにもメールマーケティングを実行していくことができます。
特に、人材紹介会社ごとのファンスコアを分析して、それぞれにメモを残しながら、PDCAを回せることが特徴です。

人材紹介会社の推薦を増やす!エージェントマーケティングを始めよう

今回は、人材紹介会社からの推薦を増やすための「エージェントマーケティング」についてご紹介しました。

人材紹介会社へのコミュニケーションを戦略的にデザインしている会社はまだまだ少ないです。
取引先の人材紹介会社の生態やモデルを理解し、誰にいつどんなメッセージを送るかを設計し、PDCAを回していくこと。それが人材紹介会社の推薦を増やし、あなたの会社の採用力強化につながるでしょう。

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採用MAツールのMyTalentは、求職者、潜在的求職者のタレントプール構築から、半自動でのアプローチ、持続可能な仕組化までを一気通貫で実現します。

MyTalentのエージェントマーケティングパッケージでは、契約先人材紹介担当者の洗い出しや、エージェント向けの広報カレンダーの作成、自社理解の促進や推薦を増やすためのコンテンツ・メールマガジンの作成からリアクション回収、分析、エージェントとのリレーション強化戦術の策定まで一気通貫でサポートするBPOも提供しています。

戦略的にエージェントとのコミュニケーションをデザインし、推薦数や候補者マッチング率を向上させて採用力強化を検討している企業様はぜひお問い合わせください。

監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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