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2024.02.05更新

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【曽和利光氏 登壇】人材獲得競争時代に企業が取り組むべき”戦わない採用”と”リファラル採用”

労働人口の減少や働き方の多様化など、企業と働く人を取り巻く環境が激変している現代。従来の採用活動では限界を迎えており、変革の時を迎えています。これまでと同じ手法で求職者にPRする「戦い続ける採用」ではなく、潜在候補者に独自の魅力をマーケティングする「戦わない採用」へ。企業や個人が「らしさ」に向き合い、それぞれのオリジナルな魅力で本質的なマッチングを創出する時代が来ています。

 こうした人的資本経営時代の採用変革を考える場として、HR業界の有識者をお招きして「戦わない採用アカデミー」を開講しました。第1弾は曽和利光氏をゲストに迎え、「人材獲得競争時代の企業が取り組むべき“戦わない採用”~リファラル採用による採用変革と企業競争力向上~」をテーマにディスカッションしました。以下にレポートします。

  • ゲスト講師

    株式会社人材研究所 代表取締役社長
    曽和 利光 氏

    京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート、ライフネット生命などで採用や人事の責任者を務める。その後、人事コンサルティング会社人材研究所を設立。日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業、中小・スタートアップ、官公庁等、多くの組織に向けて人事や採用についてのコンサルティングや研修、講演、執筆活動を行っている。著書に「人事と採用のセオリー」「定着と離職のマネジメント」「人と組織のマネジメントバイアス」「できる人事とダメ人事の習慣」「コミュ障のための面接マニュアル」「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?」他。

  • 鈴木社長

    ファシリテーター

    株式会社TalentX 代表取締役CEO
    鈴木 貴史

    起業家。『戦わない採用』著者。国内800社、70万名が利用する採用マーケティングSaaSを運営。
    2015年、日本の採用の在り方に課題を感じ、TalentXを創業。日本初のリファラル採用サービスMyRefer、採用MAサービスMyTalentをリリース。
    2019年、経済産業省後援「第4回HRテクノロジー大賞」採用部門賞、日本の人事部「HR Award2019」を受賞。2021年、東洋経済「すごいベンチャー100」に選出。

第一部 人材獲得競争時代における採用市場のトレンド ~企業が取り組むべき“戦わない採用”と”リファラル採用”~

なぜ今、”戦わない採用”が求められているのか?

鈴木:

まず労働市場のマクロ環境について説明いたします。皆さまも重々承知のことと存じますが、日本は少子高齢化によりほぼすべての職種で人手不足になっており、この状況は今後も続くと予測されます。一方で企業は生産活動を続ける必要があり、有効求人倍率は増えている状況です。特に優秀な人材の獲得競争はますます激化しており、2023年のリクルートエージェントの調査によると、約8割の企業が中途採用の採用目標を達成できていない状態になっています。

こうした状況のなか、これまでと同じような手法で他社がアプローチしている人材を奪い合う”戦い続ける採用”ではなく、自社独自のリソースで転職潜在層にアプローチする”戦わない採用”に変革する必要があると考えています。

この転職潜在層にアプローチする採用マーケティングという考え方は、米国では2013年頃から活発に取り入れられています。2013年に人事担当者が注力している採用手法を聞いたJobvite社の調査では、1位がSNSを活用したソーシャルリクルーティング、2位がリファラルリクルーティング、3位が自社サイトを活用したオウンドリクルーティングといった転職潜在層にアプローチするチャネルが上位を占めていました。このように転職潜在層にアプローチするチャネルとして代表的なひとつが今回のテーマでもある「リファラル採用」です。

アフターコロナで注目されている、リファラル採用の組織的な効果とは?

鈴木:

リファラル採用のメリットとして、転職潜在層へアプローチできることやコストの削減、離職率の低下といったことがよく挙げられますが、本日はあまり言及されてこなかった従業員エンゲージメントの向上という点を説明できればと思います。

皆さまは従業員エンゲージメントとはどのような概念かご存知でしょうか。エンゲージメントは衛生要因と動機づけ要因に分かれるのですが、福利厚生や給与などは衛生要因と呼ばれ、実はこれを改善したからといってエンゲージメントが高まるといったものではありません。それでは、エンゲージメントを高めるためにはどういったことが重要なのかというと、理念・バリューの浸透や成長機会の提供、当事者意識の醸成といった要素が重要となります。リファラル採用は、従業員が採用に参加して仲間集めをすることで、当事者意識が上がりエンゲージメントが高くなるという研究結果があります。

また、リファラル採用はビジョンの浸透や文化形成といった強い組織をつくるうえでも有効です。マッキンゼー社の調査「The War for Talent」によると、現場の従業員や管理職が採用に当事者意識を持っているかどうかと企業の成長率には大きな相関が見られたという結果があります。つまり、リファラル採用は推進すればするほど、強い組織文化をつくることにつながり、企業成長にもつながるといった非常に有益な採用手法なのです。

続いて、「リファラル採用による採用変革と企業競争力向上」をテーマにしたトークセッションに入ります。

第二部 リファラル採用による採用変革と企業競争力向上

人材獲得競争時代において、唯一できることは「ターゲット」を変えること

鈴木:

まず「なぜ今、戦わない採用が必要なのか?」を曽和さんの観点からもぜひお聞きできればと思います。

曽和氏:

人手不足や人事のリソース不足などあらゆることが限界に来ているなかで、唯一できることはターゲットを変えることだと思います。これは採用基準を変えるということではなく、どういうチャネルからどういう属性の人にどういうアプローチをするのかということは、同じパワーやコストで成果を上げる最後の手段ではないかと思います。こうした採用ターゲットを戦略的に変えるというのは、やらざるを得ない時代になっていますね。

例えば、全国採用もターゲットを戦略的に変えるひとつの手法ですよね。有効求人倍率の高い東京だけで優秀な人材を採用しようとするのではなく、同じ労力をかけるのであれば全国の優秀層に目を向けてアプローチするといったイメージです。転職潜在層へのアプローチもすぐ採用には繋がらないかもしれないですが、他社と競争せずに採用できる可能性があるという観点でターゲットを変えるひとつの手法と言えます。

「戦略は戦いを省略することだ」と言われますが、まさに「戦わない採用」という考えは強い競合がいっぱいいるところでわざわざ戦うくらいであれば、もっと効率的なやり方やターゲティングがあるんじゃないかという考えだと思うんですよね。

リファラル採用はインフォーマルネットワークの強化につながる

鈴木:

今回のテーマである「リファラル採用」について深掘りしていきたいと思います。曽和さんがリクルートにいらっしゃる時代からリファラル採用に注力されていましたが、リファラル採用の本質的な価値はどういった点にあるとお考えでしょうか?

曽和氏:

リファラル採用を推進していて感じたことは、リファラル採用は組織開発のひとつの手法として特別な価値があると感じています。単に優秀な人材を効率的に獲得できるということを超えて、組織を強くする方法のひとつだと私は捉えています。

リファラル採用はもともと信頼関係がある人たちが入社することになるので、組織図上のつながりだけではなく、部署を超えた様々なつながりがある状態になり、インフォーマルネットワークが強固になっていくんですよね。

インフォーマルネットワークが強固になることで、文化の浸透や一体感の醸成、社内での助け合いやイノベーションが起こりやすい環境を作るなど、例を挙げたらきりがないほどメリットがあります。私はよくインフォーマルネットワークの強化は組織における万能薬だと言っています。

リファラル採用はどのように推進するべきか──紹介の心理的ハードルを乗り換えるためには?

鈴木:

リファラル採用の価値から具体的なテーマにも触れていければと思います。大手企業になればなるほど人事と現場に距離があり、リファラル採用をどのように推進するべきかという壁にぶつかりますが、曽和さんはどのようにお考えでしょうか。

曽和氏:

これだけリファラル採用のメリットを語っていますが、やはり壁を感じるのは「紹介のハードル」です。採用に限らず、誰かに何かを紹介するというのは軽いものではなく、心理的なハードルを感じるものです。この紹介に対するハードルをいかに乗り越えるかがリファラル採用を推進するファーストステップだと思います。

そのポイントは何かと言ったらシンプルで個別で丁寧にきちんとお願いすることに尽きます。地道な活動に見えるかもしれませんが、リファラル採用をやってみたもののダメだったと言っている企業は意外とこういった地道なことができていないことが多いです。例えば一斉メールを送るだけではなく、個別に時間をとってリファラル採用が必要な背景を伝えた上で協力を依頼する。企業によっては中途研修の中でリファラル採用の時間を設けて紹介できそうな候補者を洗い出している事例もあります。

いまお話ししたことは何も難しいことがないように、リファラル採用を推進するために必要な特殊スキルは何もないです。やろうと思えばできることをしっかりやっている企業は結構少なく、最終的にはやるかやらないかという話になると思います。

また、リファラル採用を推進しようという気持ちの根本にあるのは従業員エンゲージメントだと思います。別にやらなくても良いことを会社のためにやろうと思ってもらうには、エンゲージメントを一定程度高めていくしかありません。

リファラル採用を推進する人事の役割はマーケティング観点での俯瞰した分析と環境整備にある

鈴木:

リファラル採用を推進するうえでの人事の役割はどのようなものだとお考えでしょうか。

曽和氏:

ふたつあると思います。ひとつは鈴木さんがよく提唱されている「採用マーケティング」や「採用マーケター」に通じる話ですが、マーケティング観点での分析です。リファラル採用を進めていると、金脈のようなものがだんだんと見つかっていきます。例えばこういった部活やコミュニティは傾向として相性が良いなどですね。中央で全体を見ることができる人事の役割として、俯瞰的に見て自社にとって相性の良さそうな金脈がどこにあるのかを分析するというのはひとつできることかと思います。

もうひとつはMyReferもそうですが紹介しやすいシステムを使ったり、資料を作ったりと、紹介者の負荷を下げる環境整備をすることです。

鈴木:

リクルートでのご経験も踏まえて、リファラル採用の価値や推進方法、人事の役割など詳細にお話しいただき、ありがとうございました。

私たちも、リファラル採用を通じて強い組織づくりや従業員エンゲージメントの向上など、人的資本経営時代に求められる採用変革をプロダクトとコンサルティングによって支援していきたいと思います。

まとめ

人材獲得競争時代における”戦わない採用”やリファラル採用の本質的な価値に迫るセミナーでした。TalentXでは、リファラル採用サービス「MyRefer」を通じておすすめしたい会社づくりの支援をしています。ご興味をお持ちいただければお気軽にご連絡ください。

監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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