70万戸を超える分譲マンション建設実績を持ち、土地持ち込みから設計、建設までを一貫して手掛ける株式会社長谷工コーポレーション様(以下、「長谷工コーポレーション」)。マンション業界の構造的な課題や市場の多様化が進む中、同社は新たな挑戦として「人的資本経営」を推進しています。
事業の多様化に伴い、これまでにない経験や知見を持つキャリア人材の獲得が急務となる中、長谷工コーポレーションはリファラル採用を単なる採用手法ではなく、「会社をより強くする文化を醸成する手段」と位置づけ、エンゲージメント向上に繋がる人事施策として注力しています。
今回は、人材開発部 部長の山内 優氏 にリファラル採用の位置づけや社内の変化、そして今後の展望について伺いました。

株式会社長谷工コーポレーション
・従業員 :2,779名
・事業 :建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業
・取材対象者:人材開発部 部長 山内 優 氏(2002年入社)
社員一人ひとりのリファラル活動の積み上げが組織を強くする

経営戦略と人的資本経営におけるリファラル採用の位置づけを教えてください。
山内氏:
当社はゼネコンの中でも分譲マンションを主軸とし、土地持ち込みから設計、建設まで一貫して手掛けている点が大きな特長です。
一方で、今後を見据えた際には、分譲マンション市場の縮小、建設業界の人手不足・高齢化、そして脱炭素・環境配慮といったサステナビリティへの対応といった様々な課題があります。
中期経営計画で策定された新たな事業を含めた重点戦略を推進するため、人材確保は経営戦略において重要な位置づけとなっています。
その中で、リファラル採用は単なる採用手法ではなく、社員一人ひとりの信頼関係やつながりを活かす仕組みであると考えています。社員が自社の魅力や課題を理解し、発信していくプロセスを通して、「会社としてより強くなっていく文化を醸成する」ことにもつながってくると考えています。
また、人的資本経営において重要なキーワードとなる「エンゲージメント向上」にも繋がると期待しています。
「MyRefer」を活用したリファラル採用を通じて、組織にどんな変化が起きていますか。
山内氏:
当社はこれまで新卒採用が中心でしたが、事業の多様化が進む中で、中途採用を強化してきました 。その中で、リファラル採用については数こそ多くないものの、採用する人材の「質」を期待して 「MyRefer」を導入しています。
組織の変化としては、「採用は人事の仕事」という認識から、成功事例や具体的な紹介方法などの細かい情報発信を積み重ねることで、社員が「気軽に知人を紹介してもいいんだ」と思える段階に入ってきていると感じています。
また、具体的な変化として、社員から「どんな風に紹介したらいいですか」といった問い合わせが入るようになりました。こうした機会を通じて、社員と人事部門との距離感が近くなっていると感じています。社員一人ひとりの繋がりをどのように考えていますか。
山内氏:
当社には昔から「グループ営業マン」という取り組みがあります。これは、単なる営業活動ではなく、グループの事業を信頼できるものとして自身の知人・友人等へ紹介する取り組みであり、リファラル採用にも通じる考え方です。
このように、社員一人ひとりの繋がりを経営に活かしていく土壌は既にあるので、リファラル採用も当社の組織と文化として育てていきたいと考えています。「MyRefer」を活用いただき、どのような採用成果を実感されていますか。
山内氏:
採用ハードルが高いとされている職種においても複数名の実績が出ています。
また、リファラル採用で入社した方については、他のチャネルでの入社者と比較して定着していると感じます。紹介者が同じ業界の元同僚や関係者である場合、当社の顧客層や仕事の進め方に理解があるため、入社後のカルチャーフィットにおいて大きなギャップが生まれにくいと考えています。社員に自発的に参加してもらうために、どのような工夫をされていますか。
山内氏:
社員に自発的に参加してもらうため、トップダウンで強制はせず、社員に「紹介したい」という気持ちが生まれたそのタイミングで紹介してもらうことを理想の状態としています。「MyRefer」のアプリ登録も強制ではなく自主性に任せています。
社員にとって負担とならないよう、リファラル採用を「仲間づくり」として捉えてもらえるようなメッセージを発信しています。
“社員を介した発信”が企業の信頼とブランド価値を支える

今後、リファラル採用をどのように全社浸透させていきたいと考えていますか。
山内氏:
リファラル採用は会社の良い状態を示すバロメーターになると考えています。社員が信頼関係のある知人を紹介する文化づくりは会社と社員のエンゲージメントが不可欠だからです。
今期からリファラル採用の取り組みを長谷工コーポレーション単体だけでなく、グループ全体に広げました。それぞれのグループ会社で紹介が生まれ、実際に入社・定着していく実績が積み重なっていくことを目指しております。
建設・不動産業界を中心に、社員が持つ幅広いネットワークを通じて、「長谷工らしさ」や「働く魅力」が自然に社会へ伝わっていく。こうした“社員を介した発信”こそが、企業としての信頼やブランド価値を支える基盤になっていくと考えています。
社員の皆さんにはリファラル採用にどのように取り組んでもらいたいですか?また、メッセージをお願いします!
山内氏:
社員の皆さんには、リファラル採用は単純に人事を手伝うものではなく、「自分たちの仲間作り」としてフラットに取り組んでもらいたいと考えています。
その過程で、会社の魅力や課題といった「気づき」があれば、共有してほしいと思っています。そういった事の積み重ねが組織や会社、その先の展望を作っていくことに繋がると期待しています。
長谷工グループは今、新しいことにチャレンジする転換期にあります。未完成だからこそ「新しい世界を作っていける」このフェーズで、これまでの知見を活かして共に成長しながら働ける仲間を、皆さんの信頼関係を活かしご紹介いただければ嬉しいです。
編集後記
長谷工コーポレーション様は、リファラル採用を単なる「採用人数を増やす手段」だけではなく、「会社をより強くするための文化醸成施策」と位置づけています。
社員による自社の魅力化と課題へのフィードバックや、人的資本経営において重要なエンゲージメント向上、さらに独自の企業文化創出など、リファラル採用は多くの可能性が秘められています。
リファラル採用が「仲間づくり」として根付き、社員一人ひとりが「未来を共に創る」担い手となる、長谷工コーポレーション様の今後の展開に注目です。
▼日本の人材市場におけるリファラル採用の共同研究 -紹介行動における要因と効果とは –
https://i-myrefer.jp/corp/download/191/input
▼2025年版 リファラル採用の実施状況に関する 企業規模・業界別統計レポート
https://i-myrefer.jp/corp/download/337/input
▼6年で400名の採用を実現した富士通のリファラル戦略
https://mytalent.jp/seminar/seminar_193/






