2025年度を「Turn Around 2025」と位置づけ、利益回復と成長基盤の確立を目指すコニカミノルタ株式会社様(以下、コニカミノルタ)。この変革期において、同社が掲げる人財戦略の要は「プロフェッショナル人財集団への変貌」です。
事業成長を実現する人財シフトと、企業文化とのフィットを重視した人財採用が喫緊の課題となる中、同社はリファラル採用を「全社で未来の仲間を集める戦略的エンジン」として位置づけています。
今回は、人事部の林 真紀子 氏と菅原 伸貴 氏に、人財戦略の全貌からリファラル採用が事業変革をどう加速させているのかを伺いました。

コニカミノルタ株式会社
・従業員 :連結35,631名、単体3,922名(2025年3月31日現在)
・事業 :デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、インダストリー事業、画像ソリューション事業
・取材対象者:人事部 人財採用グループリーダー 林 真紀子 氏
人事部 人財採用グループ キャリア採用チームリーダー 菅原 伸貴 氏
事業変革期における人財戦略「プロフェッショナル人財」へのシフト

貴社の人財戦略について教えてください。
林 氏:
この1年は利益回復と成長基盤の確立を目指す非常に重要な年だと認識しています。現在進行中の中期経営計画と連動し、採用面では人的資本への投資を通じた事業変革の実現を目指しています。
人財強化施策としては、大きく3つの柱があります。
1.事業成長を実現する人財の創出
強化領域の成長に必要な人財の獲得・活用を進めます
2.多様性の確保による経営判断の質の向上
グローバル人財や女性人財をさらに活躍させ、多様な視点を経営に取り込みます
3.組織・個人のパフォーマンス最大化
レジリエンスやエンゲージメントの向上により、組織力の強化を図ります
これらの取り組みを進める上で、人財育成に加え、必要に応じた外部からのプロフェッショナル人財の獲得も重要な要素と考えています。その一環として、従来の手法に加え、社員のネットワークを活かした採用の取り組みも進めています。
「MyRefer」を活用したリファラル採用はその重要施策の一つとして捉えています。リファラル入社者は、紹介者が候補者のこれまでの経験や強みを理解した上で紹介してくれるため、入社後の役割や活躍イメージを具体的に描きやすいと感じています。
また、信頼関係がある中での紹介だからこそ、事前にリアルな情報が共有されやすく、結果として入社後のギャップが少ない点も大きな特長です。
貴社の人的資本経営においてリファラル採用はどのような価値があると思いますか。
林 氏:
人的資本経営の観点からは、リファラル採用を単なる採用効率向上だけでなく、社員一人ひとりの採用に対する意識を変革する価値があると考えています。
実際、当社の事業部門や組織横断部門の役職者を含む社員がビジネス上や社外コミュニティを通じて繋がりのあるキーマンを紹介してくれるケースが増えてきました。従来の人材紹介ではなかなか出会えないような方に対しても、「当社の事業や組織の中で、その方がより輝けるのではないか」という視点で声をかけてくれています。
こうした紹介の過程を通じて、社員自身があらためて自社の事業や組織の魅力、そして「どのような人財と一緒に価値を創っていきたいのか」を考える機会が生まれています。その結果として、社員一人ひとりの組織への貢献意識や当事者意識が高まり、結果として人的資本経営を支える文化づくりにつながっていると感じています。
既存の採用チャネルにおける課題感、そしてリファラル採用を強化された背景をお聞かせください。
林 氏:
人材紹介やスカウトといった既存チャネルは、現在も重要な手法の一つだと考えています。一方で、当社が求めている事業変革を担う人財については、そうした手法だけでは十分に接点を持ちきれないケースもあると感じていました。
リファラル採用は、既存チャネルではなかなか出会えない高い専門性や実績を持つ方とも接点をもつことができ、紹介者との信頼関係を通じて、転職を具体的に検討されるタイミングで当社を自然に想起いただける点に、戦略的な価値を感じています。
「MyRefer」の活用で実現する、データと知見で推進する人財戦略

リファラル採用制度を推進する上で、「MyRefer」を活用いただくメリットを教えてください。
菅原 氏:
リファラル採用は、紹介者が候補者の経験や強みを理解した上で繋いでくれるため、入社後の役割や活躍イメージを具体的に描きやすい点に大きな価値があると感じています。
その中で「MyRefer」は、単なるツール提供にとどまらず、カスタマーサクセスの方々が伴走しながら支援してくれる点が非常に心強いです。データの可視化や課題の整理、社内での浸透を進めるための施策検討など、当社だけでは手が回りにくい部分を、客観的な分析と専門的な知見でサポートいただいており、非常に助かっています。
リファラル採用に取り組む中で、社員にどのような変化を感じましたか。
菅原 氏:
「MyRefer」経由で年間6名程度の入社が決定しています。リファラル採用については、ポスターなどを通じて社内での認知も徐々に広がってきました。最近では、部門から「紹介したい人がいるんだけど、社員紹介の仕組ありましたよね?」という問い合わせが増えてきました。また、キャリア入社した社員に対してもリファラル採用に協力してもらうよう働きかけています。
林 氏:
当社は現場の社員一人ひとりが自律的に考え、自ら課題を見つけ、発信して行動するカルチャーが浸透しています。そのような文化から社員一人ひとりが「この環境ならあの人も輝ける」と考えてくれることで、マッチする知人を紹介してくれるケースが増えていると感じています。
今後、リファラル採用をどのように発展させていきたいとお考えですか。
林 氏:
最終的なゴールは、人事が呼び掛けなくても、社員一人ひとりが「会社の未来を自分ごととして捉え、仲間づくりに関わっている」状態をつくることです。
直近では、社長や役員から「全社で採用に取り組む」というメッセージを積極的に発信しており、リファラル採用が会社や部署の新たな力となる人財との出会いにつながる取り組みである、という認識が少しずつ広がってきています。
今後は、一人ひとりが「自分たちの事業やチームの成長のために必要な仲間を意識し、自然に声をかけられるようになる」という意識を持つことで、自然な行動として根付いていくことを目指しています。
リファラルを通じて「会社に貢献できた」という小さな成功体験を社内で積み重ねることで、日々の業務の中で「あの案件で一緒に働いた〇〇さんを誘ってみよう」「以前の同僚のあの人なら、あの部署で活躍できるはず」と、自然に優秀な仲間の顔が浮かぶような風土を醸成していきたいと考えています。
皆さまに対して紹介時に伝えてほしいポイントがあればお聞かせください。
林 氏:
ご紹介いただく際には、ぜひ当社の文化的な特徴もあわせてお伝えいただけると嬉しいです。
一つは、現場の社員が主体的に提案や挑戦を行える環境があるという点です。自ら課題を見つけ、「こうしたらもっと良くなるのではないか」と考え、発信し行動することに前向きな方にとっては、力を発揮しやすい環境だと感じています。
もう一つは、部門や役割を越えて相談や情報共有がしやすい、オープンなコミュニケーションの風土です。周囲に情報を取りに行った際も協力が得られやすく、必要なサポートにつながりやすい点は、中途入社者にとってもオンボーディングのハードルが低い要素だと考えています。
どのような想いでリファラル採用に取り組んでほしいかなど、社員の皆さまへメッセージをお願いします。
林 氏:
皆さんには、単に採用を手伝っているという感覚ではなく、「自分が会社の未来を共に作っていく一部に貢献している」という感覚を持っていただけたら嬉しいです。
目指しているのは、欠員を埋めるための採用ではなく、自分たちの事業やチームの成長につながる採用です。当社のバリューに共感し、この環境の中で共に成長し、輝ける仲間を思い浮かべながら、無理のない形で関わってもらえたらありがたいです。
編集後記
コニカミノルタ様の事例は、「高収益企業への回帰」を目指す事業変革期において、採用が単なる欠員補充ではなく企業文化とのフィットを重視したする戦略的な取り組みであることを示しています。
社員一人ひとりが「未来の仲間づくり」に主体的に関わる意識を持つことこそが、同社が目指す「プロフェッショナル人財集団への変貌」を着実に後押ししているように感じられました。
本記事が、採用変革に必要な人財の定義と、事業戦略と採用戦略との連動性を見直す上でのヒントになれば幸いです。

➤お役立ち資料|2025年版 リファラル採用の実施状況に関する 企業規模・業界別統計レポート
ダウンロードはこちらhttps://i-myrefer.jp/corp/download/337/input

➤イベントレポート|6年で400名の採用を実現した富士通のリファラル戦略
記事URLはこちらhttps://mytalent.jp/lab/report_fujitsu/






