一覧へ戻る

2025.03.07更新

Share

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • Copied!

三井住友海上火災保険が目指す循環型キャリアネットワーク──タレントプール×オウンドメディアで、候補者をファンにする採用変革を推進

三井住友海上火災保険株式会社様は、多様な人財の活躍推進とサステナブルな会社経営に向け、採用目標数を伸長させているなか、人財獲得競争時代を勝ち抜くために、従来の採用手法では接点の持てない転職潜在層へのアプローチを強化しています。

新卒一括採用の強みを活かした「MSファストパス制度」や、潜在候補者と持続的につながり続ける「タレントプール採用」は注目度が高く、先進的な採用戦略を行う企業としての印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そんな同社は、自社のリアルな魅力を伝えて候補者一人ひとりをファンにするため「採用ブランディング」を2024年度の強化施策として実行されています。

今回は、採用ブランディングに注目した背景や取り組み、今後の展望について、人事部 採用チーム 課長代理(キャリア採用ユニットリーダー) 黑川 健人 氏と同チーム 課長代理でオウンドメディア運用の責任者である 笹松 藍子 氏に伺いました。

三井住友海上火災保険株式会社

・従業員数 :12,143名(単体) 20,393名(連結)(2024年3月時点)
・事業概要 :損害保険業(保険引受、資産の運用)、他の保険会社の保険業に係る業務の代理または事務の代行、債務の保証、確定拠出年金の運営管理業務、自動車損害賠償保障事業委託業務
・取材対象者:三井住友海上火災保険株式会社 人事部 採用チーム 課長代理(キャリア採用ユニットリーダー) 黑川 健人 氏
      三井住友海上火災保険株式会社 人事部 採用チーム 課長代理 笹松 藍子 氏

多様な人財の活躍推進とサステナブルな会社経営に向けて、キャリア採用目標を3倍以上に増やした三井住友海上

まず、貴社の事業内容と特徴を教えてください。

黑川氏:

当社は、国内の損害保険事業を中心に、国内の生命保険事業、海外での生損保事業、デジタル・リスク関連サービス事業、金融サービス事業という5つのドメインで事業展開しているMS&ADインシュアランス グループの中核企業です。現在は国内だけにとどまらず、欧州、北米、アジアを中心に海外41カ国・地域で事業を行っています。

「中期経営計画(2022-2025)」では、「未来にわたって、世界のリスク・課題の解決でリーダーシップを発揮するイノベーション企業」を目指す姿としています。この実現に向けて、社会と当社のサステナビリティを同時実現する「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」を進めており、主な4つの社会課題(地球環境との共生、革新的テクノロジー、強靭性・回復力、包摂的社会)の解決に資する事業に取り組んでいます。

次に、キャリア採用の採用目標や方針を伺えますか。

黑川氏:

多様な人財の活躍推進とサステナブルな会社経営に向け、キャリア採用を強化しています。実績ベースで2022年度では約100名だったものが、23年度では約300名、24年度では約250名見込みとおよそ3倍に増やしています。

採用方針は、会社の「変革」を支える優秀人財の獲得です。「人」を預かる私たち人事部としては、多様な意見や価値観を組織の意思決定に反映させたいという当社の想いを叶えるべく、DX・CX分野をはじめとする高度な専門スキル・経験値を持つ専門人財の採用や、当社経営の根幹を支える損害サポート部門や営業部門でのキャリア採用を積極的に行っています。

「社員の生の声で自社のリアルな魅力発信」をコンセプトに、採用ブランディングの一環としてオウンドメディア「MS Story」をスタート

キャリア採用を本格的にスタートした当時の課題や採用手法を教えてください。

黑川氏:

私が入社した当時、キャリア採用におけるエージェントの比率が90%以上と非常に高く、そのコストが予算面で大きな課題となっていました。予算面だけではなく、「転職顕在層」にのみアプローチを行う、いわゆる「待ち」の姿勢であったことも課題と感じていました。

貴社はかなり早い段階から採用マーケティングに注目されたと伺いましたが、その背景を伺えますか。

黑川氏:

転職サイトや転職エージェントなど第三者を介した採用では、どうしても企業のリアルな姿が伝わりにくいという問題意識がありました。そこで、ダイレクトリクルーティングを進めるとともに、自社の魅力を候補者に直接伝えるため、採用マーケティングを推進する必要性を感じていました。

そうしたなか、採用ブランディングやオウンドメディアに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

笹松氏:

転職潜在層をナーチャリングするための手法のひとつとして有効だと考えたためです。自社採用力をさらに強化するために、職種や事業部によって異なる魅力をPRすることで、再現性をもって候補者をファン化させたいと考えたことがきっかけです。

24年度にスタートされたオウンドメディア「MS Story」の狙いや運営方針を伺えますか。

笹松氏:

「MS Story」は、通常の採用サイトとは異なり、社員の生の声を伝えることで、求職者に当社の魅力をよりリアルに感じてもらうことを狙いとしています。

具体的には、社員インタビューを中心に、仕事内容や社風、キャリアパスなど、ありのままの姿を伝えることに加え、座談会形式で複数の社員が本音で語り合う企画など、多様な視点から当社の魅力を引き出すよう心がけています。

求職者に寄り添った情報発信を行うことで、共感を呼び起こし、当社で働くイメージを膨らませてもらえるようなコンテンツ作りを目指しています。その結果として、単なる応募数の増加だけでなく、当社とのフィット感が高い人財にアプローチできればと考えています。

オウンドメディアを構築するにあたって、なぜ「MyBrand」導入に至ったのでしょうか。

黑川氏:

TalentX社の採用MAサービス「MyTalent」を導入しており、互換性やシナジー効果が高いためです。「MyBrand」の記事に関して、候補者ごとの閲覧履歴を「MyTalent」上で把握できるようになり、よりデータドリブンで実効性のある採用活動を実現できると考えています。

「MyBrand」を導入して良かったことは何でしょうか。

笹松氏:

記事の作成・公開スピードが格段に上がったことです。これまでは、こうした記事のほとんどは外部ベンダーに依頼していたため時間がかかっていましたが、今では1週間以内に公開できるようになりました。

また、自社の採用担当者が直接記事を書くことで、伝えたい内容や印象をより的確に求職者に届けられるようになったのも大きなメリットだと感じています。求職者からも「選考前や選考中など、欲しいタイミングで知りたかった情報が得られた」と好評をいただいています。

求職者の属性に合わせた配信コンテンツで中長期的な採用のパイプライン構築を推進──エージェントや転職サイトを介さないキャリア採用比率5割を目指す

採用マーケティングの展望として「MSタレントネットワーク」という構想を掲げていると伺いました。概要や理想像を説明いただけますでしょうか。

黑川氏:

「MSタレントネットワーク」のコンセプトは、過去の”ご縁”を未来に”ツナグ”、”循環型”のキャリアネットワークです。「MyTalent」を活用したタレントプールと「MyBrand」を活用したオウンドメディアで、「MSタレントネットワーク」経由でのキャリア採用の比率を現在の2割から3割に高め、将来的に5割を目指しています。

「MSタレントネットワーク」の登録者には、直接キャリア登録いただいた方、過去の選考辞退者(新卒・キャリア)、キャリア採用イベントへの参加者、リファラル(当社社員からの紹介者)、アルムナイ(退職者)など、さまざまな属性の方が含まれます。「MyTalent」で属性ごとにプールを分けて管理しており、それぞれに合ったアプローチができるようにしています。

「MSタレントネットワーク」に登録された方々に対して、どのようなアプローチをしていますか?

黑川氏:

登録者の属性に応じて、個別最適なアプローチ・情報発信を行う予定です。例えば、アルムナイの方には、会社の「進化や変化」をお伝えするようなコンテンツを発信します。育休制度の拡充や副業解禁などの情報は、過去にそのことが要因で辞めた方の意思決定に影響を与える可能性があると考えたためです。その他、リファラルやアルムナイ、過去辞退者等経由で実際に入社された社員へのインタビューなども行い、それぞれの入社理由・活躍事例の特集記事も充実させていきたいと考えています。

「MSタレントネットワーク」を運用するにあたり、大切にしたい方針は何でしょうか?

黑川氏:

「MSタレントネットワーク」では、登録者の意思を尊重し、彼らの能動的な行動を促すことを基本としています。無作為なスカウト配信など、とにかく情報を送り続けることは全く本意ではなく、一定の距離感を取ることが何よりも大切だと考えています。登録者との関係性を適切に保ちながら、求職者の環境変化(結婚・転勤・転職等)に応じた適切なタイミングで当社への応募を検討できるように、有益な情報を届けることを心がけています。

「MSタレントネットワーク」から情報発信するコンテンツとしてオウンドメディアを選んだ理由は何でしょうか。

黑川氏:

オウンドメディアを採用コンテンツの発信手段として選んだ理由の一つは、更新性の高さです。採用サイトとは違い、タイムリーに情報を発信し、求職者とのコミュニケーションを図ることができます。MSタレントネットワークの循環を促進するための重要な施策として、オウンドメディアを位置づけています。

オウンドメディアについて、今後の展望を教えてください。

笹松氏:

今後の展望としては、さらなるコンテンツの充実とターゲティングの精度向上を図っていきたいと考えています。

コンテンツ面では、社員インタビューに加えて、仕事の進め方やチームワークなどがわかるオフィス紹介記事なども強化していきます。また、当社経営陣へのインタビューを通じて、会社のビジョンや戦略についても発信していければと思います。

ターゲティングについては、蓄積されたデータを活用し、求職者の属性や興味関心に合わせたコンテンツのレコメンドを行う仕組みづくりを検討しています。これにより、一人ひとりにとってより関連性の高い情報を届けられるようになると期待しています。

黑川氏:

将来的には、オウンドメディア経由の応募獲得・タレントプール登録促進にもつながればと考えています。「MS Story」ドメインパワーが上がることで、Googleなどの検索エンジンでの表示順位が上がり、オーガニックでの候補者獲得にも効果が期待できます。

メディアを通じて当社に興味を持ってもらった方々とのエンゲージメントを継続的に高めることで、中長期的な採用のパイプライン構築を目指していきたいと思います。

編集後記

多様な人財の活躍推進とサステナブルな会社経営に向け、従来の採用手法では接点の持てない転職潜在層へのアプローチを強化している三井住友海上火災保険株式会社様。リアルな魅力を伝えて候補者一人ひとりをファンにするために、2024年度の強化施策として実行している採用ブランディングに関するインタビュー記事をお届けしました。

オウンドメディア、採用マーケティングに興味のある方は、ぜひTalentXまでお声がけください。

Share

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • Copied!

採用とエンゲージメントが
つながる

Talent Acquisition Economy.

Myシリーズではじまる、
あなたの会社の変革

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。