株式会社オプト | |
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事業概要: |
デジタルマーケティングを軸に、持続的な成長を志す企業のビジョンやミッションと並走しながら新しい価値を創造するイノベーションエージェンシー。 |
従業員数: | 639名(2017年9月末時点) |
写真: | 人事戦略部 部長:髙部 賢一 氏(左) 人事戦略部:粳田 侑子 氏(右) |
その他企業様の導入事例をまとめています!
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社員紹介制度があるだけでほぼ運用されていなかったリファラル採用
はじめに、今までリファラル採用に関しての取り組みなどはありましたか?
髙部氏:
制度自体はあったものの、人事部が主導で仕組化して戦略的に運営できていないという実態でした。
リファラル採用の制度自体は数年前からありましたが、促進に関しては1・2年前に全社員が集まる場で一度だけ社員紹介制度の告知がされたことがあるくらいで、ほぼやっていませんでしたね。
今どういう求人を募集しているのかも社員に共有できていませんでした。
紹介したい人がいた場合の社内手続きや選考フローも特に確立されていなくて、どのタイミングで人事に話を持ってくるのか、誰が最初に面談をするのか、なども決まっておらず、そのまま上長が面談対応をしていたりして、人事は選考後の手続きの窓口になるぐらいしかないということもあり、正直上手くいっているとは言えない状況でした。
ただ、エンジニアの採用に関してだけは、社員紹介制度が上手くいっていました。
お客様へのご提案や社内インフラ、業務フローなどをスピーディーに改善できるようにしたいという想いから、エンジニア達自ら人員不足を補うために、言語の勉強会や事例共有会などを企画してイベントを通じて出会った人をリファラルで採用するということを積極的に取り組んでいました。
採用コスト高騰と既存採用手法の限界からリファラル採用を強化
リファラル採用を本格的に取り組もうと考えた理由はなんだったのでしょうか?
髙部氏:
採用活動を行っていく中で主に2点の課題を抱えていました。
① 採用のバラエティ拡大(母集団)
昨年から、更なる会社の成長を見据えて多彩な職種を中途採用で60名ほど採用しておりましたが、2017年度以降は益々採用を強化する方針を掲げております。今までの採用手法の工夫と合わせて、私たちが今まで接点を持つことができなかった方々への接触強化を進める必要がありました。
② 採用コストの増加(コスト)
これまで、メインの採用手法は人材紹介や求人媒体であり、特にここ数年はほとんどの採用経路がこれらに依存していたため、一人当たりの採用単価の高騰が一つの人事課題になっておりました。
採用人数も毎年のように増加の一途を辿っていたので、このまま採用コストが吊り上り続けることが見えており、足元ではなく中長期を見据えた自社採用力の強化が必要だと考えていました。
この2点の課題を解決しなければならないと考えていたところ、“一人ひとりが働きがいと充実感をもって過ごせる組織を作っていく”ための「いい会社プロジェクト」のメンバーから、リファラル採用を促進していきたいという提案がありました。
採用チームとしても、リファラル採用自体は改めて注力すべき施策だと感じていたので、本格的にリファラル採用に取り組むための検討を開始しました。
ただ、リファラル採用の本格導入を検討開始したものの、懸念はありました。
一番大きかったことは、社員向けに実施していたある調査の結果で、会社のビジョン・方針に対する共感値の項目がすべて平均より低い水準だったことですね。
会社への共感値が低い状態でリファラル採用を本格的に導入しても、紹介活動は促進されないのではないかという意見が出て、まずは社員の共感値を上げるような施策を実施してからじゃないと浸透しないので時期尚早という判断になりかけました。
しかし、そのことを当時の社外取締役に相談したところ「確かに今の状況だとすぐに伸びるとは思わない。でも、まずはやってみて続けていくことが大切だ、でないと浸透しない」と後押しをもらいました。
当時の企業理念でも「ACTION!」と掲げており、「実行文化をつくる」という考えを大事にしていたので、まずはやってみて、しっかり継続しながら社員の共感値も徐々に上げていこうと考えました。
また、リファラル採用を推進することにより、社員が会社を見つめ直すきっかけになりビジョン共感度も向上するという調査データもあったので、これらを踏まえリファラル採用を本格的に導入することに踏み切りました。
気軽に声をかけられる対象を増やすために『友人ではなく一緒に働きたいと思える知り合い』に声掛けを依頼
MyReferを導入してリファラル採用を促進する上での工夫は何かされていますか?
髙部氏:
前述のとおり、会社への共感値が低いという現状があったので、社員が紹介活動を行う際に感じる心理的な障壁を減らすことを重視しています。
そのために「友人ではなく“一緒に働きたいと思える知り合い”への“カジュアル面談”の声掛けを依頼する」という手法をとることにしました。
部門ごとの会議で5~10分ほど時間を頂いて、リファラル採用制度の説明を徹底的に実施しました。
その際に、声をかける対象は『今転職を検討している友人』では無く、『自分が会社に少しでもマッチすると思う友人で、将来的に候補者になりそうな知り合い』に声をかけていただきたい旨を伝えました。
例えば、クライアントの友達とか、セミナー行った時に名刺交換をした人とか、とにかく会社にマッチしそうな知り合いであれば、今すぐ転職を検討していなくともOKですと。
ここでのポイントは二つあります。
- 紹介のハードルを下げ、気軽に声掛けができるようにする
- 声掛けのターゲット範囲を知り合い・潜在層まで広げることでデータベースを構築する
いきなり選考から入ってしまうと、友人・知人が選考に落ちた場合には関係が崩れるかもしれないということを懸念して声掛けが進まなくなるのではないかと考え、MyRefer上でカジュアル面談という0.5次選考を設けることで紹介のハードルを下げました。
また、声掛けのターゲットを友人の転職候補者に限定してしまうと、“自分の仲の良い友達でなければ紹介してはいけない”と思い込んでしまう社員が多く、かつ、声をかける対象が“いますぐに転職を考えている人のみ”になってしまい声掛けの範囲が極端に狭くなってしまうのではないかという懸念がありました。
事実、リファラル採用を促進する前に社員にヒアリングした際に「紹介できる友達がいない…」と言う声が多くありました。
そのため、“友人でなくても知人であれば良い”、“今すぐ転職を検討していなくても、将来的に候補者になりうる人物であればいい”ということを強く押し出すことにしました。
社員には、『紹介さえしてくれればその後は人事がカジュアル面談を行い、会社の説明を丁寧に行った上でお互いの目線合わせをして、最終的に友人・知人が選考に進む意思があるかどうかは人事の方で確認しますよ。だから、そんなに重く考えずに気軽に紹介してくださいね』というフローにしました。
この施策のなかで潜在的に候補者を蓄積・管理するという点でMyReferのタレントプール機能も活用しております。
決定率は通常の2倍以上、通常採用では出会えない人材と出会える
戦略的にリファラル採用を進めた結果、状況はいかがですか?
粳田氏:
友人・知人を紹介してくれている社員は着実に増えてきていますね。
MyReferで確認できるデータとして見えている部分はもちろんですが、社員の意識も変化してきていると感じています。
例えば、ある事業部では月一回の会議の中で自主的に“事業部の採用を進めるためにリファラル採用をどう促進するか”というアジェンダを盛り込んで、提案してくれていました。
地道にやり続けるとこういう成果が出てくるのだと実感してすごく嬉しかったです。
また、採用の質の観点でも大きく2つの変化が出ています。
1つ目は、リファラル採用の場合は決定率が通常の採用に比べて2倍以上高いことです。
応募時点で自社への単願の場合が多く、選考を進める段階で他社と比較検討することがほとんどないので、決定までスムーズに進む傾向があります。
2つ目は、通常の採用では面談まで進まなかった可能性のある方を採用できていることです。
リファラル採用の場合は社員のリファレンスがあるので、基本的にカジュアル面談を全員に実施するのですが、そのおかげで書類だけを見ると魅力が分からない一芸を持った優秀な人材と出会うことが出来ています。
社外の人に自分の会社のことを楽しく語ってもらいたい
今後のリファラル採用の目標を教えてください。
髙部氏:
数値的な目標はもちろんあるのですが、一番大事にしたいと考えているのは、会社のビジョンや方針などをみんなが理解していて、社外で楽しく語ってくれている状態を創りだすことです。
リファラル採用を本格的に取り組み始めてから、現場の社員から「自分の事業部の求人の写真を変えたいです」と言ってきてくれて、事業部のメンバーみんなで撮った写真を提供してくれたり、求人の内容を見て、友人や知人にも理解してもらいやすい言葉に変えてくれたり、自社への興味は高まりつつあると感じています。
リファラル採用の効果だけではないものの、今年は会社のビジョン・方針に対する共感値の項目の調査の結果も向上しています。
そういう意味で、まずはもっとリファラル採用を身近に感じてもらえるようにしていき、社内外問わずみんなで会社のことを楽しく語って、徐々にオプトのファンを世の中に増やしていき、その結果としてオプトという会社で働きたいと思う人が増えていくのが望ましいですね。
最後に
今回は「声掛けターゲットは“友達”ではなく“一緒に働きたいと思える知り合い”。転職潜在層へのアプローチを徹底したオプトのリファラル採用」というテーマで株式会社オプト様の戦略的リファラル採用運用事例をお伝えさせていただきました。
リファラル採用だからこそできる“転職潜在層へのアプローチ”を様々な工夫をして実施された結果、成果を出されていることが非常に印象的でした。
リファラル採用を“ただ単純に採用手法を一つ増やす”という意味合いで考えられることもありますが、実際には人材紹介会社やサイトに登録をしていない転職市場における潜在層にアプローチをすることが出来るという意味では、既存の採用手法とは一線を画す採用手法です。
現状の採用手法では自社が求める優秀層と出会うことが出来ない、社員紹介制度を運営しているものの社員の声掛けがなかなか促進されない、と感じていらっしゃる企業の皆様は、有効打になる可能性は大いにありますのでリファラル採用の導入をぜひご検討ください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。