日本を代表する企業であるトヨタ自動車株式会社様。同社は、自動運転技術をはじめとするテクノロジーの急速な進化や、産業構造のドラスティックな変化を見据え、自動車を製造・販売する従来のビジネスモデルから大胆にシフトチェンジし、人々の移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティカンパニー」への変革を進めています。
変革を推進するには、多様な人材の活躍が不可欠です。そこで同社では、新卒中心だった採用方針を大きく転換し、キャリア採用に注力。そのなかでリファラル採用を取り入れ、MyReferを導入していらっしゃいます。
今回は、トヨタ自動車様の採用戦略や、MyRefer導入に至った背景、7万人の組織にツールを浸透させるための施策などについて、人事部 人材育成室 採用グループの山口勇気氏、小河原由梨氏にお話しを伺いました。
トヨタ自動車株式会社 | |
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従業員数: | 71,373名(2021年3月末時点) |
事業概要: |
自動車の生産・販売、その他 |
人事部 人材育成室 採用グループ長 山口 勇気氏 | |
人事部 人材育成室 採用グループ 小河原 由梨氏 |
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下記から是非ご覧ください。
モビリティカンパニーへの変革を実現すべく、多様な人材を求めてキャリア採用に注力
まず貴社の事業内容と採用方針をお聞かせください。
山口氏:
当社は、2018年にモビリティカンパニー宣言をして、2019年よりキャリア採用を強化しています。その背景としては、モビリティカンパニーに変革するうえで自動車以外の領域にも挑戦し、より多様で専門性のある人材を採用する必要があるからです。キャリア採用の割合は、以前は10%程度でしたが、現在は35%程度まで増加し、将来的には50%にまで引き上げていく予定です。
キャリア採用を強化するなかで、どのような人物を求めていますか。
山口氏:
従来の自動車ビジネスにおいては、私たち自身が”ノウハウ”や”答え”を有しているケースが多かった一方、これから自動車以外の領域にもビジネスを広げていくということは、私たちが答えを持っていない世界に踏み込んでいくということです。そこでは様々な人材や会社と協力し合って、新しい知識や情報を教えてもらいながら仕事をする必要があるため、「この人となら一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるような人間力のある方を求めています。そして、未知の領域に踏み込み、社会課題を解決していくには「この課題を解決したい」、「なんとしてもこれを成し遂げたい」という実行力や情熱を持つ人材が不可欠だと考えています。
2019年からどのようにキャリア採用に取り組んできたのでしょうか。変遷と課題についてお話しいただけますでしょうか。
山口氏:
2019年当時はキャリア採用のノウハウがなかったため、エージェントを中心とした採用活動をおこなっていました。しかしそのなかで、多種多様に広がる求める職種や人材に対応しきれないことや、ソフトウェア人材を求めていることが認知され難いという課題がありました。また、以前はトヨタの情報を積極的に発信する文化がなかったため、「堅い会社」、「キャリア採用はハードルが高そう」だと誤解されていました。
トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」では会社トップの想い、会社のビジョンを積極的に発信していましたが、それに加え、外部メディアも活用して職場の雰囲気や仕事・文化を伝え、転職を考えている方にリアルな情報をお届けすることでこうした課題に対応していきました。
そして選考プロセスに関しても、人事部主導の採用から脱却し、部署ごとにフィットする人材を採用する手順に変更し、現場主体での採用の取り組みを進めていったのです。
積極的な外部発信や、現場主体での採用を進めていらっしゃるのですね。そんななか、2020年からリファラル採用制度を導入した理由を教えてください。
山口氏:
前述の取り組みにより、転職活動をしている方々からは少しずつトヨタを選んでいただけるようになりました。しかし、それだけでは十分ではありません。今後よりキャリア採用を増やしていくには、いま転職を考えていない潜在層の方々にも、事業の魅力や仕事内容に触れることでトヨタに興味を持っていただく必要があります。そういった潜在層へ直接アプローチするために、リファラル採用を導入しました。従業員自身が、自分の仕事の魅力を語り、「一緒に働こうよ」と勧めることこそが、事業の魅力や仕事内容を直接伝えるための一番の方法だと思います。
リファラル採用に期待することをお聞かせください。
小河原氏:
従業員の皆さんが「自分たちが採用していく」という意識をもって、トヨタの魅力を伝えられたら理想的だと考えています。職場や仕事、会社の雰囲気を一番よく知っている従業員が紹介することで、求職者の方も具体的なイメージを持ってご応募いただけると考えます。そうすることで、マッチング率の向上に結び付くと思います。
山口氏:
当社は、今まで積極的に発信していなかったからこそ閉鎖的に見える面もあったかもしれません。だからこそ、トヨタの従業員自身が発信していくことに価値があると考えています。
今後は仲間づくりを積極的に推進するため、求める人物像や、社内でおこなっていることを包み隠さずオープンにしていく必要があります。世の中の潮流としてもオープンであることは求められていますし、当社としても入社後に活躍していただくことを最も大切にしたいため、リアルな姿をできるだけ伝えていきたいです。そして、リファラル採用で友人・知人から声が掛かることにより、応募のハードルも下がるのではないでしょうか。トヨタは、チームワークや家族的経営、家庭的美風を「是」とする文化があるため、仲間づくりについては相性がいいと思います。
7万人を超える従業員に展開するからこそ、ツールの使いやすさがMyRefer導入の決め手に
リファラル採用スタート当初は、ツールなしで運用されていましたが、その時の課題を教えていただけますか。
山口氏:
制度化当初は、社内ホームページや労働組合の会報誌にリファラル採用について掲載するなどし、全社に発信していました。しかし、そこで応募が集まったのは会社が変革するなかで求めている人材ではなく、家族や近親者の紹介ばかりでした。いま振り返ってみると、そもそもツールのない状況で紹介できるのは、近しい関係の相手に限られてしまうというのは当然のことです。アナログな手法では、リファラル採用の意図や真意を従業員に理解してもらうことが難しかったです。
また、当社の求人は100職種を超えているため、ツールも何もない状況で従業員にすべてを理解してもらうことは困難です。知人・友人に紹介する際に、いつどこでも確認できるようにするためにも、ツールは必須でした。
ツールを導入する際、MyReferを選定した理由を教えてください。
小河原氏:
MyReferはリファラル採用に特化していることから、当社が考えていることに最もマッチすると感じました。そして社内でリファラル採用に関するアンケートを取った時に、「紹介しやすいツールが欲しい」、「情報を得られるツールが欲しい」という要望があり、従業員の紹介のしやすさの面でも優れていると感じました。
実際にMyReferでは募集ポジションをしっかりと従業員に認識してもらい、紹介にあたって関係性や推薦文も書いてもらうことから、より求めている人材の紹介の増加にもつながります。また、MyReferのコンサルタントの方に私たちのやりたいことを伝えた際、しっかりとご理解いただき、機能についても丁寧に説明いただいたことから、ぜひ導入したいと思いました。
登録いただいた従業員の方々のアプリ利用率が約40%と伺いました。利用率が高いですが、MyReferをどのように社内に展開していらっしゃいますか?
小河原氏:
各部署の人事担当を通じて職場に展開してもらうことを、愚直に進めています。具体的には、「LINEで友人を紹介する簡単3ステップ」のようなPOPや広報チラシを作成し、従業員に対してMyReferの使いやすさを伝える資料とセットで展開しています。
また、単にリファラル採用制度やMyReferの機能を伝えるだけではなく、社内Webサイトでリファラル採用の背景や想いについて発信しています。さらには、MyReferの社内ニュース機能も活用してどんどん情報を発信することで、認知を高めています。MyReferのアプリの使いやすさも、利用率の高さにつながっていると思います。
すでに、リファラル採用で5名入社されているということですが、印象に残るエピソードはありますか?
小河原氏:
前職の同僚、学生時代の友人、釣り仲間など趣味を通じて知り合った方など、関係性はさまざまです。従業員が直接声を掛けることで、理念に共感いただいた方をご紹介いただけるケースが多かったように感じます。
また、過去トヨタで働いていた方が、リファラルで再度入社したというケースもあります。その方は一度IT業界に転職したのですが、その会社でスキルを高め、「トヨタの理念と自分のスキルを掛け合わせて、またチャレンジしてみたい」という希望を持っていると、従業員からの紹介がありました。そして専門性も当社の求めるスキルにマッチしているため、入社に至ったのです。
そして、ツールを入れる前は同じ部署内での紹介が多かったのですが、MyReferを導入してからは、他部署の職種を紹介するという事例もかなり出てきています。
従業員が採用や職場づくりを自分ゴト化し、より良くしていけるような環境づくりを
今後、さらにリファラル採用を推進するにあたり、従業員にどのように取り組んでほしいですか?
山口氏:
従業員にとってリファラル採用とは、自分が一緒に働きたい人を仲間にすることにより、「自分で自分の会社・職場を良くしていくこと」につながる取り組みだと思います。これは、「採用は人事がやるものだ」という従来のスタンスから大きく変わるものです。
社外の方にとっては、入社後に活躍していただくことはもちろん、納得感をもって働いていただきたいと思っています。だからこそ、一緒に情熱をもって働く仲間集めを加速化できるリファラル採用はよいものだと思います。
山口氏:
採用や職場づくりを、従業員が自分ゴト化することがとても重要だと考えています。社内エンゲージメント調査についても、以前は「職場マネジメントアンケート」という名称でしたが、それではマネージャーの通信簿のように感じてしまうため、「職場づくりアンケート」に変更しました。職場をつくるにはマネージャーだけではなく、従業員一人ひとりだというメッセージが込められています。採用についても同じことが言えますね。会社全体の動きとも連動しています。
最後に、リファラル採用について今後の展望をぜひお聞かせください。
小河原氏:
冒頭お話したように、自動車業界全体が変わってきていますし、当社もモビリティカンパニーを掲げ、多様な方々と仕事をしていくために、転職潜在層の方にもどんどんアプローチしていきたいです。
ここでエピソードをひとつ紹介します。MyReferに登録して友人を紹介してくれた従業員が、「どこまでサポートすればいいですか」と、前向きな質問をくれました。従業員の手が掛かることから、通常は応募の際に紹介文を記載するだけでよいということにしています。しかしその従業員は熱意があり、「友人のために動きたい」と、自発的にトヨタの魅力や職場環境について友人に説明し、応募をサポートしてくれました。
トヨタは、「トヨタウェイ2020」という行動指針を発表しましたが、その一つ目は「だれかのために」というワードです。これは、リファラル採用においても非常に重要ではないでしょうか。友人のために、誰かのために動く従業員になる。その延長線上に、将来の仲間づくりがあるはずだと実感しました。
山口氏:
トヨタには「モノづくりは人づくり」という言葉があります。ものをつくるのは人ですから、まずは人をつくらねばならないという文化のもとで歩んできた会社です。その会社がいま、モビリティカンパニーへと変わっていこうとしていますが、これを成し遂げるのもまた「人」なんですよね。はじめに、求める人物像について「この人となら、一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるような人間力のある方だというお話しをしました。これは、リファラル採用とイコールだと思います。「この人と一緒に働きたい」と思うからこそ、紹介するのですから。採用や職場づくりからまず変革していくことこそが、会社の変革のスタートだと私たちは自負しています。そのなかで、MyReferと出会えてよかったです。
編集後記
モビリティカンパニーへの変革を掲げる宣言のもと、事業だけではなく風土、そして採用の変革に挑んでいらっしゃるトヨタ自動車様の姿勢がよくわかるインタビューでした。未踏の領域に事業を展開するには、従来にない多様な人材の採用、そして多様性が活きる企業風土の醸成が不可欠です。その際にリファラル採用を導入すると、求める人材の効率的な採用だけはなく、従業員の方々が企業づくりに対してオーナーシップを持つことにもつながります。リファラル採用を取り入れ、組織風土の変革を推進していきたいという方は、ぜひMyReferにお問合せください。
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リファラル採用にこれから取り組む予定の企業様や、リファラル採用導入初期の企業様必見の内容となっておりますので、是非下記よりご視聴ください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。