組織拡大期に一度は組織風土が壊れかけたこともあった…組織再生の鍵になったのは、うるるスピリットを採用から評価まで一貫した指針にしたこと。そしてリファラル採用では、リファラルパーティーの開催やエンジニアの積極的な協力を促す独自の工夫も。同社の組織拡大を支えてきた取締役の小林様に、採用と組織づくりで大事にしていることをお伺いしました。
株式会社うるる | |
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取締役 小林 伸輔氏 | |
事業概要: |
・クラウドワーカーを活用した「CGS事業」 |
従業員数: | 176名 (2019年12月31日現在) |
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組織を立て直すためには、うるるスピリットを浸透させる必要があった
小林様がうるる社の取締役として組織・採用を担当されるまでのお話をお聞かせください。
2007年にうるるに入社してから、BPO の営業、入札サービスの立上げ、その後さまざまな新規事業を担当していました。上場する前の2014~15年の頃は上場前最後の投資期間として積極的に投資して事業を作って人を採用して……その時の投資の結果で現在のサービス成長につながっているけれど、当時は全然成果につながらず苦しい想いをしました。2016年に組織体制を整えて新卒採用を立ち上げるタイミングで、事業部から離れ採用・広報の管轄を担うことになったんです。
広報と新卒採用の立上げではどのようなことをしましたか?
まずは社員や組織カルチャーのアウトプットから取りかかりました。うるるは比較的ニッチ領域のBtoBサービスなので、採用でも広報でも社会的知名度が低いんですよね。社内を見ると面白い事業をしていますし、社会的意義もあります。そして良い社員もたくさんいますが、社外にはあまり知られていない。それがすごくもったいないと思ったので、私がうるるの中にある良い部分を言語化して、ブログをはじめとしてどんどん外にアウトプットしていくことにしました。
同時にスタートした、新卒採用は“うるるスピリット採用”と位置づけました。「うるるスピリット」といううるるの行動指針に合う人を採用する取り組みです。
“うるるスピリット採用“を始めた理由を教えてください。
2015年頃、急激に組織を大きくしたのですが、そのスピードが早すぎたので、当社のカルチャー「うるるスピリット」が組織に浸透せず、組織風土が壊れかけた経験があるからです。
経営陣でその経験を内省した際に、改めて当社では何が一番大事かというと「うるるスピリット」だよねと。この5つのバリューを採用から育成、評価、全てに対して一貫性をもって一番大事な指針とする。ここから始まったのが「うるるスピリット採用」です。
新卒採用も、中途採用も、「うるるスピリットに共感し、体現し、組織に浸透させてくれるか?」を面接で見るようにしています。そしてそれを確認するために、面接官全員が同じように質問できるように、「面接はこうやって、こういうところを大事にしてください」ということを資料に落とし込んで研修をしています。
さらにリクルーターの研修も行い、全社一丸となっていい人材を獲得しにいこうとしています。ここまでやってようやく「うるるスピリット採用」が当社のベースになってきたなと感じるようになりました。
組織の再生のために大事にしたのが、カルチャーの言語化、そしてうるるスピリット採用だったんですね。採用から評価まで軸を貫き通すのは大変だと思いますが、どのような工夫をしましたか?
5つの「うるるスピリット」は短い言葉なので、人によって解釈が変わってしまいます。例えば、「うそをつかない、悪いことをしない」というのも「つまり、どういうことだろう?」と。社員だけでなく代表や経営陣の解釈も変わってしまうので、一つひとつの解釈を間違えないように説明文も作りました。
また年に2回行っている全社集会の内容も刷新しました。今までの資料は事業や業績の話がメインだったのですが、ガラリとビジョンドリブンの資料に変えて、「そもそも理念とは何か?ビジョンとは何か?行動指針のうるるスピリットとは何か?」という話から、具体的にどういう意義があるのか、どうやって実現していくのかを落とし込んでいきました。
こういった内容を全社集会などで代表がずっと言い続けてくれるようになったので、社員たちにもどんどん浸透していきます。さらに採用活動でも「うるるスピリット」の話をしますし、ブログにも書いてるので、「うるるスピリット」に共感する人しか入社しなくなりました。
“正しい言語化”と、それを泥臭く“ありとあらゆる手段で発信し続ける“ことをした結果、今では組織に浸透してきているかなと思います。さらに工夫しているのは、新しく入社するメンバーのオンボーディングです。
「うるるスピリット」を軸にしたオンボーディングとはどのようなものですか?
私が1on1で1人1時間しっかり取って、当社の歴史やスピリットを説明しています。
さらに「うるるクエスト」というオンボーディングのミッションがあります。もともと新卒インターン生向けにスタートしたんですが、OJTの他にうるるの文化を分かってもらうための方法です。
仕事の仕方は事業部に配属されて実務を通して学べるじゃないですか。でも、うるるの歴史や創業者の想い、他の事業部のことなどはなかなか現場で仕事をしていても分かりづらいものですよね。そういうものを全てミッションとして羅列して、例えば「一度も行ったことない他の部署の人とランチに行く」=経験値1、「副社長からうるるの歴史について学ぶ」=経験値2、「各事業責任者からその事業の生い立ちや歴史、課題を聞く」=経験値2、とする。
これらが中途社員だと20個くらいリスト化されていて、自分で好きに選べるんです。ミッションを達成すると経験値が積めて、そうするとレベルが上がって、レベルが上がったら報酬がもらえる。ドラクエのような感じで楽しくオンボーディングできることがポイントです。
うるるスピリットを社員一人ひとりが語る、「リファラル採用」を導入
さて、ここからはリファラル採用についてお伺いします。まずはリファラル採用を始めた背景を教えてください。
2019年の1月からリファラル採用に取り組み始めました。
ベースの価値観として「うるるスピリット」をお持ちの人かどうかを見極めて採用することが一番の理由です。
過去の採用や組織づくりで得た教訓から、採用においてはカルチャーへの共感や信頼できる人かどうかを重視しています。
そう考えたとき、社員のつながりであれば絶対に信頼できる。今いる社員のベースは「うるるスピリット」なので、社員が紹介してくれるということはベースの価値観があっているはず。それが、リファラル採用の価値ですね。
リファラル採用に取り組む上でMyReferを導入した理由はなんですか?
ある人からリファラル採用がうまくいく方程式があると教えてもらいました。
それは、「社員のエンゲージメント(eNPS)」×「手軽さ」です。
当社は2018年の頭からエンゲージメントサーベイを導入していて、エンゲージメント向上委員会も作っています。社員が生き生きワクワク働ける組織づくりに注力していて、エンゲージメントは少しずつ上がってきているところです。
でも、リファラル採用がうまくいっていないのは、この方程式でいうと「手軽さ」が足りないということではないでしょうか。社員にとっての「手軽さ」を追求しなければリファラル採用は促進されないなと思ったのが一番のきっかけです。
リファラル採用を実施するにあたって、あまり社員に難しく捉えてほしくないと思っていて。
友人を紹介するのも責任が大きいですし、紹介してもらっても必ず内定承諾までいくとは限らないじゃないですか。でも、だからこそ出来るかぎり負担をかけずに、気軽にやってみてほしいと思いました。
MyReferでは、いつでも自社がどんな募集をしているかが分かりますし、自社のイベントにも簡単に友人を誘いやすい。友人に紹介を送ったあとは興味があれば友人が自分で応募しますし、そのまま人事とやり取りをすることになるので、特に社員に負担がかかりません。
またコンサルティングの提案を受けて、リファラルイベントも企画実行するようになりました。
エンゲージメントと手軽さを追求したリファラル採用の取り組みの成果はいかがですか?
2019年は3人リファラル採用経由で入社いただきました。MyReferを導入したことがリファラル採用を活性化させるきっかけになったと思います。入社した3人はまだ入ったばかりですが、やはり知り合いがいるので馴染むのが早いですね。
例えば、2019年の6月くらいに入社した台湾出身のエンジニアが、同じ台湾の友人を連れてきてくれて11月に入社したんですよ。昨日もパソコン画面を見ながら台湾語でフォローをしていて。やっぱり会社の中に知り合いがいるというのは、新入社員からすると精神的にすごく大きく違うんだろうなと感じます。なにより安心感が本当にありますよね。
またリファラルパーティーを開催し、たくさんの人に来てもらうことができました。社員のなかでも、エンジニアがかなり協力的に参加してくれているのも当社の特徴かもしれません。
リファラルパーティー開催。エンジニアも積極的に協力する文化
リファラルパーティーの話を詳しくお聞かせください。
社員にMyReferのイベント案内からSNSを通じて友人を紹介してもらって、お寿司パーティーやビアバッシュを開催しました。最初は人が集まるのかと不安がありましたが、いざ蓋を開けたら会場満杯にたくさんの人が来て本当に嬉しかったです。
何がよかったかというと、まずは開催している側がとっても楽しいんですよね(笑)。
パーティーのために社員をアサインするんですが、誰も断らずに快く来てくれました。そして、「うちってこういう会社で……」と、みんな笑顔でうるるのことを話すんですよね。
聞いているゲストの人もすごく楽しそうに話しているし、事後アンケートも「雰囲気がすごくよかった」、「おもてなしがうるるスピリットにあるけど、本当なんですね」とコメントをいただいて。一度参加したらうるるのファンになってくれます。
リファラル採用をきっかけにゲストを呼ぶリファラルパーティーを開いて、みんなで暖かくゲストをもてなして、改めて当社の暖かい雰囲気にとても満たされました。
素敵ですね。社員が予想以上に友人に声をかけてくれたのですか?
そうですね。特に入社直後のメンバーがたくさん呼んでくれています。
最近の「うるるスピリット採用」でしっかりうるるのことを伝えていて、入社してからもオンボーディングなどを通じてうるるのファンでいてくれているからこそ、協力的になってくれているんだと思っています。
また、エンジニアも特に積極的に参加してくれています。
エンジニア採用には苦戦している会社も多いですが、どうやって積極的な参加を促しているのでしょうか?
当社には組織づくりを大切にしているエンジニアがたくさんいまして、彼らが積極的に声をかけてくれています。
エンジニア向けの勉強会やPodcastをやっているようなメンバーもいて、そういう方は人脈も発信力もあるんですよね。
うるるスピリット採用を徹底するようになってから、仲間が好きで組織づくりを重要視している方が本当に増えました。そういったエンジニアは当社のカルチャーにフィットしますので、入社後のチームへの馴染みが非常に早いなと感じています。
以前はエンジニア採用に苦戦していましたが、今は社長が「技術も強いうるるにする」という大号令を出しているので、エンジニアたちが「俺らが頑張らなきゃいけないな」と思ってくれています。
また、採用チームがエンジニアのことを理解して話せるようになるために、あるエンジニアが私たち採用チームにエンジニアリング勉強会を定期的に開催してくれました。「今はこういう開発環境で、その環境はこうですよ。エンジニアの履歴書の見方はこうです」と教えてくれるんです。
また採用イベントにも出てくれるし、エンジニア専用の採用ブックを作りたいと言ってくれるし……本当に協力的なメンバーが多いですね。
エンジニアが自発的に動いてくれているんですね。その秘訣は何ですか?
私たちはエンジニアのみんなにおんぶに抱っこされているのですが(笑)、以前に比べてコミュニケーションを取る頻度を相当高くしています。
エンジニアたちに採用の課題を共有したり、募集要項作成に深くまで巻き込ませてもらったり。直近で入ってきた人たちで飲みに行き、その際にリファラルのお願いをするとか。
そこで「採用チームが困ってるんだったら、助けてあげようかな」という風に思ってくれているのかもしれないです。
また、エンジニアに限らず、事業部メンバーと積極的にコミュニケーションを取ることを採用チームでは重要視しています。こちらの悩みだけではなく、事業部の悩みも聞くなど、人間関係ができているからこそ、助けてくれています。
また、リファラルパーティーに誰かを紹介してくれたり、参加してくれたりしたら「ありがとう」という感謝は丁寧に伝えています。毎月の全体朝礼で必ず手をあげて、リファラル採用の進捗やリファラルパーティーの結果も伝えていますし、「結局あれやってどうなったの?」ということがないように情報共有するようにしています。
現場との信頼関係の構築が一番大事ですね。
私も数年前までずっと事業を見ていた人間なので、事業部の人は自分の事業でいっぱいいっぱいというのがよく分かるんですよね。なので、その中で友人紹介してくれたり、面接に出てくれたりというのは、こちらからしたら感謝でしかないです。
そして信頼関係は、コミュニケーションの総和で築かれると思います。
私たちは何でも現場に頼ります。募集要項も細かく細かく改訂していますし、求める人材像や具体的にお願いしたい仕事は掘り下げると分かるものなので、全部聞いています。その細かい一つ一つの仕事の中におけるコミュニケーションの総和が大きくなればなるほど、信頼関係に直結して、大きくなっていくんだと思います。
そしてうるるは「うるるスピリット」をもつ人しかいないので、頼られてむげに断る人なんていないんですよ。
みんな忙しい中でも真摯に答えてくれて私たちも助かりますし、採用がうまくいくと現場が助かります。そういった循環がまわっていくようになったんだと思います。
エンゲージメント向上をさらなる事業成長へつなげていく
リファラル採用の活動を通じて、どのようにお考えですか?
核だと思っていることは、いい組織を作れば自ずと人は辞めません。いい組織だったら、社員が満足しているから、自慢したいと思って勝手に友達を呼んできます。さらに私が広報としていい情報を嘘偽りなくアウトプットすれば、自ずとうるるのブランディングや採用広報が強くなっていくので、それを見た社外の人にいいなと思ってもらえます。
だから、社内をよくしないで頑張って社外に広報したり、社員にお金を出しまくってリファラル採用促進したり、メディアできらきらに見せたりしても、結局は意味がないですよね。まずは採用やブランディングをどうこう考えるというよりも、核となる中をよくしようと。
私たちの仕事はいい採用ではなくて、いい組織づくりをしていくこと。そして社内外に沢山のうるるファンをつくること。そうすればいい採用もできると採用チームに伝えています。
今月もリファラルパーティーを開催しましたが、うちに入社してくれなくても「いい会社だな」「いい人がいるな」「いい会社だからサービス使ってみよう」と、ファンになってもらえるかもしれないですよね。それをずっと続けている中で、たまたま転職のニーズがあって当社のほしい人材とも重なったとき、入社につながればいい。
ファンづくりはずっと継続してやっていきたいですし、社員たちにもそういう気軽な感じで「少しでもうるるのことを知ってほしいという想いでいいから、友人を呼んでみてね」と伝えています。
そのために手軽さも追求していきますし、MyReferのデータを分析していろいろな施策を打っていきます。プロジェクトチームを組成したり、イベントの開催を増やしたりしながら、よりリファラル採用を活性化させていきたいです。
最後に、採用・組織づくり全体について、今後の展望を教えてください。
いわゆるベンチャー企業って、組織状態よりも足元の業績だけに目が行きがちです。うるるも以前はそうでした。でも様々な経験を積む中で、そうではないとういことを知りました。
うるるではダニエルキム氏の「組織の成功循環モデル」―「結果の質」を求めるんだったら「関係の質」、「思考の質」を求めないとうまくいかないということをよく話しています。
エンゲージメント向上の話が走り出して、全社員に組織が大事だと浸透していったのがここ1,2年。「とにかく人、とにかく組織、とにかく関係性だ」と代表の星が中心に言ってきました。
「うるるスピリット」の言語化や採用を通じて、いよいよ組織の土台が整ってきたので、あとは事業の成長だけです。事業がどんどん伸びていけば、またいい人が採用できると思うし、もっともっと組織も活性化していくと思います。「うるるスピリット」を軸に、さらなる成長を続けていきます。
編集後記
今回は、クラウドワーカーを活用する「シュフティ」や「入札情報速報サービス」を提供する株式会社うるる様の事例をご紹介しました。
「うるるスピリット」を軸に、採用から組織づくりまで一貫して取り組み、リファラル採用を導入。社員とのコミュニケーションや信頼関係を構築した成果として、社員がファンづくりに協力していることが伝わってきました。
組織力を強くしてビジョンを軸に採用に取り組み、会社のファンを増やしていきたい企業様、お気軽にお声がけください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。