労働人口が不足する現採用市況では、約8割の企業が、求める人材の採用を充足させられていません。
人材獲得競争時代に求められる「潜在層獲得手法」として注目を集める”採用マーケティング”や”リファラル採用”ですが、未だ取り組みの歴史は浅く、各社が再現性のある成果を得るに至っているわけではありません。
今回は自社でリファラル採用の制度設計や促進を検討する人事・経営者に対し、MyRefer利用企業800社60万人の活動データを統計分析したリファラル採用の実態や、その実態に基づく促進ノウハウをまとめております。ぜひ自社採用活動にご活用ください。
調査概要
調査方法
- 調査期間:2019年12月~2022年11月
- 調査対象:従業員数30名~1000名以上 MyRefer利用中の企業
- 取得方法:MyRefer利用企業 各種データ
調査内容
- 1.リファラル採用で獲得する母集団の年齢構成
- 2.リファラル採用で入社決定する応募者の年齢構成
- 3.リファラル採用で成果創出した即戦略人材の例
- 4.リファラル採用で成果創出した最高年齢
- 5.友人紹介のきっかけとなったコミュニティー
- 6.友人紹介のきっかけとなったエピソード
- 7.インセンティブを設定していない求人数
- 8.インセンティブと応募者(被紹介者)の質
- 9.リファラル採用を活性化させるコミュニケーション頻度
- 10.知人・友人へ自社の魅力発信に関するデータ
リファラル採用で獲得する母集団の年齢構成
リファラル採用経由の応募者年齢構成比は20代が48%を占め、最も多くの母集団が形成されています。次点で30代が20.5%となり、リファラル採用は若手・ポテンシャル層の母集団形成に多く利用されていることが分かっています。
リファラル採用で入社決定する応募者の年齢構成
リファラル採用の応募構成比のうち、20代が約半数を占める一方で、決定者構成比は30代から40代のミドル層が全体の50%近くを占めているという結果が得られました。
つまり、30代から40代における応募者の決定率は、20代の決定率に対して1.8倍以上高く、リファラル採用は若手・ポテンシャル層だけでなく、即戦力人材やミドル層の採用にも、活用されていることが分かりました。
リファラル採用で成果創出した即戦力人材の例
では、リファラル採用で決定した即戦力人材とはどんなペルソナなのでしょうか?MyReferでは以下のようなハイクラス人材の採用決定事例が創出されています。
既存の採用手法よりも獲得難易度の高いハイクラス人材の決定を創出できる背景は、そもそもリファラル採用が”現職で活躍されており、転職活動をしていない転職潜在層やハイクラス人材”に対してアプローチすることができるためです。
信頼できる社員をはじめ、人と人とのつながり活かして採用ターゲットにアプローチすることで、他社とバッティングせずに候補者からの単願応募や採用意思決定を獲得することも可能です。
リファラル採用で成果創出した最高年齢
リファラル採用は、若手ポテンシャル人材や、即戦力人材を採用するためだけに活用されるわけではありません。MyReferを利用する企業の中で、入社決定した応募者の最高年齢は75歳でした。
決定者のプロフィール
75歳・女性 | 介護職(前職のつながりでリファラル)
推薦者である社員からのおすすめコメント
〇〇さんは、明るくておしゃれで世話好きで、お母さんみたいな人です。
ご利用者様一人一人に寄り添った、気持ちを重視した看護をしてくださると思い推薦いたします。
労働人口が減少する現代では、シニア人材の活用や再雇用制度の設計、企業のダイバーシティ&インクルージョンの推進が求められる社会となりました。
令和3年4月1日には、高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保義務に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、定年引上げや定年制そのものの廃止、70歳までの雇用制度構築などの努力義務事項も新設されています。
※厚生労働省:高年齢者雇用安定法改正の概要https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html
リファラル採用が、若手人材や即戦力人材に加え、シニア転職への活用、組織の多様性の推進にも役立っている事例がいくつも出てきています。
友人紹介のきっかけとなったコミュニティー
採用担当者が自社社員に向けてリファラル採用活動の促進や広報活動を行う際に、よく社員から「友人がいないので協力できない」といった返事をもらうことも少なくありません。
一方で、中途採用において友人紹介のきっかけとなったコミュニティーを調査すると、前職の同僚や先輩、後輩が33.3%、ビジネスを通じての知り合いは23.1%、学生時代の友人、知人が22.6%という結果が得られました。
つまり、リファラル採用のきっかけは、ビジネスシーンや学生時代の知人、友人などコミュニティを問わず発生するものであり、どんな社員でも日常生活で友人紹介を行うことは可能であり、どんな企業でもリファラル採用が成功するポテンシャルを保有していることが分かります。
友人紹介のきっかけとなったエピソード
ここでは、実際のリファラル紹介が発生した事例を2点紹介します。
スポーツジムのつながり
仕事帰りに立ち寄ったスポーツジムで知り合い、筋トレという共通の趣味があったことで意気投合。居酒屋で飲んでいる時に会社とリファラルの話になり応募・入社決定につながりました。
親子のつながり
娘に職場のアルバイト応募を薦めました。
もともと楽しく働かせてもらっていることもあって紹介しましたが、娘も話に聞いていたとおりの職場だったとミスマッチなく働けています。家庭ではバイト先が共通の話題にとなり、親子で楽しく働いています。
きっかけは日常生活の一部であれ、ビジネスを通じてのつながりであれ、リファラル採用が発生するタイミングの多くはプライベートな場面です。友人や知人から「自身のキャリアについて相談された」「転職活動をしていることを聞いた」などのタイミングに社員(紹介者)は友人を助けたいという感情が動き、自社のことを紹介しているのです。
つまり採用担当者は、社員が友人からキャリア相談などを受けたタイミングで自社を紹介するきっかけを逃さぬよう、リファラル採用制度や募集事実を定期的に社員に向けて周知し、広報活動に注力することが必要です。
インセンティブを設定していない求人数
MyReferに掲載されている求人の58%は友人紹介時のインセンティブが設定されていません。
友人紹介の動機を調査した研究データでは、「ボーナス収入を得るために友人を紹介する」と回答した人はリファラル採用に協力した紹介者全体の11%であり、多くの紹介者は「友人へのホスピタリティ」や「会社への当事者意識や帰属意識」が紹介した動機であると回答しています。
リファラル採用の報酬制度は、自社の募集事実を社員に認知してもらうためのきっかけに過ぎず、金銭を目的にした友人紹介を促進することではありません。
インセンティブと応募者(被紹介者)の質
インセンティブ制度は認知拡大や瞬間的な母集団形成に効果的であり、それが高額であればあるほど効果が高くなる一方で、被紹介者の質は下がる傾向にあります。
インセンティブ金額が増加すればするほど「良くない人材」や「見知らぬ人」を紹介する可能性が高まりますが、「良い人材」や「友人」を紹介する可能性は変わらないのです。
ではどのようにしてリファラル採用を活性化させるのでしょうか。今回の調査では、採用担当者の広報活動やコミュニケーション頻度が応募数に相関することがわかっています。
リファラル採用を活性化させるコミュニケーション頻度
MyReferを利用する企業のうち、週に1回人事から社員に向けたメール配信をしている企業は、コミュニケーション頻度が月に1回未満の企業に比べて、応募獲得数に4.8倍乖離が生まれました。
社員を動機付けし、リファラル採用を活性化するためには定期的なコミュニケーションと認知活動を行うことが重要だということが分かります。
知人・友人へ自社の魅力発信に関するデータ
では、どんなコミュニケーションをすればいいのでしょうか。毎週のように人事から友人紹介を依頼しても社員はノイズに感じてしまいます。
採用担当者が社員に発信すべき内容は、多角的な自社情報です。
当社調査では、友人や知人に自社の魅力を伝えることが苦手だと回答をした社員は全体の37%であり、社員は採用担当者が思っている以上に自社の情報を語ることができません。
社員が友人へ自社で働く魅力を伝えやすくするためには、「自社の人事制度やキャリアパスに関する情報」や「会社の経営や事業に関する情報」、「周りの社員の入社理由ややりがいに関する情報」を発信することが必要になります。
リファラル採用の紹介者と入社者にインタビューを行って情報コンテンツを配信することや、部署ごとのメンバー紹介や事業戦略、自社の人事制度を資料にまとめ、いつでも友人に見せられるようにしておく等、社員自身が語らずとも、友人・知人に自社の魅力を伝えられる環境づくりも重要です。
リファラル採用を通して戦わない採用を実現するために
今回は自社でリファラル採用の制度設計や促進を検討する採用担当者の皆様に対し、MyReferをご利用いただく800社と紹介リクルーター60万人の活動データを統計し、新たなリファラル採用気づきや、促進ノウハウをお伝えしました。
TalentXでは、2015年の創業より7年間、800社60万名のリファラルを支援したTalentXのノウハウをコンサルティングサービスとして展開しながら、企業の文化に合った制度設計から社内プロモーションの設計と実行、持続可能な仕組みをつくるクラウドサービスMyReferと伴走支援を提供しています。
本資料でも、各種データや要約に加え、MyReferの支援内容についても一部紹介しております。ぜひ下記資料ダウンロードからお問い合わせください。