少子高齢化による労働人口の減少や、専門・技術系人材を中心とするほぼ全職種での採用ニーズの高まりなど、多くの企業で人材不足が問題となっています。また企業側のニーズが増えている一方で、過去20年で転職者数の推移に大きな変化はない*総務省 労働力調査(令和5年)ことから、採用難易度の上昇に拍車をかけています。
こうした背景もあり、企業は採用ターゲットの大多数を占める、「転職潜在層」を惹きつける施策に注力しています。
今回、転職潜在層と関係を構築し、中長期的に優秀人材の採用をおこなう様々な企業の施策をまとめた事例集『転職潜在層との関係構築編』を作成いたしました。
掲載している内容の一部を本記事でご紹介いたします。
無料公開中
事例集『転職潜在層との関係構築編』で取り上げている企業
事例集では、下記の企業の『転職潜在層との関係構築』の施策例を紹介しています。
- 過去の優秀な候補者への再アプローチ
- テクノプロ・IT社
- フューチャー株式会社
- 他施策との連携による人材獲得
- 株式会社タイミー
- 日本航空株式会社
- ウイングアーク1st株式会社
- キャリア登録による潜在層獲得
- インフロニア・ホールディングス株式会社
- 株式会社日立製作所
本記事では、フューチャー株式会社、株式会社タイミー、株式会社日立製作所の事例を紹介します。
過去の優秀な候補者への再アプローチ:フューチャー株式会社
フューチャー株式会社
従業員数:連結:2,671名 (2022年12月末現在)
事業概要:グループ経営戦略、新事業・サービスの企画立案
HRグループ 採用・教育統括リーダー 末髙 奈々 氏
フューチャー株式会社は、ITコンサルタント・エンジニアの採用強化のため、採用広報強化とともに潜在候補者をプールする仕組みを構築しました。(以下、事例集・記事より抜粋)
人材獲得競争が激化し、潜在候補者をプールする仕組みの構築やナーチャリングが急務
採用チームは約20名の体制で、そのなかで新卒採用・キャリア採用で担当が分かれています。現在、自社の認知度を向上させる採用広報を強化しており、オウンドメディア「未来報」や、採用ページのコンテンツ拡充に取り組んでいます。記事の企画・取材・執筆・編集も私たち採用チームの仕事です。
(採用施策について)メインの採用手法はエージェントですが、ここ5年ほどでリファラル採用やスカウト採用といった採用チャネルも強化しています。エージェント一辺倒だった母集団形成が、少しずつですが変わりつつあります。
一方、人材獲得競争が激化し、リファラル採用やスカウトで接点を持った方を潜在候補者としてプールする仕組みの構築やナーチャリングが急務でした。
過去の内定辞退者アプローチで入社が決定
システムにはMyTalentを使用しています。(過去に触る機会があった際に)その時のUIが非常に良かったため、TalentXさんのシステムなら使いやすそうと思ったことが理由の1つです。
もう1つの理由は、伴走支援があることです。当社の採用チームは、リクルーター業務や母集団形成、入社オンボーディング、採用広報と幅広い業務を担っているため非常に多忙な状態です。そのため、採用から定着の一連の流れを採用チームと共に伴走してくれる存在は非常に心強いと感じ、MyTalentの導入を決めました。
まずは即戦力採用のために、過去の内定辞退者約500名を対象にタレントプール登録のご案内をお送りしました。結果的に、約150名にご登録いただきました。そのうち約40名が面談に進み、最終的に入社が決定した方もいました。
こちらからダウンロード
他施策との連携による人材獲得:株式会社タイミー
株式会社タイミー
従業員数:477名(うち正社員351名)(※2022年10月時点)
事業概要:アプリケーションの企画・開発・運営
プロダクト本部 プロダクトHR 宮原 望 氏
2017年の創業以来、組織の急拡大を続ける株式会社タイミーでは、急成長する組織でも安定して優秀人材の採用を継続するため、タレントプールを構築し優秀人材の採用に取り組んでいます。(以下、事例集・記事より抜粋)
あらゆる採用施策を試す中で、候補者データの活用に課題があった
これまではエージェント経由の採用をメインに、さまざまな採用活動をしていました。たとえば、技術カンファレンスへのスポンサード、SNSの運用、noteなどでの情報発信です。ほかにも、CTOを中心にイベントへの登壇やテックブログなども運用してきました。
採用における課題は大きく2つあります。1つは、各経路で接点を持った人をデータベースに蓄積していたものの、運用まで手が回っていなかったことです。Notionにログを残していましたが、アプローチができていませんでした。もう1つは、これからの採用数増を考えると、積極的な求職者ではない転職潜在層にアプローチをする必要があったことです。エージェント経由での採用が一番多かったものの、紹介数やダイレクトリクルーティングの対象者数には限界があると強く感じていました。そのため「今のうちにこちらから積極的に働きかけて母集団を形成しないと、いつか枯渇してしまう。そして、枯渇してからでは遅い」という危機感があったのです。
属人化せず効率的にアプローチするにはツールが不可欠
もともとタレントプールをリスト化はしていたのですが、対応が後回しになり、アクションにつながっていませんでした。限られた人的リソースでも効率的に運用ができるような体制をつくるためには、ツールの導入が不可欠だと考えました。
(MyTalentは)他社と比較してタレントプールとしての機能が充実していることと、導入サポートの手厚さ、この2つが決め手になりました。
(最初のアプローチ施策として)プールした人材に対してイベント案内のメールを配信しました。メールの開封率は50~60%で、想定よりも多いと感じました。
こちらからダウンロード
キャリア登録による潜在層獲得:株式会社日立製作所
株式会社日立製作所
従業員数:28,672名(2023年3月末現在)
事業概要:データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業
人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部 主任 関 健太 氏
人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部 兼松 和香奈 氏
株式会社日立製作所は、採用競争激化を背景にキャリア登録に注目。短期的に採用成果を創出しています。(以下、事例集・記事より抜粋)
多様な人材獲得ニーズに応えるため、2019年に「タレントアクイジション部」を立ち上げ
(採用方針として、成長戦略に基づき)即戦力として活躍できる人材の採用を進めており、経験者採用を拡大しています。2015年度では経験者採用は約150名、2022年度は約500名、そして2023年度には約600名の採用計画となりました。
拡大する各部門の多様な人材獲得ニーズに応えるために人材獲得を本社へ一元化し、2019年に「タレントアクイジション部」を立ち上げました。経験者採用選任チームは創設当初の1名から、現在は15名ほどの規模となっています。
以前はエージェントからの採用が多かったのですが、採用競争の激化により、採用ブランディングを含む様々な採用施策に取り組む中で、特に優秀な人材の獲得が難しくなっていると感じています。リファラル、ダイレクトリクルーティングなど、人材獲得手段を多様化させるなかで、さらなる転職潜在層へのアプローチ施策としてアルムナイやキャリア登録に注目しました。
半年で300名が登録
2023年3月から、アルムナイ・キャリア登録の受付を開始しました。ご登録いただいた方には、まずオウンドメディアや事業全体の情報といった日立製作所の“いま”が分かるコンテンツ、募集ポジションやイベントの紹介など、さまざまな情報を配信中です。登録いただいた方にマッチする求人のご案内をしたり、カジュアル面談にお声がけしたりと、個別にアプローチするケースもあります。
半年でおよそ500名の方々にご登録いただいています。そのうちの割合としてはキャリア登録が6割ほどです。ご登録いただいた方からの採用も生まれています。
こちらからダウンロード
他に本資料内では、「経験者採用で最も可能性を感じる施策」としてタレントプールを位置づけているテクノプロ・IT社、転職潜在層へのアプローチで新卒採用中心からの脱却を目指す日本航空株式会社、採用の理想像として自社タレントプール構築を位置づけてキャリア登録の仕組みを活用しているウイングアーク1st株式会社の事例を紹介しています。
中長期的なHR戦略の一つとして転職潜在層からの人材獲得をご検討中の担当者様や人事責任者様は、ぜひご覧ください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。