
労働人口の減少、候補者の情報収集行動の変化、そして採用市場における競争の激化。こうした背景の中で、企業の採用活動はこれまで以上に戦略的な視点が求められるようになっています。従来の「求人を出して待つ」採用では、必要な人材に出会うことが難しくなってきているのが現実です。そこで注目されているのが「採用マーケティング」という考え方です。
本記事では、これまでの採用とこれからの採用を比べ、なぜ今採用マーケティングが必要なのか。その背景を詳しく解説していきます。
※本記事は人事責任者・採用担当向けのお役立ち資料
「なぜ今採用マーケティングが必要なのか」を抜粋、再構成しています。資料の全文は下記リンクからダウンロード可能です。
目次|なぜ今採用マーケティングが必要なのか
- なぜ今採用マーケティングが必要なのか
- 採用マーケティングとは
- 世界と日本で進む採用のマーケティング化
- これまでの採用とこれからの採用
- まとめ
なぜ今採用マーケティングが必要なのか
日本の採用市場はかつてないスピードで変化し、企業にとって優秀な人材の確保はますます重要かつ困難になっています。こうした中、戦略的に候補者との関係を築き、自社の魅力を発信していく「採用マーケティング」が注目を集めています。なぜ今、多くの企業がこの考え方を取り入れ始めているのか──その背景を、労働市場・採用市場・企業の採用課題という3つの視点から整理していきます。
労働市場の変化
まず挙げられるのは労働市場の変化です。少子高齢化の進行により労働人口は年々減少し、2030年には約644万人もの人手不足が予測されています。加えて、テクノロジーの進化に伴いデジタルネイティブ世代が台頭し、働き方やキャリア観の多様化が進んでいます。
採用市場の変化
次に、採用市場における変化です。少子化が進むなか、2030年に22歳を迎える日本人はわずか109万人と、バブル期の6割を下回る水準に落ち込みます。その影響で、新卒・中途を問わず採用の難易度は年々上昇し、有効求人倍率も過去最高水準に達しています。さらに採用単価は右肩上がりで、候補者側が「選べる立場」となっているのが現状です。加えて、求職者の志向は「安定」から「自己実現」へとシフトし、働くことへの期待や価値観は一層多様化しています。
企業が抱える採用課題
こうした労働市場・採用市場の変化を背景に、既存の手法では採用目標を充足できない企業が増加しており、各社、採用に関する課題が顕在化してきています。
そんな中、エージェントや求人広告といった外部チャネルへの依存を減らし、上昇し続ける採用コストを抑え、競合とバッティングしない経路で候補者にアプローチしたい。という「自社採用力の強化」そして、自社採用力強化を実現するために必要な「採用マーケティング」へのニーズが高まっています。
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは「マーケティング戦略を駆使してその企業ではたらく価値を提案し、タレントを惹きつけ、採用し、維持する」行動のことを指します。
従来の「求人を出して待つ採用」とは異なり、候補者との接点を設計し、中長期的な関係構築を通じて“自社に合う人材が自然と集まる仕組み”をつくることが大きな特徴といえます。
世界と日本で進む採用のマーケティング化
採用マーケティングは、単なる理論ではなく世界的な潮流として広がりつつあります。
米国を中心に「Recruiting is Marketing」という考え方が浸透し、欧州でも企業の採用活動に取り入れられるようになりました。
近年では日本国内でもその動きが加速しており、候補者との関係を長期的に育みながら自社に合う人材を惹きつけるアプローチが注目を集めています。ここからは、海外と日本におけるマーケティング化の進展と、その特徴について解説します。
採用にもマーケティングの時代が到来

『Recruiting is Marketing(採用マーケティング)』という考え方は、米国で2013年頃から広く語られるようになり、その後欧州諸国にも広がっていきました。
採用マーケティングは、人材獲得や人材育成、そしてマーケティングの専門家にとっても必須のスキル領域となっています。海外では、キャリアの選択肢として「採用マーケター」を目指すケースも増えており、採用活動がマーケティング化する流れは世界的な潮流といっても過言ではないでしょう。
日本国内においてもマーケティング化が加速

こうした流れは日本国内にも波及しています。自社採用比率を高めることで、優秀な人材の獲得と採用コストの最適化を実践する企業が増えてきました。
特に、費用対効果の高い取り組みとしてリファラル採用・タレントプール採用・アルムナイ採用、さらにSNSやオウンドメディアを活用した採用が注目されています。近年は、転職潜在層に向けた施策の導入も加速しており、日本における採用も“本当に欲しい人材を戦略的に獲得する時代”へと変化しつつあるのです。
これまでの採用とこれからの採用
これまで、採用マーケティングの必要性やトレンドについてお伝えしてきました。
では、待つだけではなく、プロアクティブにタレントを惹きつけるために、企業は今後どのように方針を定め、どのような採用施策を進めていく必要があるのでしょうか。これからの採用を考えるうえで欠かせない4つの必要性を整理してご紹介します。
1.能動的な採用の必要性
これまでの採用は「欠員が出たら募集をかける」という受動的な活動が中心でした。しかし、これからは必要になってから動くのではなく、将来を見据えて主体的に候補者とつながりを築く「能動的な採用」へのシフトが求められているといえるでしょう。
2.多様なタッチポイントの必要性
候補者との接点は、求人広告や採用ページだけに限られません。SNS、オウンドメディア、動画コンテンツ、イベント、リファラルなど、あらゆるタッチポイントが候補者との出会いの入り口になり得ます。
情報があふれる現代では、候補者は無数の選択肢を持っています。その中で自社を選んでもらうためには、複数のチャネルを組み合わせ、候補者が日常的に触れる場に自社の存在を感じてもらえるようにすることが重要だといえるでしょう。
3.Whyの必要性
Z世代を中心に、仕事選びでは「安定」よりも「自己実現」や「共感できる目的」が重要視されるようになっています。そのため企業は「何をするか」ではなく「なぜそれをするのか」を明確に言語化し、発信していくことが欠かせません。
パーソナルパーパス(個人の存在意義)とビジネスパーパス(働く意義)を結びつけることで、候補者は自分のキャリアと企業の目的を重ね合わせやすくなります。Whyを伝えることは、候補者を惹きつけ、共感を醸成する大きな要素になるといえるでしょう。
4.関係を持ち続ける必要性
雇用の流動性が高まるなかで、採用活動は「採用して終わり」ではなくなっています。応募後や入社後も関係を継続し、候補者や社員をファンにしていくことが、長期的な採用力の強化につながるといえるでしょう。
さらに、社員や退職者のネットワークの先にも新たな候補者が存在します。だからこそ、候補者や社員とのつながりを持続的に育てる姿勢が、今後の採用においてますます重要になると考えられます。
雇用の流動性が増す昨今、優秀なタレントほど複数の選択肢を持っています。その中で「選ばれる企業」であり続けるために、採用マーケティングを取り入れた戦略的な取り組みが求められているといえるでしょう。
まとめ
本記事では、採用マーケティングが必要とされる社会的背景、その概念の広がり、そして実践における具体的な視点を整理しました。
労働市場の縮小、採用競争の激化、価値観の多様化という複合的な要因の中で、従来の手法だけでは優秀な人材を獲得することが難しくなっています。
だからこそ、候補者との関係を長期的に育み、能動的にアプローチする仕組みとして採用マーケティングが注目されています。企業が「選ばれる存在」であり続けるために、戦略的に採用マーケティングを取り入れることが、これからの人材獲得において必要不可欠だといえるでしょう。
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監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
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