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2025.10.07更新

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採用マーケティングを実行するための施策選定シート

採用マーケティングを実行するための施策選定シートTOPイメージ

人材獲得競争が激化する現代、採用は「選考」から「関係構築」へと進化しています。転職潜在層へのアプローチ、社内外のネットワークの活用、そして候補者との継続的な接点づくりなど、従来型の採用チャネルだけでは通用しない時代が到来しています。

本記事では、採用活動をマーケティング活動に昇華させ、自社で持続的な母集団形成を実現するために各採用チャネルを整理し、実際に採用マーケティングに取り組む具体的な企業事例を紹介していますので、自社にあった施策を見極めるヒントにご活用ください。

※本記事は人事責任者・採用担当向けのお役立ち資料
採用マーケティングを実行するための施策選定シート」を抜粋、再構成しています。資料の全文は下記リンクからダウンロード可能です。

目次|採用マーケティングを実行するための施策選定シート

  • 外部採用チャネル、自社採用チャネル別の各手法
  • 採用獲得競争時代に取り入れるべき採用マーケティングとは
  • 採用マーケティングを実施する各社の事例
    – フューチャー株式会社 #タレントプール採用
    – 日本航空株式会社 #リファラル #タレントプール採用
    – 株式会社日立製作所 #タレントプール採用
    – ほくほくフィナンシャルグループ #アルムナイ採用(再雇用)
  • まとめ

外部採用チャネル、自社採用チャネル別の各手法

採用チャネルは大きく分けて、「外部採用チャネル」と「自社採用チャネル」の2つに分類されます。それぞれに特性やメリットがある一方で、直面しやすい課題(デメリット)も異なるため、自社の状況に応じた適切な使い分けが求められるでしょう。

採用マーケティングを実行するためには、自社の採用目的やターゲットに応じた施策を選定することが欠かせません。その第一歩として、各採用チャネルの特徴を正しく把握しておくことが重要です。ここでは、各チャネルの特徴と活用時における注意点について、分かりやすく整理していきます。

外部採用チャネル(ペイド・リクルーティング)

候補者/紹介会社からの連絡を待つ「受動型のチャネル」

  1. 人材紹介・エージェント
    人材紹介会社に対して、自社の採用要件や求める人物像を共有し、紹介会社が保有する候補者の中からマッチする人材を推薦してもらう採用手法です。
    一般的に、入社が決定した際に理論年収に応じた成果報酬を支払う仕組みが主流となっています。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 成果報酬が理論年収の30〜35%程度と、一定のコストがかかる点に留意が必要
    • 紹介会社に任せる分、採用ノウハウが社内に蓄積されにくい傾向あり
    • 紹介会社対策が必要(認知促進、報酬増 etc…)

  2. 求人広告・ナビサイト
    企業が求める人材を探すために、自社の求人情報を外部の求人サイトや雑誌などに掲載する手法です。
    広くリーチを狙える「総合型」のサイトや、業種・職種・地域に特化した「専門型」のサイトなど、媒体ごとの特徴を活かした掲載が可能です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 掲載企業数が多いため差別化が重要
    • 求人広告の原稿内容によって応募数や質が大きく左右されるため、魅力の伝え方に工夫が必要

  3. 求人検索サイト
    複数の求人サイトや企業ページに掲載された求人情報を集約し、検索結果として表示できるサービスです。
    費用形態の選択肢が多く、入札金額の決定や、エリア/職種別でのターゲット設定など掲載方法の選択肢も多いので、検索ニーズのある顕在層からの短期成果を見込める一方、複雑性が高いのが特徴です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 表示順位や掲載枠の最適化に向けて、アルゴリズムに関する一定の知識や運用スキルが求められる
    • 他社の求人と並ぶ形で表示されるため、自社ならではの魅力を明確に伝える工夫が必要

企業主導で動くアプローチする「能動型のチャネル」

  1. ダイレクトリクルーティング(DR)
    求人情報を掲載して求職者からの反応を待つのではなく、企業側から自ら候補者にアプローチする手法です。
    サービスによって機能や料金体系が異なり、成果報酬型・定額制など、目的に応じた使い分けが可能です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 候補者への送信文や選定の質が成果に影響するため、一定のノウハウや戦略的な運用が必要
    • アプローチ数を増やすには、メール送信や管理に関わる工数の確保も必要

  2. 採用イベント
    他社と合同で行う説明会などを通じて、求職者と直接対話できる機会を提供する採用手法です。
    面談や面接へスムーズにつなげられる点や、自社をまだ知らない層への認知拡大が期待できる点も魅力です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 対応スタッフの準備や運営体制の構築など、当日の負担が大きくなる可能性あり
    • 幅広い層の来場が想定され、ターゲット外の候補者との接点も発生

自社採用チャネル(採用マーケティング)

認知~選考~入社承諾まで、採用活動全体の各数値(母集団・歩留まり)に好影響を及ぼすチャネル

  1. オウンドメディア運用
    求人情報を掲載する採用サイトとは別に、企業の魅力や働く環境、福利厚生などを自社メディアを通じて継続的に発信する手法です。
    候補者は転職検討の過程で繰り返し情報に触れることで、企業理解が深まり、母集団形成から選考通過率、内定承諾率の向上まで、採用全体に良い影響をもたらすことが期待されます。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
     • 求職者目線で自社の強みを分析し、発信すべき情報を定義する必要がある
     • 継続的にコンテンツを作成・更新するための体制づくりが必要

  2. リファラル採用(社員紹介) 
    自社の社員をはじめ社内外の信頼できる人脈(知人・友人)を介した採用活動/採用手法です。
    信頼できる人脈からの紹介のため、マッチング精度が高く、まだ転職活動を開始していない「転職潜在層」にもアプローチできるのが特徴です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 紹介者(社員)に対し、求める人物像や制度内容を正しく認知させる工夫が必要

優秀な人材を、他社とバッティングせずに低コストで獲得できる自社採用型のチャネル

  1. タレントプール採用
    選考辞退者、イベント参加者などの候補者情報を蓄積・管理し、適切なタイミングでアプローチして採用につなげる手法です。
    自社独自の採用データベースを構築することによって、外部の採用手法に対する依存度を下げ、他社とバッティングせずに採用することが可能です。

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 候補者データの整備に初期対応の工数が発生
    • 転職意向が高まるタイミングを見極めるための仕組みや分析が必要

  2. アルムナイ採用(カムバック・出戻り採用)
    退職者を採用候補者と捉えて採用につなげる手法。単願での転職意向を得やすく、また外(他社)を体感したうえで自社を希望する人材のため、エンゲージメントが高く既存社員にも好影響をあたえることが期待できます。 

    ≪効果的に活用するための注意点≫
    • 母集団が限られるため、計画的な取り組みが必要
    • 採用や業務委託など、目的を明確化しておくことが重要
    • 制度内容やフォロー体制によっては、運用工数が大きくなる可能性も

採用獲得競争時代に取り入れるべき採用マーケティングとは

採用マーケティングとは

採用マーケティングとは「マーケティング戦略を駆使してその企業ではたらく価値を提案し、タレントを惹きつけ、採用し、維持する」行動のことを指します。従来の採用とは異なり、自社が主体的に採用情報を発信することで潜在層へアプローチし、競合と戦わずにコストを抑えながら、効率的に候補者を獲得することができるようになります。欧米では2013年から「Recruiting is Marketing」の考え方が浸透しており、日本でも受け入れられつつあります。

採用市場の変化により、優秀な人材の獲得がますます難しくなる中で、転職潜在層に向けた認知から興味喚起を行う「採用マーケティング」の重要性は、今後さらに高まっていくと考えられます。

そこで注目したいのが、外部の人材紹介会社に頼るだけでなく、自社のリソースを活かして潜在層にアプローチするという視点です。こうした取り組みによって、より主体的で持続可能な採用活動が可能になります。

「即戦力となる人材を迎えたい」「新規事業をけん引できる人に出会いたい」「採用コストを見直したい」「これまでの手法では限界を感じている」といった悩みを抱える企業や人事担当者にとって、採用にマーケティングの考え方を取り入れることは、これからの採用において、新たな可能性を広げる取り組みといえるでしょう。

採用獲得競争時代といわれる、採用市場を取り巻く社会構造の変化

日本の採用市場は、急激な人口構造の変化により大きな転換点を迎えています。総務省の推計によると、今後も労働人口は減少を続け、2030年には22歳の日本人は109万人と、バブル期の6割以下になると見込まれています。

一方で企業側の採用ニーズは右肩上がりで、ほぼ全職業で人手不足が顕在化しており、特に専門性の高い人材やIT・デジタル領域を中心に深刻化しています。

また、個人を取り巻く転職市場に目を向けると、労働力人口6,925万人(※2022年総務省調査)のうち、1年間で実際に転職する人の割合はわずか5%前後にとどまっています。つまり、多くの人は「転職しない・できない」状況にあり、企業がリーチできる母集団は限定的だといえるでしょう。

こうしたなか、リクルートの調査によると、「より良いキャリアや環境を求めて転職に関心がある」という“転職潜在層”は1,000万人を超えているとされており、その多くは今すぐ転職する予定がなく、求人媒体やエージェントといった既存チャネルには現れていません。

こうした背景から、従来型の「転職顕在層だけを対象にした採用活動」では、採用獲得競争が激化するなかで十分な成果を得ることが難しくなりつつあります。

※1 出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の概要」
※2 出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」
※3 出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」

企業の新たな課題

こうした採用市場の構造的な変化に加え、働き手の価値観も大きく転換しつつあります。
これまで主流だった安定志向から、近年は「自己実現」や「成長実感」、そして「企業の理念・カルチャーへの共感」といった要素が、求職者の意思決定において重視されるようになっています。

このような背景のもと、企業の採用活動にも新たな課題が生じています。たとえば、従来のようにエージェントや求人広告に依存する手法では、採用成果の安定的な確保が難しくなってきました。
加えて、採用単価の上昇や「企業も候補者に選ばれる存在である」という認識の広がりにより、企業はより戦略的かつ中長期的な視点で自社の“採用力”を高めていく必要に迫られています。

その中でも、これまでリーチしきれなかった“転職潜在層”との接点を築く手段として、採用マーケティングの導入が注目を集めているのです。

採用マーケティングを実施する各社の事例

ではここからは、実際に採用マーケティングを取り入れて成果を上げている企業の事例を見ていきましょう。
それぞれの企業がどのような採用方針や課題を背景に取り組みを進めているのかを紐解くことで、自社に合った施策を考える際のヒントとしてお役立てください。
※一部抜粋 資料:採用マーケティングを実行するための施策選定シート
※記事内容は2024年10月時点のものです

フューチャー株式会社|#タレントプール採用

ITコンサルタント・エンジニアの採用強化のため、 採用広報とともに潜在候補者をプールする仕組みを構築。

タレントプールに注目した背景・課題
・ IT人材やDX人材の獲得競争が激化し、優秀な人材の確保が難しくなっている
・ 企業の認知度向上や内定承諾率の改善を目指し、採用広報に力を入れている
・ エージェント頼みの採用施策から、リファラル採用やスカウトを併用した母集団形成へシフト
・ すぐに転職を考えていない“転職潜在層”との関係構築に向けて、タレントプール活用に注目

実施した施策
1.母集団施策
・ 転職潜在層向け施策 ― アルムナイ(卒業生)、辞退者への再アプローチ、リファラル
・ 転職顕在層向け施策 ― 検索エンジン対策、ダイレクトスカウト

2.採用広報・候補者体験(CX)施策
・ 採用オウンド充実化
・ 採用イベント
・ 採用における行動指針策定など
・ CX重視の採用施策

採用マーケティングによる成果
内定辞退者への再アプローチ開始から半年で複数名が入社

日本航空株式会社(JAL)|#リファラル #タレントプール採用

転職潜在層へのアプローチで、新卒採用中心からの脱却を目指す。

タレントプールに注目した背景・課題
・ 転職顕在層だけにアプローチする既存の採用手法では限界を感じていた
・ 「新卒採用のイメージ」が強く、中途市場での企業認知が十分に浸透していなかった
・ キャリア採用の強化を社内外にクチコミで広げつつ、転職潜在層にもリーチできる手段としてリファラル採用を導入
・ 広く門戸を開くオープン型採用に加えて、リファラルでつながった候補者と中長期で関係性を築くために、タレントプールの運用をスタート

実施した施策
1.認知獲得
・ クチコミと間口開放により周知を図る

2.データ管理・関係構築
・ 一元管理し、適切な情報を配信

採用マーケティングによる成果
2カ月間で応募者52.2倍
※業務企画職オープン型採用。導入前との対比

株式会社日立製作所|#タレントプール採用

採用競争激化を背景にキャリア登録に注目。短期的に採用成果創出に成功。

タレントプールに注目した背景・課題
・ 採用競争がますます激しくなり、優秀な人材の獲得が難しい状況に
・ 難易度の高まりに対応するため、採用ブランディングを含めた多様な施策に取り組むようになっていた
・ 募集ポジションが幅広く多岐にわたることから、興味のある人材と継続的につながる「キャリア登録」に注目

実施した施策
1.経験者採用導線
・ 公開中ポジションは499 ※24年9月10日時点
・ 候補者目線で探すのが困難であり、直近ではご縁が無くとも、他に合う職種がある可能性も

2.キャリア登録導線
・ シンプルなキャリア登録フォーム設置 登録情報を元に定期情報発信し応募を促す

採用マーケティングによる成果
半年で300名がキャリア登録し、採用成果創出

ほくほくフィナンシャルグループ|#アルムナイ採用(再雇用)

母集団形成の課題を抜本的に解決すべくつながりを資産化する採用にシフト
直接の情報収集・コミュニケーションを目的にアルムナイイベントも実施。

タレントプールに注目した背景・課題
・ これまでは、エージェント経由の“受け身型”の採用が中心だった
・ 課題は「母集団形成」特に、中長期的な人材確保に向けた対策が急務に
・ 短期的にはエージェント数を増やすことで対応してきたが、コストも比例して増加
・ 転職潜在層に対して戦略的にアプローチしていく必要性を感じ、タレントプール施策に着手
 その一環として、退職者との関係性を活かす「アルムナイ採用(再雇用)」も取り入れるようになった

実施した施策
1.アルムナイ採用施策
・ 既存の再雇用制度を刷新し、適用条件拡大(ルール策定)
・ 内定辞退など、他タレントプールと一元管理
 採用情報のほか、イベントやその他情報についても共通DBをもとに定期発信(候補者データ管理)
・ 24年2月にアルムナイイベント実施し、高い満足度を記録
 他社との比較情報も獲得(イベント開催)

2.アルムナイ登録促進施策
・ 採用サイトにアルムナイ登録フォーム設置、登録者に定期情報発信し、応募を促す

採用マーケティングによる成果
250名がネットワークに登録し、20名がイベントに参加


※以下のリンクからダウンロードいただける資料では、さらに4社の事例をご紹介しています
資 料 :「採用マーケティングを実行するための施策選定シート」
掲載企業:テクノプロ・IT社
 #タレントプール採用
     株式会社タイミー #タレントプール採用
     ウイングアーク1st株式会社 #タレントプール採用
     インフロニア・ホールディングス株式会社 #タレントプール採用

まとめ

このように、採用チャネルにはそれぞれ異なる役割と強みがあります。
大切なのは「どの手法を使うか」ではなく、「どの手法が自社の採用戦略に合うか」という視点です。チャネルの特性を正しく理解し、組み合わせて活用することで、限られたリソースの中でも効果的な採用が実現できるはずです。本記事/資料の情報が採用マーケティング施策選定に、少しでもお役立ていただけますと幸いです。

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監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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