一覧へ戻る

2026.06.04更新

Share

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • Copied!

エンゲージメントとリファラル採用―従業員体験(EX)を向上させ、自社のファンをつくるリファラル採用

リファラル採用に取り組む企業が増える一方で、「制度はあるものの紹介が増えない」「インセンティブを用意しても社員がなかなか動かない」といった課題を抱える企業は少なくありません。

そのような状況の中で改めて注目したいのが、従業員エンゲージメントとの関係性です。リファラル採用は単なる採用手法ではなく、従業員が自社への理解や愛着を深め、自社のファンとなっていくプロセスとも深く関わっています。

実際に、社員が自社について語り、友人や知人との接点を生み出すことは、候補者体験(CX)の向上だけでなく、従業員体験(EX)の向上にもつながります。だからこそ、継続的な成果を生み出すためには、制度やインセンティブだけではなく、エンゲージメントを高める視点が欠かせません。

本記事では、タレントアクイジションにおけるEngageの位置づけを整理しながら、エンゲージメントとリファラル採用の関係性や、リファラル採用が定着しない理由、成果につなげるための具体的な取り組みについて解説します。

目次|エンゲージメントとリファラル採用

  • タレントアクイジション(TA)とEngageの位置づけ
  • エンゲージメントとリファラル採用の関係性
  • リファラル採用がCXとEXの両方を高める理由
  • リファラル採用が定着しない本当の理由
  • エンゲージメントを高めるリファラル採用の具体施策
  • まとめ

タレントアクイジション(TA)とEngageの位置づけ

タレントアクイジションとは、中長期的な視点で企業成長に必要な人材を獲得するために、転職潜在層に対してマーケティング思考を取り入れながら戦略的にアプローチする考え方です。従来の「求人を出して応募を待つ採用」ではなく、「必要な人材との関係を構築し、獲得する」という発想への転換ともいえるでしょう。

タレントアクイジションは、大きく3つのフェーズで構成されます。

Attract(惹きつける)

採用ブランドを構築し、潜在候補者の認知や興味を獲得する段階です。企業の魅力や価値観を発信し、まずは存在を知ってもらうことが目的となります。

Nurture(関係を築く)

候補者と接触を重ねながら、転職意向が高まるまで関係を育む段階です。採用CRMなどを活用し、中長期的なコミュニケーションを実施します。

Engage(信頼でつなぐ)

エンゲージメント向上とリファラル採用によって組織のファンを育て、人材獲得へ転換する段階です。採用活動は入社で終わるものではなく、入社後の従業員体験まで含めて設計することが重要になります。

採用活動というと、どうしても応募獲得や選考プロセスに目が向きがちです。しかし、企業をよく理解し、共感し、自ら語ってくれる従業員の存在は、長期的な採用力の源泉になります。

本記事のテーマ「Engage(信頼でつなぐ)」は、採用後も続く従業員体験とリファラルを通じて、組織全体を採用エンジンへと変えていくフェーズです。

エンゲージメントとリファラル採用の関係性

リファラル採用は、候補者体験(CX)と従業員体験(EX)を一気通貫で設計できる採用手法です。企業と候補者の接点を増やすだけではなく、入社前から入社後までの体験全体を通じて、信頼や共感を醸成していく役割を担います。

入社前のCXにおいては、「入口のミスマッチ」を防ぐことが重要です。理念・バリューを正確に伝えることに加え、社員の生の声によるリアリティのある情報提供や、自社ならではの魅力を当事者として語ることで、候補者は企業理解を深めることができます。また、候補者の不安を先回りして払拭することで、より納得感のある意思決定につながります。

一方、入社後のEXにおいては、エンゲージメントを高める体験設計が求められます。オンボーディングをスムーズに進めることはもちろん、仲間集めに参加する体験は従業員の当事者意識を醸成します。さらに、自社について語る経験そのものが組織への愛着や誇りを高め、エンゲージメント向上につながります。また、紹介によって生まれた信頼関係を組織の中に持ち込めることも、リファラル採用の大きな特徴です。

このように、リファラル採用は候補者体験(CX)と従業員体験(EX)の双方を高める取り組みです。「社員が自社を語り、紹介する経験そのもの」がEX向上施策であり、CXとEXを同時に高めることこそがリファラル採用の本質といえるでしょう。

リファラル採用がCXとEXの両方を高める理由

リファラル採用は、採用成果の創出だけでなく、候補者体験(CX)と従業員体験(EX)の双方に好循環をもたらす点に特徴があります。候補者は社員との接点を通じて企業への理解を深め、従業員は自社について語り、仲間集めに関わることで組織への理解や愛着を高められます。

つまり、リファラル採用は「候補者が企業を知る活動」であると同時に、「従業員が自社を再発見する活動」でもあります。その結果として、候補者・従業員の双方にとってより良い体験が生まれ、採用と組織づくりを同時に前進させることにつながります。

候補者体験(CX)を高める効果

候補者にとって、社員から直接情報を得られることは大きな価値があります。社員の生の声を通じて仕事内容や働き方、人間関係などを具体的に知ることができるためです。

また、社員による評価や実体験に基づく情報は信頼性が高く、企業文化との相性も事前に確認しやすくなります。こうしたリアリティのある情報に触れられることで、入社後のギャップやリアリティショックの軽減につながり、より納得感のある意思決定を後押しします。

従業員体験(EX)を高める効果

リファラル採用は、従業員体験(EX)の向上にも寄与します。自社について語り、友人や知人へ紹介する経験そのものが、自社への理解を深める機会になるためです。

また、仲間集めに参加する経験は組織への当事者意識を醸成し、自社への愛着や誇りを高めるきっかけにもなります。さらに、紹介者と入社者の間にある既存の信頼関係は、入社後の受け入れやオンボーディングをスムーズにし、組織への定着を後押しします。

リファラル採用は社員の成長機会にもなる

リファラル採用の効果は採用成果だけではありません。

実際に、知人・友人へ自社を紹介してよかった理由として、約3割(30.2%)の社員が「自分自身の気づきや成長、キャリアの棚卸しにつながった」と回答しています。

会社への貢献だけでなく、自分自身の成長や評価にもつながる取り組みとして捉えられている点は、リファラル採用の重要な特徴といえるでしょう。

リファラル採用が定着しない本当の理由

リファラル採用は、多くの企業で注目されている採用手法の一つです。しかし、制度を導入したものの紹介が思うように増えない、インセンティブを用意しても社員が協力してくれない、といった悩みを抱える企業は少なくありません。

こうした状況を「社員の協力不足」や「制度設計の問題」と捉えられることもありますが、本質的な課題は別のところにある場合があります。リファラル採用を定着させるためには、紹介という行動の背景にある組織文化やエンゲージメントの状態にも目を向ける必要があります。

社員は自社を「知らない・語れない」

リファラル採用が定着しない背景には、社員が自社について十分に理解し、語れる状態になっていないという課題があります。

組織目標を十分に理解できていない社員や、自社の魅力を簡潔に説明できない社員は少なくありません。その理由は、社員自身に問題があるからではなく、自社について知り、語る機会が不足しているためです。

採用背景や事業戦略、企業理念、組織の魅力などが日常的に共有されていなければ、社員は友人や知人から質問を受けても自信を持って答えることができません。その結果、「紹介したい気持ちはあるが、うまく説明できない」「声をかけることに不安がある」という状態が生まれてしまいます。

リファラル採用が広がらない原因は、制度そのものではなく、自社を語れる状態が組織の中に十分につくられていないことにあるといえるでしょう。

リファラルを通じてエンゲージメントが高まる仕組み

リファラル採用には、人材獲得だけではなく、社員のエンゲージメントを高める側面があります。

人は対象について知るほど好意を持ちやすく、反対に知らなければ距離を感じやすいとされています。自社の理念や事業内容、制度、働く環境などについて理解を深めることは、組織への共感や愛着を育むきっかけになります。

また、友人や知人に自社について説明する過程では、自社の魅力や価値を改めて整理し、言語化することになります。理念の背景や事業の意義、仕事のやりがいを自らの言葉で語ることによって、自社への理解がさらに深まり、推奨意欲も高まっていきます。

つまり、リファラル採用は社員が会社を紹介する活動であると同時に、社員自身が会社への理解や共感を深める活動でもあります。紹介が生まれることそのものだけでなく、そのプロセスがエンゲージメント向上につながる点に大きな価値があります。

リファラル採用に対する「よくある誤解」と「本来のリファラル採用」

リファラル採用という言葉を聞くと、「社員から人材を紹介してもらう採用手法」「採用数を増やすための施策」というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし、本来のリファラル採用は単なる紹介制度ではありません。社員やOB・OGなど、自社に共感する人とのつながりを活かしながら、組織のファンを増やしていく取り組みです。

そのため、インセンティブによって一時的に紹介数を増やすことだけを目的にすると、継続的な成果にはつながりにくくなります。重要なのは、社員が会社のファンとなり、自ら友人や知人に紹介したいと思える状態をつくることです。

また、見るべき指標も短期的な応募数や採用数だけではありません。どれだけの社員が自社について語っているのか、どれだけの社員が組織に共感しているのか、といった観点も重要になります。

リファラル採用は採用成果を得るためだけの施策ではなく、組織への愛着やエンゲージメントを高めながら、結果として採用成果につなげていく取り組みといえるでしょう。

エンゲージメントを高めるリファラル採用の具体施策

リファラル採用を継続的な成果につなげるためには、単に「紹介を増やす」だけでは不十分です。重要なのは、協力社員数・一人当たりの紹介数・応募からの決定率という3つの指標をバランスよく高めることです。

どれか一つだけを改善しても、期待する成果にはつながりにくい場合があります。リファラル採用を組織文化として定着させるためには、それぞれの指標に応じた施策を継続的に実行していくことが重要です。ここでは、リファラル採用の成果創出につながる3つの指標について解説します。

協力社員数を増やす

リファラル採用の成果を高めるうえで、まず重要となるのが協力社員数を増やすことです。どれだけ優れた制度を用意していても、参加する社員が限られていては成果の拡大は難しくなります。しかし、多くの企業では「友人を紹介してください」「紹介するとインセンティブがもらえます」といった案内を繰り返すだけになりがちです。このような情報発信は次第にノイズ化し、社員の行動にはつながりにくくなります。

重要なのは、社員が紹介したくなる背景やストーリーを伝えることです。なぜ採用が必要なのか、どのような仲間を求めているのか、採用が事業や組織にどのような影響を与えるのかを共有することで、社員の共感を引き出すことができます。

また、新しい求人情報の定期配信や活動状況の共有、イベント情報の発信、実際の入社事例の紹介なども有効です。リファラル採用を一部の社員だけの活動ではなく、組織全体の取り組みとして認識してもらうことが重要です。

さらに、成果を上げている企業では、マネジメント層が積極的に意義を発信しているケースも少なくありません。経営層や管理職がリファラル採用の重要性を語ることで、組織全体の当事者意識を高めることにつながります。

一人当たりの紹介数を増やす

協力社員が増えても、実際の紹介行動につながらなければ成果は生まれません。そのためには、紹介に対する心理的・運用的なハードルを下げることが重要です。

リファラル採用というと、「転職を考えている友人を紹介するもの」というイメージを持たれがちですが、それだけでは紹介の機会が限られてしまいます。

例えば、カジュアル面談や勉強会、Meetup(交流イベント)などへの参加も紹介対象とすることで、より気軽な声掛けが可能になります。転職意欲が高まっていない潜在層とも接点を持ちやすくなり、将来的な採用機会の創出にもつながります。

また、求人情報や紹介方法、選考フローなどの情報が社内に分散していると、社員は行動を起こしにくくなります。必要な情報を一箇所に集約し、紹介したいと思ったときにすぐ行動できる環境を整えることも重要です。

リファラル採用を特別な活動にするのではなく、「気軽に紹介できる状態」をつくることが紹介数増加の鍵になります。

応募からの決定率を高める

リファラル採用では、紹介が発生した後の体験も非常に重要です。

紹介した社員が「もう二度と紹介したくない」と感じてしまえば、継続的な紹介文化は生まれません。そのため、候補者だけでなく紹介者に対する体験設計も欠かせません。

例えば、選考フローが不透明であったり、進捗共有がなかったり、問い合わせへの回答が遅かったりすると、候補者だけでなく紹介者にも不安や不満が生まれます。また、不採用となった際のフォローが不十分な場合も、次回以降の紹介意欲を低下させる要因になります。

そのため、選考フローや評価基準、ルールなどを事前に共有し、紹介後のコミュニケーション方法を明確にしておくことが重要です。選考中の状況についても可能な範囲で透明性を持って共有することで、紹介者と候補者双方の安心感につながります。

さらに、採用決定時の感謝や賞賛だけでなく、不採用となった場合のフォローも含めて体験を設計することで、「また紹介したい」と思える環境をつくることができます。

リファラル採用からEX向上のサイクルをつくる

リファラル採用は、一度紹介が発生して終わる取り組みではありません。継続的なコミュニケーションを通じて、社員のエンゲージメントを高めながら組織文化として定着させていくことが重要です。

その起点となるのが、採用情報や会社の状況を社員に届ける「認知」です。採用背景や求人情報を共有することで、社員は自社の現状や課題を理解しやすくなります。

次に重要なのが「共感」です。なぜ採用が必要なのか、どのような仲間を求めているのかといった背景やストーリーを伝えることで、社員の情緒的なコミットメントを高めることができます。

そして、紹介しやすい仕組みを整えることで「行動」が生まれます。気軽にシェアできる環境や紹介フローの整備は、社員の参加を後押しします。

さらに、感謝や賞賛、良質な体験を積み重ねることで社員の「ファン化」が進みます。組織への愛着や誇りが高まり、「また紹介したい」と思える状態が生まれます。

認知、共感、行動、ファン化。このサイクルが継続的に回ることで、リファラル採用は単発の施策ではなく、エンゲージメント向上につながる組織文化へと発展していきます。人事や広報は、そのサイクルを動かすコミュニケーションエンジンとして重要な役割を担っているといえるでしょう。

まとめ

リファラル採用は、単なる採用チャネルの一つではありません。候補者体験(CX)と従業員体験(EX)の双方を高めながら、組織への信頼や共感を育てていく取り組みです。

成果を生み出すためには、協力社員数を増やし、一人当たりの紹介数を高め、応募からの決定率を向上させるという3つの指標を継続的に改善していく必要があります。また、その過程で生まれる認知・共感・行動・ファン化のサイクルこそが、リファラル採用を組織文化として定着させる原動力になります。

採用難が続く時代だからこそ、社員との信頼関係や組織への愛着を活かした採用活動の重要性はますます高まっています。リファラル採用を採用施策としてだけでなく、エンゲージメント向上や組織づくりの観点から捉えることが、持続的な採用成果への第一歩となるでしょう。

AIネイティブ・統合型タレントアクイジションプラットフォーム
「MyTalent Platform」

TalentXでは、外部チャネルに依存し、応募データを「使い捨て」にする採用から脱却し、自社で人材獲得(タレントアクイジション)を完結させるための統合サービスを提供しています。
「作業はAIに、意思決定は人に。」日本の採用を、管理からマーケティングへ変革し持続可能に人材が獲得できる、ROIの高い価値を提供します。
採用マーケティング、採用ブランディング、タレントプール採用、採用管理システム、リファラル採用、アルムナイ採用など、トータルでご支援することが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
MyTalent Platformへのお問い合わせはこちら

リファラル採用サービス「MyTalent Refer(MyRefer)」

国内初のリファラル採用サービス。社員のエンゲージメントを可視化し、自発的な紹介を促進。AIが紹介されやすい候補者を特定し、マッチングを支援することで、入社後の定着率向上と採用単価の大幅削減を同時に実現します。

サービス詳細:https://mytalent.jp/refer/
資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/support/download/input/

AIネイティブ採用管理システム(ATS)「MyTalent Hire」

MyTalent Hireは、AIネイティブな採用管理システム(ATS)です。従来のATSでは解決できなかった工数削減と採用力強化を同時に実現します。企業の人材獲得活動を「管理」から「マーケティング」へと変革します。

サービス詳細:https://mytalent.jp/hire/
資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/download/403/input

監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

Share

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • Copied!

人事が作業から解放され、
人に向き合える世界に

Talent Acquisition Economy.

MyTalent Platformで
はじまる、
あなたの会社の変革

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。