グローバル化が進むなかで、優秀な人材をどのように確保するかは企業成長を左右する重要なテーマとなっています。その解決策のひとつとして注目されているのが「留学生採用」です。多様なバックグラウンドを持つ留学生は、専門スキルだけでなく異文化理解力や柔軟な発想を備えており、組織に新しい風をもたらしてくれる存在といえるでしょう。本記事では、留学生採用の基本的な仕組みからメリット・デメリット、採用のプロセスと定着支援にいたるまで、人事担当者が押さえておきたいポイントを徹底解説します。
目次|留学生採用とは?
- 留学生採用とは?
- 留学生採用のメリット
- 留学生採用のデメリット
- 留学生採用のポイント
- まとめ
留学生採用とは?
近年、日本国内の人材不足やグローバル化の進展を背景に、「留学生採用」が急速に注目を集めています。日本で学ぶ外国人留学生は、高い専門性と多様な価値観を兼ね備え、語学力や異文化理解力を発揮できる存在です。その力は、単なる人材不足の補填にとどまらず、組織に新しい発想をもたらし、企業の競争力強化に直結すると考えられます。本項目では、留学生採用の基本的な定義と、その注目度が高まる背景について解説していきます。
留学生採用の定義
留学生採用とは、主に日本国内の大学や専門学校などに在籍、または卒業した外国人留学生を対象とした採用活動を指します。ここでいう「留学生」とは、「出入国管理及び難民認定法」で定められた在留資格「留学」を有し、大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専門学校といった日本の高等教育機関に在籍している外国人を意味します。
彼らは、母国での学習経験に加えて、日本での学びや生活を通じて多様な価値観や柔軟なコミュニケーション力を身につけており、企業にとって貴重な人材といえるでしょう。
なお、就職にあたっては在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」など就労可能な資格へ変更する必要があります。このように、通常の新卒採用とは異なる法的手続きが伴う点も、留学生採用ならではの特徴といえるでしょう。
注目される背景
留学生採用が注目される背景には、複数の社会的・経済的要因があると考えられます。
まず、日本国内では少子高齢化に伴う人手不足が深刻化しており、とりわけ若年層の人材確保が難しくなっています。こうした状況の中で、新たな人材プールとして留学生に注目が集まっているといえるでしょう。
さらに、グローバル展開を進める企業が増えるなかで、語学力や異文化理解に優れた人材へのニーズも一層高まっています。留学生は母国とのネットワークや国際的な感覚を備えており、海外市場への進出や多国籍チームの形成において、大きな力を発揮できる存在と考えられます。
留学生採用のメリット
留学生を採用することは、単なる人材確保にとどまらず、企業の多様性や競争力を高めることにつながるといえるでしょう。グローバルな視野や異なる文化的背景を持つ留学生の存在は、職場に新たな風を吹き込み、イノベーションの創出や海外展開の推進にも寄与すると考えられます。ここでは、留学生採用の代表的な4つのメリットをご紹介します。
・優秀な人材の確保
日本国内で学ぶ外国人留学生の多くは、母国での厳しい選抜を経て来日し、高い目的意識を持って学業に取り組んでいます。そのため、専門的な知識やスキルに加えて、語学力や異文化適応力にも優れている傾向があります。
また、日本企業で働くことに強い意欲を持つ学生も多く、採用後も積極的に業務へ取り組む姿勢が期待できるでしょう。慢性的な人材不足に悩む企業にとって、優秀な人材を確保する有効な手段の一つといえるでしょう。
・職場の活性化
異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、職場に新たな刺激や気づきが生まれやすくなります。留学生との協働を通じて、社員同士のコミュニケーションが活性化されたり、多様性への理解が深まったりすることも期待されます。
さらに、若手社員にとっては異文化交流の機会が成長のきっかけとなり、自身の視野を広げる良い刺激となるでしょう。このように、留学生の存在は組織全体の風通しを良くし、職場の活性化につながると考えられます。
・海外展開の戦力
グローバル化が進むなかで、海外市場への進出や現地法人との連携を強化したいと考える企業は少なくありません。そうした場面において、留学生は非常に有力な戦力となり得ます。
母国の文化やビジネス習慣に精通しつつ、日本の企業文化や業務スタイルにも理解があるため、両者の架け橋として活躍できると期待されます。語学力や国際感覚を備えた人材を社内に持つことで、企業のグローバル展開を円滑に進められるでしょう。
・多様な発想の導入
異なる国や文化で育った留学生は、日本人とは異なる価値観や思考の枠組みを持っています。そうした背景を持つ人材が加わることで、新たな視点やアイデアが生まれやすくなり、サービスやビジネスの創出につながる可能性があります。
また、多様な人材が協働する環境は、企業の柔軟性や革新性を高める効果も期待できます。市場の変化に対応できる組織づくりを目指すうえでも、多様な発想の導入は大きなメリットといえるでしょう。
留学生採用のデメリット
留学生の採用には多くのメリットがある一方で、デメリットとなり得る点も存在します。特に、法的な手続きや言語・文化の違いに伴う課題は、企業側があらかじめ理解しておく必要があるでしょう。事前にリスクを把握し、受け入れ体制を整えておくことで、安心して留学生を迎え入れることができます。ここでは、採用時に注意すべき代表的なデメリットをご紹介します。
・在留資格の確認
留学生を採用する際には、必ず「在留資格」の確認が必要です。留学生は在学中「留学」という在留資格で日本に滞在していますが、就職する際には「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な資格に変更しなければなりません。職務内容が取得予定の在留資格と一致していない場合、変更が許可されず、内定が無効になるリスクがあります。
→対策として、法務省や出入国在留管理庁の最新情報を確認しつつ、事前に専門機関へ相談するなど慎重な対応を行うことが望ましいでしょう。
・日本語能力の評価
留学生の日本語レベルは個人差があり、実務に支障が出る可能性もあります。特に顧客対応や文書作成を伴う業務では、高い日本語能力が求められる一方、専門職ではスキルが優先されることもあるでしょう。日本語力を十分に見極めないまま採用すると、業務遂行に課題が生じるリスクがあります。
→ 対策として、「日本語能力試験(JLPT)」の結果を参考にするだけでなく、面接で会話力や理解力を確認するなど複数の方法を組み合わせて評価すると安心です。
・社内受け入れ体制の整備
留学生が安心して働ける環境を整えるためには、社内の受け入れ体制が欠かせません。文化や習慣の違いに配慮したコミュニケーションの工夫や、メンター制度の導入が不足していると、孤立感や不安を抱かせてしまうリスクがあります。
→ 対策として、外国籍社員に関するルールやマニュアルをあらかじめ用意しておくことで、トラブルの未然防止につながります。さらに、社員全体に対して異文化理解を深める研修を実施することで、受け入れ側の意識醸成にもつながるでしょう。こうした体制づくりが、結果的に留学生の定着率向上に寄与すると考えられます。
留学生採用のポイント
留学生の採用を円滑に進めるためには、一般的な採用活動とは異なる点を理解し、事前に十分な準備をしておくことが大切です。特に、在留資格の変更手続きなど法的な対応も含まれるため、採用フロー全体を把握しておくことで安心して進められるでしょう。ここでは、留学生採用の基本的な流れについてご紹介します。
採用する人材要件の定義
まずは、自社で求める人材像や業務内容を明確にし、それに基づいた採用要件を定めることが出発点となります。特に「どの程度の日本語能力が必要か」「どのような専門知識やスキルを重視するのか」といった点を、留学生向けにわかりやすく整理しておくことが重要です。
加えて、採用予定の職務内容が在留資格の条件に合致しているかも確認しておくとよいでしょう。これにより、後のビザ申請手続きがスムーズに進みやすくなります。こうした事前準備が、ミスマッチのない採用活動を実現する第一歩といえるでしょう。
採用プロセスの詳細
採用プロセス自体は、通常の新卒採用や中途採用と大きな違いはありませんが、留学生特有の配慮が必要になります。たとえば、選考案内や面接での説明は、なるべく平易な日本語で行うと安心です。また、必要に応じて英語や母国語でのサポートを用意することも効果的といえるでしょう。
応募受付から書類選考、面接、内定通知までの一連の流れを丁寧に設計し、応募者が不安なく参加できる環境を整えることが大切です。さらに、内定後には就労に向けた在留資格の変更手続きや入社準備に関するフォローも欠かせません。たとえば、入社前のオリエンテーションや生活面での相談窓口を設けることで、安心感を持って新しい環境に臨めるでしょう。
在留資格変更手続きの流れ
内定後、実際に留学生が働くためには、「留学」の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な資格への変更手続きが必要です。手続き自体は本人が出入国在留管理局に申請しますが、企業側も複数の書類を準備しなければなりません。
企業が提出する主な書類には、雇用契約書、会社概要、採用理由書などが含まれます。さらに、職務内容が在留資格の対象業務と一致している必要があるため、その点を説明できる資料も重要です。申請から許可が下りるまでには通常1〜2か月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールで準備しておくことが望ましいでしょう。
よくある課題とその対処法
留学生採用を進めるなかでは、採用過程や入社後のフェーズそれぞれで特有の課題が生じることがあります。特に、コミュニケーション面でのすれ違いや、入社後の定着に関する悩みは多くの企業に共通するものといえるでしょう。ここでは、採用活動中に見られやすい課題と、定着率を高めるための工夫についてご紹介します。
コミュニケーション面の課題
留学生採用においては、文化的背景や言語の違いからコミュニケーションのすれ違いが起こることがあります。たとえば、選考案内や面接時の説明が難解であったり、あいまいな表現が誤解を招いたりするケースです。さらに、日本特有の「察する文化」や暗黙の了解といった考え方は、留学生にとって理解しづらい場合があるため注意が必要です。
対処法としては、選考案内や面接の説明をできるだけ平易な日本語で行い、要点を明確に伝えることが有効といえるでしょう。必要に応じて英語や母国語でのサポートを用意するのも効果的です。加えて、内定後から入社直前の段階でも、丁寧なコミュニケーションを心がけることで候補者に安心感を与えられるでしょう。
定着率向上の工夫
留学生に長く安心して働いてもらうためには、入社後のサポート体制が重要となります。業務面だけでなく生活面の相談にも対応できるメンター制度を導入することで、孤立感や不安を軽減できるでしょう。
また、外国籍社員向けのキャリアパスを明確に提示することで、将来の成長イメージが描きやすくなり、モチベーションの維持にもつながります。入社前から業務内容や社内の雰囲気、福利厚生などをわかりやすく伝えておくことも、スムーズな定着に効果的です。最終的には、企業全体で多様性を受け入れる風土を育むことが、留学生の長期的な活躍を支える鍵となるでしょう。
まとめ
留学生採用は、優秀な人材の確保や職場の活性化、多様性の促進といった観点から、多くの可能性を秘めた採用手法といえるでしょう。グローバル化が進むなかで、企業の競争力強化にも寄与することが期待されます。
一方で、留学生採用を単なる採用手段として位置づけるのではなく、自社にとって必要な人材像を明確にし、受け入れ体制やサポート環境を整えることが欠かせません。採用前から入社後に至るまで、一貫した準備と配慮を行うことで、双方にとって良好な関係を築くことができるでしょう。
採用市場が大きく変化するなか、多様な人材を受け入れる姿勢は、今後の企業成長を支える重要な要素となります。自社に合ったかたちで、留学生採用を選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
また、もし「従来のやり方では採用目標数を満たせない」といった課題感から留学生採用に注目している場合には、その解決策として「採用難時代に必要な考え方」をまとめた資料もご用意しています。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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監修 | TalentX Lab.編集部
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