
近年、グローバル化による企業間競争の激化や、事業開発におけるイノベーション、ダイバーシティなど、目まぐるしく変化し続ける経営環境を乗り越えるために、従来の人材とは異なる新しいタイプの人材が求められています。 その代表的なものの1つにT型人材があげられます。
T型人材とは、特定の分野において専門的な知識や経験、スキルを蓄積したスペシャリストであり、それをベースに専門以外の幅広いジャンルでも豊富な知見を持っている人材を指しています。
この記事では、T型人材の意味や採用・育成をするメリット、T型人材に求められるスキルや育成するポイントを解説するとともにI型人材、π型人材、H型人材についてもご紹介します。
目次
- T型人材とは
- T型人材とI型人材、π型人材、H型人材
- T型人材を確保するメリット
- T型人材の育成や採用のポイント
- 中長期の計画でT型人材の採用や育成を進めよう
T型人材とは
T型人材とは、特定の分野において専門的な知識や経験とスキルを蓄積し、その分野を極めたスペシャリストであり、且つそれらをベースとし、専門以外の幅広いジャンルにおいても豊富な知見を持っている人材のことを指しています。
T型人材の特徴・定義
T型人材は、特定の1つの分野を極めたスペシャリストとして充分な専門的知識やスキルと豊富な経験を積み重ね、それらをベースに専門分野以外の幅広いジャンルにおいても豊富な知見を持っている人材です。
T型人材は、専門分野を1つ持っていることからシングルメジャーとも呼ばれます。
T型人材が求められる背景・理由
T型人材が求められる背景としては、ビジネスシーンにおけるグローバル化による企業間競争の激化、事業開発におけるイノベーション、さらには働き方やスキルの多様性(ダイバーシティ)など、企業を取り巻く環境の劇的な変化があげられます。
こういった背景から、事業成長の実現に貢献できる人材として、高い専門性と幅広い知見を持ったT型人材を求める企業が増えています。
T型人材とI型人材、π型人材、H型人材
T型人材は、高い専門性を持ったスペシャリストであるとともに、幅広い知識も持ちわせたゼネラリストでもあります。T型人材と呼ばれるのは、「T」の文字をタテ(l)とヨコ(一)に分解し、タテは専門性、ヨコは知識の広さといった特徴を表現しているからです。T型人材は、専門分野を1つ持っていることから「シングルメジャー」とも呼ばれます。
T型人材以外にも色々な人材タイプが知られていますが、ここではT型人材以外の3つの人材タイプをご紹介します。
- I型人材
- π型人材
- H型人材
I型人材とは
I型人材とは、特定の分野において専門的な知識や経験とスキルを蓄積し、その分野を極めたスペシャリストのことを指しています。 高い専門性を持つ点はT型人材と同様ですが、I型人材は専門分野以外の幅広い知見を有していません。
π型人材とは
Π(パイ)型人材とは、異なる2つ以上の分野において専門的な知識や経験とスキルを蓄積し、それぞれの分野を極めるとともに、専門以外の幅広いジャンルにおいても豊富な知見を持つ人材のこと指しています。Π型人材は、複数の専門性と幅広い知見を併せ持っていることから、ひとりでも独創的な発想ができるタイプの人材です。
T型人材が1つの専門分野をもつことからシングルメジャーとも呼ばれますが、Π型人材は、2つ以上の専門分野を持つことからダブルメジャーとも呼ばれます。
H型人材とは
H型人材とは、T型人材のように特定の分野の専門的な知識や経験とスキルを有するスペシャリストであるとともに、幅広い知見を活かして、別分野の専門知識を有するスペシャリストを繋げる架け橋となる人材のことを指しています。
H型人材は、異なる分野のスペシャリストと繋がることによりイノベーションを起こす「イノベーション人材」とも呼ばれます。
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T型人材を確保するメリット
高い専門性を持つスペシャリストであるとともに、幅広い知識も持ちあわせたゼネラリストでもあるT型人材を育成し、確保することは、自社に大きなメリットをもたらします。
ここでは、2つのメリットをご紹介します。
- 独創的なアイデアの創出
- 多種多様な業種とのコラボレーションが可能
独創的なアイデアの創出
高い専門性と幅広いジャンルの知見を持ち合わせるT型人材は、幅広い視野をもとに発想を横展開することが可能です。 それによって従来からの業界の慣習や常識にとらわれない、また客観的な視点をもって独創的なアイデアから、事業開発におけるイノベーションを創出する可能性が高いことは大きなメリットになりえるでしょう。
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多種多様な業種とのコラボレーションが可能
幅広いジャンルの知見を持ち合わせるT型人材は、他の業種や業界のスペシャリストと共通言語でコミュニケーションをすることが可能です。幅広い分野のスペシャリストと接点を持つことで、業種や業界を組み合わせた独創的なアイデアや企画がうまれやすくなることはT型人材を確保するメリットです。
T型人材の育成や採用のポイント
T型人材と呼ばれるには、特定の分野のスペシャリストとしての知識や経験、スキルが必要です。これらは、一朝一夕に習得することは不可能です。そのためT型人材を確保するには、自社の社員を育成するか、中途採用する方法が一般的です。
ここでは、T型人材を育成する場合と採用する際のポイントについてご紹介します。
T型人材の育成時のポイント
T型人材を育成する場合、専門分野の知識やスキルを習得するための経験が必要です。多くのことを経験するには時間がかかるものであり、企業がT型人材を育成する際には中長期的な育成スケジュールを立て、早い段階で始めることがポイントです。下記に3つのポイントを記載します。
- 専門領域に特化した研修をうけることにより、専門性を高め特定分野のスペシャリストとなる
- ジョブローテーションを経験することにより、幅広い分野での知見を習得しゼネラリストの側面を身につける
- 多様性のある組織を構築することにより、さまざまな価値観、視点、発想を経験することで多様性を身につける
T型人材の採用時のポイント
特定分野の高い専門性を持つスペシャリストと、幅広い分野の知見をもつゼネラリストの両面を兼ね備えたT型人材の希少性は高く、中途採用市場のなかで獲得することは、非常に困難と言わざるを得ません。
自社の状況に合わせて、専門性の高いスペシャリストを採用しT型人材として育成するか、あるいはある程度の特定の分野の知識をもつゼネラリストを採用し、専門分野の専門性を高める研修や経験を積むことによってT型人材に育成することが必要といえるでしょう。
こちらの資料からは、採用課題を根本的に解決する考え方と採用手法特徴比較表をセットにした内容をご覧いただけますので、T型人材を採用するための手法を整理する際にお役立てください。
中長期の計画でT型人材の採用や育成を進めよう
企業にとって、高い専門性と幅広いジャンルの知見を持ち合わせるT型人材を自社内に確保することは、グローバル化による競争の激化、事業開発におけるイノベーション、ダイバーシティなど目まぐるしく変化し続ける経営環境を乗り越え、継続的な事業成長の実現に欠かせないポイントです。
しかしながら、T型人材の採用や育成は一朝一夕にできるものではなく中長期にわたっての計画が必要であり、人事採用部門においても課題の一つといえるでしょう。
またTalentXでは、様々な採用手法を広く把握したい方や、各採用手法の特徴を理解したうえで自社の採用課題に合致した方法を検討したいという方に向けて、代表的な採用手法の特徴一覧を整理した資料をご用意しております。T型人材に代表される優秀層を獲得するための採用手法を検討する際には是非ご覧ください。

監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。