近年の人材採用市場においては人材獲得競争が一層激化しており、人材獲得競争時代とも呼ばれています。 このような状況の中、自社に必要な優秀な人材を獲得することは、ますます困難を増しています。
人材獲得競争とは、企業が自社に必要な人材を採用するために行う競争のことです。多くの企業は少子高齢化や求人倍率の上昇などにより人手不足となっている状況にあり、そのなかで自社に必要な人材を確保するために行われます。多様な働き方ができる労働環境の整備、競合他社と比較して魅力的な待遇・雇用条件、自社を魅力的に伝える採用手法など、競合優位性を担保するためにはさまざまなものが必要になっています。
この記事では、人材採用競争が起きている背景、問題点、回避する採用手法などについてわかりやすく解説します。
目次<人材獲得競争とは?概要や獲得競争を回避する方法を解説>
人材獲得競争とは
人材獲得競争とは、企業が自社の求める優秀な人材を採用するためにさまざまな採用手法を用いて行われる、人材採用に関わる競争のことを意味しています。
多様な働き方ができる労働環境の整備、競合他社と比較して魅力的な待遇・雇用条件などとともに採用手法についても自社を魅力的に伝えるための取り組みなど、競争環境の中で優位性をもって採用活動を推進するためにはさまざまなものを用意する必要があります。
企業は、人材獲得競争を乗り越えるために、さまざまな採用手法を活用するとともに、自社の魅力を候補者に伝える内容の情報発信を継続的に行っていく必要があります。
人材獲得競争が起きている背景
人材獲得競争が起きている背景として、ここでは3点をご紹介します。
- 少子高齢化による労働人口減少
- 求人倍率の上昇
- 専門人材の不足
少子高齢化による労働人口減少
2025年問題と呼ばれる超高齢社会化と出生率低下による少子化が合わさった少子高齢化によって労働人口は減少し続けています。さまざまな業種や職種で働き手、つまり労働力の不足が人材獲得競争の1つ目の背景です。
求人倍率の上昇
人材獲得競争が起きている2つ目の背景には、求人倍率の上昇があげられます。企業の求人数は増加の一途をたどっており、求人倍率は右肩上がりに上昇し続けています。2019年1.2~1.3倍だった求人倍率は2022年8月には2.11倍にまで跳ね上がっています。
労働人口の減少が進んでいく中では、求人倍率は更に上昇することが見込まれています。各企業は、自社に必要な優秀な人材を採用し確保するために、採用活動において競争状態に陥っています。
専門人材の不足
日本の企業では、急激に進むDX化の流れに対応するため、高度なIT技術を持った専門人材の需要が増加して人手不足状態となっています。そのような希少な専門人材の不足が、人材獲得競争が発生している背景となっています。
高い専門性を持った人材にとって、業務面と待遇面などがマッチし満足できる水準であれば入社の意欲が高まると考えられます。さらに、入社後のミスマッチを防ぐことによって早期離職の防止にも繋がります。人材獲得競争である環境下においては、入社意欲を高めるとともに早期離職も防止しながら専門人材を確保していくことが求められています。
人材獲得競争がもたらす問題点
人材獲得競争がもたらす2つの問題点をご紹介します。
- 人材の未充足による業績へのマイナス影響
- 採用コストの増加
人材の未充足による業績へのマイナス影響
企業の人材採用は、経営目標や事業目標を達成するために行われるものです。現状の人材ポートフォリオを理解し、目標達成するために必要な人材を獲得します。
その過程において、人材獲得競争によって、自社の成長や目標達成に必要な人材が確保できない「人材の未充足」の状態に陥ると、目標達成に向けての事業活動が停滞したり、あるいは停止してしまう恐れがあるでしょう。
採用コストの増加
人材獲得競争の問題点として、採用コストの増加が上げられます。一般的に各企業は人材採用にはさまざまな採用手法を活用しています。人材紹介サービス、転職サイト、求人広告など多くは有料サービスを活用しています。これらの有料サービスは、基本的には既に転職活動を開始している転職顕在層を競合して採り合う状況です。そのため、採用が決定した場合の紹介手数料が高騰したり、有料広告を出しても採用の成果が得られなかったりといったように、人材獲得競争の環境下においては採用活動にかかるコストが増加することが考えられます。
人材獲得競争を避ける代表的な採用手法
人材獲得競争が激化している状況においては、競合と戦うことを回避する「戦わない採用」という視点を持つことが重要なポイントといえるでしょう。人材獲得競争のすべてを避けることは難しいかもしれませんが、まだ転職活動を開始していない転職潜在層へのアプローチを行い競争しない採用を実現することが必要になってきています。
下記では、具体的な採用手法をご紹介します。
採用マーケティング
採用マーケティングとは、マーケティング戦略を駆使して企業で働く価値を提案し、タレントを惹きつけ、採用し、維持する行動を指します。
一般的な消費者マーケティング同様、「認知」⇒「興味」⇒「検討」⇒「行動」⇒「ファン化」まで、採用候補者の意向を醸成していく活動全般を指しています。海外においては優秀な人材の採用手法として広まっており、日本においても採用領域にマーケティングの概念を取り入れ活動する企業が増え始めています。
タレントプール採用
タレントプールとは、将来的に採用の可能性がある優秀な人材と関係を維持していくため、候補者のデータを集約することをいいます。タレントプール採用は、過去に接点を持った候補者や自社に興味を持った人々の転職に関わる情報を蓄積し、転職意向が高まったタイミングで採用活動を行うため、他社との競合が発生しにくい手法です。
タレントプールの目的は、一緒に働きたい優秀な採用候補者に対して、短期的あるいは中長期的かつ適切なタイミングでアプローチを行うことで、採用に繋げることです。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員をはじめ社内外の信頼できる人脈(友人・知人)を介した採用活動・採用手法を指します。リファラル採用は、企業をよく理解した人脈による紹介からの採用手法であるため、マッチング率や定着率が高く、採用ミスマッチが起きにくい採用手法です。
また、リファラル採用は、社員の知人・友人を介して、転職潜在層にアプローチできるため、他社との競合は発生しにくい採用手法です。
アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、何らかの理由で自社を退職した人を再雇用する採用手法のことで、別名「カムバック採用」「出戻り採用」ともいわれています。
アルムナイ採用の最大の特徴は、何といっても自社の理念や事業を理解した人材が戻ってくる点です。人材採用の失敗を回避できるだけでなく、即戦力としての活躍が期待できます。 アルムナイ採用は、退職者同士に限られたコミュニティの場であり、競合が起きにくい手法です。
SNS採用
SNS採用とは、SNSを活用して行われる人材採用活動のことを指し、FacebookやX(旧Twitter)、LINE、Instagram、Linkedinなどといったサービスを活用して行われます。 SNS採用は、ソーシャルリクルーティングとも呼ばれ、SNSのプラットフォーム上で候補者を募集したり求人を告知する採用手法を表わしています。
採用オウンドメディア
採用オウンドメディアは、候補者の応募前の認知、興味付けを行う採用ブランド戦略の最も重要な役割を担います。 職場文化、従業員の福利厚生、成長環境等、候補者が自社を正しく認知するための情報を提供するメディアであり、自社の採用ブランディングの土台を形成します。
採用オウンドメディアを通じて、自社の魅力やさまざまな情報発信を続けて、応募意欲を醸成していった結果として、求人への応募となるケースが多く、他社との競合は発生しないでしょう。
まとめ<人材獲得競争とは?概要や獲得競争を回避する方法を解説>
企業の人材採用活動を推進して行く上で、人材獲得競争は避けられないものといえるのではないでしょうか。しかし、人材を採用する手法にはさまざまなものが知られており、他社との競合が発生しない、または起きにくい手法を取り入れることが採用の現場では求められています。
この記事の中では、少子高齢化や求人倍率の上昇などにより人手不足となっている状況や専門性の高い人材の不足といった状況のなか、人材獲得競争を回避して、自社に必要な人材を獲得できる代表的な採用手法をご紹介しています。自社の採用課題を解決する手法として、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
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監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
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