即戦力採用を強化するスタートアップ企業が多いなか、TalentXでは即戦力採用に加え、新卒や若手の採用、入社後の登用にも力を入れています。
今回は、当社と同じく若手の活躍に注力し、さまざまな施策を推進してこられている株式会社パートナーズ執行役員CHROの清家良太氏と、当社CHROの中村侑太郎との対談を実施しました。若手の採用や活躍の後押しに力を入れる各企業の取り組みや想いについて語っています。
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株式会社パートナーズ 執行役員 CHRO(人事最高責任者)
清家 良太 氏新卒で2007年に旭硝子(現AGC)に人事として入社。国内・海外人事を経験した後、アクセンチュアで人事・組織コンサル、DeNA、ビズリーチで人事に従事。ビズリーチでは事業推進室にて事業開発も経験。2019年3月、GA technologiesにCHROとして入社。GAグループ全体の人事戦略を担う。2023年にGA technologies100%子会社の株式会社パートナーズにて執行役員に就任。
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株式会社TalentX CHRO
中村 侑太郎新卒で2013年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。メディア媒体の営業に従事した後に全社人事に異動。北海道・九州地方のエリアマネージャーを務めた後、サーキュレーションにてコンサルティング本部マネジャー、全社採用責任者、ナショナルクライアント向けコンサルティング部門マネジャーを歴任。20名の創業期から東証マザーズ上場までを経験。2022年1月にTalentXに参画し、CHROとして人事領域を管掌。
新卒の入社前インターンシップにかける想い
中村:
新卒や第二新卒など、ポテンシャルを秘めている若手の方たちの活躍を推進している企業が多くなってきているなか、清家さんご自身、以前在籍されていたGA technologiesさんや、現職のパートナーズさんにて若手の登用に積極的に取り組んでこられていることと思います。
当社も現在若手の活躍を後押ししており、清家さんから取り組みの背景や想いなどお伺いできればと思います。それでは、よろしくお願いします。
清家氏:
よろしくお願いします。
中村:
早速ですが、まずは新卒採用のテーマです。実は当社も新卒採用は創業から始め、2020年に一期生が入社しました。ビジョナリーカンパニーを本気で作るという想いで、新卒採用については経営陣含め力をいれて取り組んできました。
清家さんご自身も、GA technologiesさんやパートナーズさんで新卒採用に関わる取り組みを作ってこられたと思いますが、実際に苦労した点や工夫した点など教えていただけますか。
清家氏:
GA technologiesとパートナーズ、どちらにも関わる話ですが、当時私がGA technologiesに入った時、社長の樋口から新卒採用を圧倒的に進めてほしいとオーダーをもらいました。今でこそ社員数は、グループ会社各社のM&Aもあり約1100名ですが、当時は200名ほど。何をもって人を引き寄せるのか考えながら母集団形成に取り組みました。GA technologiesでもパートナーズでも苦労したことですが、具体的な施策は入社前インターンシップです。パートナーズではやっと一昨年から実施できるようになりました。
中村:
そうなんですね。入社前インターンシップ、当社も毎年悩みながら正式には実施できていないですね。
清家氏:
パートナーズではジョインしてすぐに提案しましたが、なかなか実現できませんでした。不動産系の我々の仕事は外から見える綺麗な部分と、中で働いて初めてわかる泥臭い部分があります。入社前にインターンシップを実施したら、内定者はやめるのではないかという周囲の懸念の払拭にとても苦労しました。しかし私としては、絶対そんなことはないし、むしろそこでやめるんだったら入ったあとも活躍しないという思いを持っていました。
中村:
あえて入社前に経験させているんですね。そのほか実施されている取り組みなどはありますか。
清家氏:
意図的に、必ず人事部にインターンシップの新卒内定者を配属しています。だんだん自分が学生の感覚に疎くなるなか、1番感度高く動けるのは今の学生であり、新卒メンバーに人事に来てもらうことには大きな意味があると思っています。GA technologiesで1番最初に21卒採用で打ち出したことは「21卒が、21卒を採る」です。正しくは「母集団形成をする」なのですが、人事にインターンシップを置いて、裁量権を持たせて動いてもらいました。早くに内定承諾という意思決定を行ったメンバーは、早くにチャンスをもらえる。ビジネスパーソンとしては、もらったチャンスをいかに広げていくのかという点にフォーカスしてほしいと思っています。
さらに、21卒が20卒の内定者合宿の企画もしました。実は、そこには相当なハレーションもあったのですが、我々が既存の枠組みで進めるよりも学生はどのような体験を得たいかという点を一番重視していました。私のポリシーは、若手にやりたいことを好きにやってもらい、責任だけ取るということです。
中村:
その文脈で言うと、実は当社もリファラルを推進している中で日本一のリファラル数を誇る会社を目指し、内定者のリファラル施策を実践しています。(詳しくはこちら)
昨年は10名の内定者から300名のリファラルが得られ、内定者自身や紹介された方々からも「社会」と「自分」の理解を深める良い機会になったという声が挙がりました。
御社では、学生に同じ年代の学生を連れてきてもらうために、どのような仕掛けをしているのでしょうか。
清家氏:
そもそも採用している属性はコミットメントが高いメンバーが多いです。24卒の事例ですが、特に人事のインターンをしたメンバーには人事への配属希望があるので、それを叶えたいのであれば宅地建物取扱責任者を取ったうえで、自分が働きたいと思うメンバーを3人紹介するというミッションを課しました。当社はまだ認知度が低いのだから、今パートナーズを好きかどうかは関係なく、各メンバーが働きたいと思う人との初期接点を作るだけでいいと。24卒に24卒を連れてきてほしいと伝えた結果、平均2.5名ほど連れてきてくれて、数名採用に至りました。
自分の意思をキャリアに反映する仕組みづくりを
中村:
ちなみに人事以外の部門に配属された時、御社では営業から人事への異動のような横のキャリアは積極的に作っているのでしょうか。
清家氏:
一昨年からやっと作り出せました。今までのパートナーズはずっと縦の階層だったのですが、意図的に強制力を持って移すメンバーも出てきて、それに伴い、自ら異動を希望するケースも徐々に出始めました。一方で、課題も浮き彫りになりました。これまでの人事評価制度が各部門単位で物事を進めるための仕組みになっていたので、中長期で横断的に人を動かせるよう改善しています。御社ではいかがですか。
中村:
当社は一人一人のWillと向き合う時間を大切にしており、半期ごとに実施をする目標設計のタイミングでは、各々が一年後にどうなっていたいかを部門の垣根を超えて記載してもらうシートがあります。例えばフィールドセールスのメンバーがBizdevにチャレンジをしたいと記載をする等、制約条件なしに個々人のWillをどうすれば実現できるのか上司とメンバーで徹底的に考える場を提供しています。現組織で成果を出すことは前提としてありますが、新卒入社半年で社長直轄のBizdevポジションに異動し活躍している事例や、新卒入社後の配属においても、フロントからミドルバックオフィスまで幅広く個々人と向き合った上で配属を決定しています。
新卒採用の背景は会社のカルチャー醸成にあり
中村:
ベンチャーやスタートアップは即戦力採用を行う企業も多いと思うのですが、そんな中でパートナーズさんが新卒採用に取り組む背景を伺ってよろしいですか。
清家氏:
シンプルに、会社のカルチャーを作ってほしいという想いがあります。パートナーズであれば「粋に生きる、愛と本気の11カ条」というスピリット(理念)があり(詳しくはこちら) 、そこに共感するかどうかが最優先事項ですね。事業が好きかどうかは、その次。なので理念採用をしているかもしれないですね。いいかどうかは別として昔よく言われたことは、この会社だったら社長がラーメン屋をしてもそれについていくメンバーも多いということです。
中村:
理念は非常に大切ですよね。当社では「Leadership Principle」と称して10の項目があります。(詳しくはこちら) 歴史に名を残す企業はすべて、傍から見ても「らしさ」が明らかにわかるレベルで醸し出されていると、当社代表の鈴木もよく話しています。
またカルチャーの話も出てきましたが、清家さんにはカルチャーの醸成をとても大事にされていらっしゃる印象を受けております。社内に浸透させていくための取り組みなどあればお伺いしたいです。
清家氏:
今から言うことは、多くのベンチャーでやっていることなので目新しくないです。ただ、違いはその徹底度合いだと思っています。具体的には、全社的に経営理念に関する発信を、必ず、定期的におこなっています。パートナーズは将来的にメンバーが2、3倍に増えていく可能性もありますが、毎週朝会があり、泥臭いですが理念の唱和もあります。また、マインドセットに合うメンバーの表彰、それを体現する場所として年2回のアワードがあります。これら自体は普通にやっている会社はありますよね。違いは、その粒度感だと思います。普段からだらだらやることは一切ない。私もいろんな会社を見てきて、本気さは1番だと思います。本気でなければ、やらなくていい。
中村:
理念の唱和、本気度、非常に勉強になります。当社は先ほども申し上げた通り、バリューを大事にしており、バリュー賞(一ヵ月を通して最もバリューを体現したメンバーを表彰する制度)を毎月実施しておりますが、 改めてバリューやパーパス、ビジョンを口に出す機会はあるようでなかったので、御社も今のフェーズでもやられていらっしゃると伺い、驚きと気づきをいただきました。
清家氏:
私もパートナーズに来た当初は、このフェーズで続けていることに衝撃を受けましたね。人によってはなんでこんなことをやっているのかと思うかもしれませんが、きっとこういうアクションが理念の浸透につながっているのだろうなと身にしみて感じます。
若手育成の取り組みと抜擢の基準
中村:
合う・合わないは確かにあるかもしれないですが、やる人=活躍できる人でもありそうですね。
入社後の若手の育成という観点では、御社独自の施策はあるのでしょうか。
清家氏:
施策というと難しいですが、例えば、昨年大阪支社立ち上げの際には、新卒に経験してもらいたいという方針から19卒のメンバーが支社長に就任し、創設メンバーも全員新卒で揃えました。このような若手の抜擢は多くの会社がやっていると思うのですが、当社の特徴は、上司が逃げないことかもしれないですね。うっとうしいくらいに1対1のコミュニケーションを取ります。「愛情を持って接する」を、すごく意識しているんです。複数の会社を経験してきて思うことは、その次元の違いです。結果として新卒の活躍は目覚ましく、1年以上勤務した新卒メンバーの役職者率(チーフ以上)は73%を誇っています。
中村:
それはすごいですね。当社も新卒を優先的にと明確に打ち出しているわけではないのですが、これから新卒のメンバーにも、どんどん自分たちの色を出していってほしいと思っているので、御社と少し似ている部分があるなと思って話を伺っておりました。
清家氏:
そうですね。あと、育成という観点では、新卒や若手に対してはより自分ができないことに挑戦する環境、壁に直面する機会を与えることに尽きるのではないでしょうか。機会以外の成長はないと思います。私は、挫折経験で成長し、成功体験が自信を生むと考えています。挫折をいかにさせるか、かつ、挫折したとしても大丈夫な状況を上長側が作るというのを部門ごとにやっています。
中村:
ちなみに若手を抜擢するうえでの基準はありますか。
清家氏:
一般的な会社に比べると、セールス側の成果の基準が明確です。年次によって昇給・昇格していくものではなく、個人成績と昇格試験を経て役職・等級が上がる仕組みになっています。その中でさらに、スピリットを体現しているマインドセットを持ったメンバーが選ばれます。
中村:
成果の基準を明確にするのは大切ですよね。当社は定量的な数値設定と、定性的な行動目標の2軸で人事考課をおこなっております。人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造というパーパスを掲げている当社だからこそ、目標設計に関しては、上司とメンバーが膝を突き合わせながら双方が納得できる目標となるように、何度も壁打ちを実施します。透明性高く納得感を持って取り組むことは社員のエンゲージメントを高めるために必要なことですよね。
各企業苦戦している優秀な新卒や若手の採用ですが、御社では採用時の見極めとして大事にしているポイントはありますか?
採用時に見極めているポイントとは
清家氏:
私のポリシーなのですが、見極められないと思っています。たった30分や1時間で、人はわからないだろうと。なので見極めようとしないというのは念頭にありつつ、ただ、一緒に働きたいと思うかどうかは直観による部分もあると思っています。例えば自分だけではなく、他の主要なメンバーが働きたいと思ったら、多分それは当社に合っているのでしょうし、一緒に働きたいと思った限りはそのメンバーを一人前に育てるのはこちら側の責任です。見極めることを良しとは思っていない一方で、数理や言語能力、社内のトップパフォーマーを参考にした適性判定は、別途、客観的なデータを取っています。ただ、それを主軸に採用活動することはなく、迷った時に参考にする程度です。
中村:
以前清家さんの記事の中で「いい人かどうか」を大事にされるというお話を拝見しました。実は当社もいい人が多いと話すメンバーが多いのですが、最近社員の特徴を「仲間とともに、走りながら考えられる人材」と定義づけして発信しています。清家さんにとってのいい人とはどのような人か、また基準があれば教えてください。
清家氏:
パートナーズにはスピリットとは別に、4種の神器「素直・謙虚・努力・感謝」があります。これは私たちが定義した、トップレベルで活躍するメンバーに共通している急成長するために必要不可欠な要素です。
どれも大事ですが、その中で「素直さ」を1番大事にしています。その定義を学生に尋ねたときに、99%の学生の回答は「人の話を素直に受け入れられる人」や「人から受けたフィードバックを受け止めて改善しようとする人」です。これは、我々のなかでは素直のステップ1です。話を聞いた上で自分自身はこういう状況になるべきだと定義し、その定義に対して自分自身を変える行動をする。これが素直、でもないんです。これはステップ2。なぜならその行動を取るだけだったら誰でもやるかもしれない。そこで、行動を取り続けて自分自身を変えた人、これがステップ3。最終的に、周囲から変わったと思われるレベルの人を我々は素直だと思っています。ただし、そのPDCAを最速で回せる人は正直言ってどこでも欲しい人材ですよね。なので、パートナーズはこの4種の神器を持っている人は、どの会社でも成功する人だと定義しています。
中村:
素直を紐解くと、お伝えいただいた段階はまさにその通りですね。
清家氏:
ただ、素直さを面接で見極めるのは厳しいですね。話を聞いているな、くらいはわかりますが、それで本当に自分自身を変えきれるかは分かりません。メンバーにも頑固な人はいくらでもいますが、頑固さと素直さは相反するものでもないと思っています。ある意味で頑さとは、信念の強さみたいなものですよね。そのエネルギーがないと現状を変えていくことすらできないと思います。重要な定義はありつつ、見極めにフォーカスはしていないかもしれないですね。
新卒・若手に届けたいメッセージ
中村:
今後、新卒入社の方々に期待していることは何でしょうか。
清家氏:
現在当社の会議体としては、役員会議、経営会議があります。役員会議は執行役員、経営会議は部長レイヤーが集まります。あくまで私の中で考えている施策で、勝手なKPIではあるものの、3年以内にこうした会議体に新卒が加われるようになると最高だと思っています。あとは、サブの経営会議チームを作りたいですね。ミッションは、次世代の経営メンバーのピックアップです。集まったメンバーで、とあるテーマに対する経営や運営をしていくことを想定しています。
中村:
最後に、今後も新卒や若手の人材を採用していく中で、 御社もしくは清家さんとして伝えたいメッセージをいただけますか。
清家氏:
これはずっと言い続けていることでもありますが、就職活動は誤差だと思っています。日本に368万社あるなか、頑張って動いても見られるのは10社か20社です。今の時代、1社目で圧倒的に成果を出したら、社内からも社外からもチャンスが来るので、誤差の中で選択側に時間をかけるのではなく、チャンスに目を向けた方がいいということは常に伝えていることかもしれないですね。今まで会った人たちの中で、成長が早い人は意思決定が早いです。決めて動ける人。意思決定の期間が長ければ長いだけPDCAも長いので、成長がゆるやかになるのは当然ですよね。
中村:
ありがとうございます。当社としては「令和を代表する会社に入社をする」ではなく「令和を代表する会社を共に創る」という覚悟とワクワク感を持っている方に、是非来てもらいたいと思っております。当社はコンパウンドスタートアップとして非常にスピード感を感じられる環境です。「変化を楽しめるタイプ」の方にはうってつけの環境となっているはずです。
清家さん、本日はありがとうございました。
編集後記
今回は、入社前インターンシップや新卒・若手のキャリア作り、カルチャー醸成など、各社の取り組みを対談形式にてご紹介しました。取り組みの推進に紆余曲折はありながらも、若手の活躍する環境づくりに邁進する企業の想いも垣間見られたのではないでしょうか。
TalentXではメンバーそれぞれの「Will」に寄り添った機会提供を大事にしています。「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」をパーパスに掲げる会社として、一人一人のポテンシャルを信じ、各個人の成長と挑戦を全力で後押ししていきます。
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監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。