労働人口の減少とAIの急激な進化が交差する今、企業の採用活動はどのような変革を求められているのでしょうか。TalentXは2026年7月2日、これからの採用のあり方を人事・経営層の皆様とともに考えるイベント「Talent Acquisition Conference 2026」を開催いたしました。会場とオンラインを合わせて約600名の企業役員・採用担当者の皆様にお申込みいただき、昨年に続き大盛況となりました。
本記事では、日本の採用マーケットが変革期を迎える中、「タレントアクイジション」の最前線と、採用変革の鍵を握る「AIネイティブ採用」の全貌、そしてAIネイティブ時代を見据えた採用担当者のあり方に迫ったカンファレンスの模様をレポートします。
イベント名:Talent Acquisition Conference 2026
日時:2026年7月2日(木) 14:00~18:30
URL:https://mytalent.jp/taconference2026/
主催:株式会社TalentX
2026年、日本企業の命運を握るタレントアクイジション〜採用変革を加速させる鍵は「AIネイティブ採用」〜
Opening Session
株式会社TalentX 代表取締役社長 鈴木 貴史

冒頭のセッションでは、TalentX代表取締役社長の鈴木が登壇し、日本の採用市場における構造変化と、これからの時代に必要な視点について説明しました。
現在、日本の採用市場は大きな構造転換を迎えています。労働人口が減少する一方で求人数は増加し、有効求人倍率は上昇を続けています。これに伴い、採用コストの高騰や外部依存による自社採用力の低下、担当者の業務負荷増大といった課題が顕在化しています。さらに、AI技術の急速な進化という変化も重なり、多くの企業が変革を迫られています。
このような中で重要性を増しているのが、事業戦略から逆算して中長期的に人材と関係を築く「タレントアクイジション(TA)」です。欠員補充を目的とした短期的な採用とは異なり、TAは将来必要な人材を定義し、タレントプールなどを通じて長期的なつながりを育みながら、再現性を持って獲得を目指す取り組みです。通常の採用手法では出会えない優秀な「転職潜在層」にアプローチするためにも、この手法への転換が不可欠です。
しかし、TAの実践には壁も存在します。特に大手企業ほど現場との調整や経営陣への説明に大きなエネルギーを要します。現場が目の前の採用目標やエージェント対応に追われ、時間やリソースが限られている中で、中長期的な戦略にリソースを割くのが難しいことが大きなハードルとなっています。
この課題を解決し、TAを加速させる鍵を握るのが「AIネイティブ採用」です。採用業務を「AIが担うノンコア領域」と「人事が担うコア領域」に明確に分類し、AIと人が連携することで、候補者体験の向上と戦略的な人材獲得の実現につながります。また、面接官の日程調整・複数名の同時アサイン・候補者との再調整といった日常的なオペレーション業務はAIが自律的に代行し、採用担当者はターゲット設計・採用ブランディング・候補者との深い対話といった、人にしか担えない本質的な業務に集中できるようになります。「AIは人事を代替するのではなく、人事の本質的な価値を引き出すインフラである」と、鈴木は力強く語りました。


▼Opening Sessionの全編動画は、以下リンクからご覧いただけますhttps://go.mytalent.jp/taconference2026_os_archive_input
先進企業3社が語るタレントアクイジションの実践―Lightning Talk
続いて、「タレントアクイジション」を先進的に実践する企業3社が登壇。AIネイティブ採用プラットフォーム「MyTalent Platform」を活用した具体的な取り組みや、そのリアルについて詳しく語っていただきました。
自社の深く・正しい理解を促す「ありのまま」を届ける採用オウンドメディア
スカパーJSAT株式会社
スカパーJSAT株式会社より、「MyTalent Brand」を活用した「採用オウンドメディア」の構築と運用プロセスについて発表されました。同社はアジア最大級の衛星通信事業を中核とする宇宙事業を主力としている一方で、世間的には多チャンネルサービス「スカパー!」のイメージが強いという課題を抱えていました。また、同社の職種別採用の導入や、就職活動において応募前に入念な情報収集を行う学生のトレンドなど、市況や自社の構造変化に適応しながら、いつでも等身大の姿を継続的に情報発信できる基盤が必要でした。その基盤として着目したのが「採用オウンドメディア」です。
メディア運営において同社が大切にしているのは、社員が日々どのようなことを考え、業務に従事しているかという「ありのままの姿」を伝え、ファンになってもらうことです。写真撮影をあえて内製化し、仕事のやりがいだけでなく繁忙期の実態などのリアルも包み隠さず届けることで、入社後のミスマッチ防止を図っています。
また、限られたリソースで豊富なコンテンツを作るためにテクノロジーも活用。インタビュー音声からの文字起こしや記事構成の作成にAIツールを導入しているほか、「MyTalent Brand」を活用してノーコードでのコンテンツを制作・更新し、PVなどのデータ分析を行っています。結果として、イベント参加時の学生の理解度向上だけでなく、社員が自社の仕事に誇りを持ち、他部署への理解が深まるなど、インナーブランディングの面でも好効果が生まれています。

▼スカパーJSAT株式会社様セッションの全編動画は、以下リンクからご覧いただけますhttps://go.mytalent.jp/taconference2026_lt1_archive_input
過去候補者を『資産』に変え、持続的な採用を創出するタレントプール採用
株式会社日立製作所
続いて、株式会社日立製作所の「MyTalent CRM」を活用した「タレントプール採用」について発表されました。日立製作所では、イノベーションを生み出し続ける組織の実現に向けて、年齢や属性にかかわらず、能力や意欲に応じて仕事と人材を最適に配置する「ジョブ型人財マネジメント」を推進しています。それに伴いキャリア採用目標も、2018年度の150名から2026年度は1,100名と急拡大させています。この急激な規模拡大に伴い、従来の転職顕在層向けの外部エージェントに依存するだけでなく、潜在層へ継続的にアプローチして安定供給を図る仕組みとしてタレントプールの構築に注力してきました。
同社はホームページやオウンドメディアを通じ、アルムナイ(退職者)や内定辞退者、キャリア登録者の情報を「MyTalent CRM」に蓄積。約3年でデータベースは約2,500名へと積み上がり、応募や入社実績も着実に生まれています。実際に、日立製作所を退職後にグローバル企業やAIベンダーなどを経て再入社するなど、優秀人材が戻ってくるアルムナイ採用の成功事例も誕生しています。
この取り組みの鍵は、「システムの力」と「人の力」の掛け合わせにあります。システムによるデータベース化とセグメント別の定期配信を土台としつつ、応募を迷う潜在層に対しては、TalentXの専任担当者が個別面談を行う「タレントプールエージェント」を導入。一人ひとりの悩みに寄り添いながら、応募への一歩をサポートする実践的なTAのモデルが示されました。

▼株式会社日立製作所様セッションの全編動画は、以下リンクからご覧いただけますhttps://go.mytalent.jp/taconference2026_lt2_archive_input
ファンづくりの好循環を企業成長の基盤へ―1.5万人を巻き込むリファラル採用
Astemo株式会社
最後は、Astemo株式会社による「MyRefer(MyTalent Refer)」を活用したリファラル採用の取り組みです。複数の企業が統合して誕生した同社は、社名変更を機に、それまで後ろ盾となっていた大手親会社のブランド力から独立し、自社ならではの認知度を確立していくフェーズに立たされていました。さらに、IT・ソフトウェア領域をはじめとする「高度専門人材の獲得」という課題に直面し、それらの解決策として注力したのが、リファラル採用です。
同社はリファラル制度の全社認知をはじめ、社員紹介を加速するためにリファラル求人情報をリアルタイム更新する仕組みの構築、紹介後の選考プロセスの迅速化などを地道に推進し、3年間でリファラル経由の採用数を約5倍へと急成長させました。
定着化の工夫として、1.5万人のリクルーターを属性別に分類。大半を占める紹介活動に消極的な層(パッシブ層)に対して働く魅力をまとめたオウンドメディア記事をメルマガで届けるなど、週2〜3件の高頻度で情報発信を継続しました。とくに、社内ルール上会議を入れることのない「金曜日の午後」をねらって配信することで、ログイン数や紹介数の増加につなげています。この徹底した施策の結果、リファラル採用の推進をはじめとする各種施策が相乗的に機能し、社員のエンゲージメントスコアが約10ポイント向上するなど、組織変革の好循環を生み出しました。

▼Astemo株式会社様セッションの全編動画は、以下リンクからご覧いただけますhttps://go.mytalent.jp/taconference2026_lt3_archive_input
「世界標準のTA」と「日本流TA」を語る〜 AIネイティブ時代におけるTA組織の設計図と次世代HRリーダーの明日 〜
Special Session
鈴木 貴史(TalentX)×小野 壮彦氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ)×曽山 哲人氏(サイバーエージェント)
スペシャルセッションでは、グロービス・キャピタル・パートナーズの小野 壮彦氏、サイバーエージェントCHOの曽山 哲人氏、そしてTalentXの鈴木が登壇し、TAの本質とAI時代の人事のあるべき姿についてディスカッションを行いました。
まず曽山氏は、サイバーエージェントにおけるTAの柱として「セリフメソッド」を紹介しました。面接後に候補者が家族や友人に「その会社どうだった?」と問われたとき、どんな言葉が出てくるかを逆算して候補者体験を設計するアプローチです。同社が軸に据えたのは、「抜擢」というキーワード。「20代が全役職を担っている」という同社のカルチャーを基に、候補者が「あの会社、若手の抜擢がすごいんだよね」と自分の言葉で語れる状態をつくることが、採用ブランディングの核心だと語りました。また、採用計画は経営判断によって大きく変動するため、創業初期から採用機能を他の人事機能と切り離した独立組織として運営しています。さらに、撤退した事業の失敗談なども含む生々しいケーススタディを社内イントラネットに蓄積し、全社員がいつでも閲覧できる環境を整備。面接官が担当外の部署についても頭の中で映像として語れる状態をつくることで、採用の場で候補者に会社のリアルを自分の言葉で届けられる力を、組織全体として底上げしています。
小野氏は、毎年シリコンバレーで採用最前線を調査している経験から、米国で起きている変化を解説しました。AIエージェントの普及により、面接調整・候補者フォロー・人材探しといった事務的な作業が自動化され、米国では採用チームの人数が半減しつつあるといいます。その結果、人間に求められるのは専門的な役割への特化です。候補者の思考や行動パターンを深く分析する「アセッサー(見極め役)」、採用に必要な社内協力を引き出す「インフルエンサー(調整役)」、自社の魅力を候補者の心に響く言葉で伝える「ストーリーテラー(語り部)」、この3つです。「日本の面接の多くは情報収集にとどまっているが、本来は候補者の性格・志向まで踏み込む分析力が必要だ」とも指摘しました。一方、日本はTAがまだ始まったばかり。最初からAIを前提としたシンプルな体制で設計でき、事務作業をAIに任せながら「見極め・調整・伝える力」を早くから磨けることが強みだと語りました。
最後に、明日からTAを始めるための第一歩として、曽山氏・小野氏それぞれから具体的なアドバイスが語られました。曽山氏からは「求人媒体や紹介会社では採れない職種を一つだけ選び、そこに絞って小さく始めること」。うまくいけば広げ、うまくいかなくても被害が小さく済む「スモールスタート」が鍵だと言います。小野氏からは「一つの職種領域を決め、まず20名ほどに会うこと」。会い続けることで市場の相場感が養われ、「この人はどのレベルか」という判断が自然とできるようになる。その感覚をつかんだとき、採用の仕事は「途端に面白くなる」と語りました。

▼Special Sessionの全編動画は、以下リンクからご覧いただけますhttps://go.mytalent.jp/taconference2026_ss_archive_input
ネットワーキングイベント(交流会)
セッション終了後は、会場にて参加者同士や登壇者が交流するネットワーキングイベントが開催されました。会場内には「最新AI体験ブース」も設けられ、「MyTalent Platform」のリリース前新機能のデモンストレーションが実施されました。会場では、参加者同士が名刺交換や意見交換を行う様子が多く見られ、共通課題への共感と実践に向けた熱気が感じられました。

▼イベント参加者の声
- 大企業を中心とした最新の採用活動の取り組みや事例をご紹介いただき、自社ではまだ取り組めていない施策や、今後の採用活動を考える上でのヒントを数多く得ることができた。
- 各社様の取り組み事例は、現在の弊社と重なる部分もあり、今後想定される苦労や踏むべきステップのイメージの解像度が上がった。
- 「TAとはなにか」「なぜ重要なのか」を認識することができ、社内で自身の役割を強く認識することができた。
- 普段なかなか交流する機会のない他社の方々とお話しでき、採用状況などについてもお伺いすることができて大変参考になった。
- 今後の採用市場や採用活動において重要な情報が多く、これを機に自身のスキルアップや自社における採用力の強化に貢献していきたい。
<編集後記>
今回は「Talent Acquisition Conference 2026」のレポートをお届けしました。「採用はもはや、欠員を埋める活動ではなく、事業価値に直結する経営機能」―AIが進化するほど、人と向き合う採用の本質的な価値は高まっていく。スペシャルセッションを通じて、そのメッセージが力強く伝わったカンファレンスでした。
TalentXは今後も「HRの歴史を塗り替える」というビジョンのもと、「MyTalent Platform」の提供と実行支援を通じて、日本の「タレントアクイジション」の実装を支援してまいります。
AIネイティブ・統合型タレントアクイジションプラットフォーム
「MyTalent Platform」
TalentXでは、自社の採用をDX化し、データを可視化・分析して未来のタレント獲得につなげられるサービスを提供しています。採用マーケティング、採用ブランディング、リファラル採用、採用管理システムなど、トータルでご支援することが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
MyTalent Platformへのお問い合わせはこちら
採用CRMサービス「MyTalent CRM」
「候補者リストを資産に変える」採用CRMサービス。過去の応募者や潜在層をタレントプール化し、AIが自動で最適な候補者をレコメンド。エージェントに依存せず、自社の資産で採用を完結し戦わない採用を実現します。

資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/download/221/input
採用ブランディングサービス「MyTalent Brand」
候補者をファンにする採用ブランディングCMS。採用サイトや社員ストーリーを作成し、独自のノウハウで「自社のファンづくり」を自動化します。認知から獲得までを一気通貫でデータ化し、採用広報のROIを劇的に改善します。

資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/download/338/input
リファラル採用サービス「MyTalent Refer(MyRefer)」
国内初のリファラル採用サービス。社員のエンゲージメントを可視化し、自発的な紹介を促進。AIが紹介されやすい候補者を特定し、マッチングを支援することで、入社後の定着率向上と採用単価の大幅削減を同時に実現します。
-1024x394.jpg)
資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/support/download/input/
AIネイティブ採用管理システム(ATS)「MyTalent Hire」
MyTalent Hireは、AIネイティブな採用管理システム(ATS)です。従来のATSでは解決できなかった工数削減と採用力強化を同時に実現します。企業の人材獲得活動を「管理」から「マーケティング」へと変革します。






