こうした課題を背景に、コープさっぽろ様ではリファラル採用を採用手段の1つとして強化していらっしゃいます。2020年12月17日に開催したオンラインセミナーでは、コープさっぽろ様の人材育成部採用グループ長の小濱様をゲストに迎え、リファラル採用の具体的な取り組みについて伺いました。今回は、そのセミナー内容をお届けいたします。
生活協同組合コープさっぽろ | |
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従業員数: | 15,235人(アルバイト含む)(2020年3月現在) |
事業概要: |
小売・宅配・物流事業 |
人財育成部採用グループ長 小濱 貴洋 氏 |
その他企業様の導入事例をまとめています!
下記からダウンロードください。
第一部: 北海道での採用における「リファラル採用の優位性」とは
セミナーの冒頭では、Account Consulting部関が登壇。北海道の企業様の採用動向とリファラル採用について説明しました。
北海道企業を取り巻く環境
株式会社MyRefer 関(以下 関):
はじめに、北海道企業を取り巻く環境についてお話しをします。まず、北海道の労働人口は年々減少傾向にあり、特に若年層の採用が難しくなっています。高校から地元の大学への進学率としては全国トップクラスであるものの、いざ就職する時には、大学卒の38%、高専卒の65.2%が道外に流出。道内の若手人材の確保が、困難な状況です。加えて、道内で求人倍率の差が激しく、郊外エリアでは特に求人倍率が高く、採用難易度が非常に高いといえます。
とはいえ悲観的な話だけではありません。道外で就職した方のUIターンは北海道がトップです。こうした層に対してアプローチすることも、若年層採用や経験者採用に対して有効な手段です。
北海道におけるリファラル採用(社員紹介採用)の現状とは
関:
リファラル採用とは、従業員の方を採用の当事者として巻き込み、“全員人事部”として採用をしていく手法です。転職・就職時には、口コミ情報を重視する傾向が高くなっています。そのため、社員経由で自社の情報や求人情報のみならずイベント情報などをしっかりと伝えることが重要です。
そして、リファラル採用を導入する企業は我々がサービスをスタートした2015年には2割程度でしたが、2020年では6割近い数値となり、ニーズが急拡大しています。さらに北海道企業様へのアンケート調査によれば、従来の採用手法に限界を感じている方が多く、30%の企業が従業員からの紹介に有効性を感じているそうです。
実際にどうやってリファラル採用を導入して取り組んでいるのか、次からコープさっぽろ様へお話を伺います。
第二部: コープさっぽろのリファラル採用~北海道郊外エリアも紹介で集まる~
コープさっぽろ 小濱氏(以下 小濱氏):
コープさっぽろの小濱と申します。函館市出身でマックスバリュ北海道に入社して現場と人事を経験後、2010年にコープさっぽろに移籍して店長経験後2018年から採用の責任者を務めています。コープさっぽろは、北海道全域において小売・宅配・物流などの事業を運営しています。1965年に設立、2020年に55周年を迎えました。従業員数は、2020年3月現在で1万5235人、うち1万人ほどがアルバイト・パートという組織です。
当協の採用については、店舗社員、パート・アルバイト、宅配ドライバー、食品工場スタッフなど年間約2000人以上を採用しています。現在MyReferは、本社の社内SEと、食品工場のアルバイトの募集で活用している状況です。特に社内SEに関連するところでは、2020年からデジタル推進本部を新たに立ち上げ、DX推進に注力しています。
導入背景:従業員紹介の文化はあり、UIターンも期待してリファラル採用強化
まず、リファラル採用の導入背景について教えていただけますでしょうか。
小濱氏:
3年前に採用グループ長に着任してから、いかに採用コストを抑えながら募集を増やし、定着率を上げていくのか、試行錯誤してきました。もともとは、求人媒体や折り込みチラシなどを中心に採用を行っていましたが、採用コストが年々上がっていたのです。そこで、媒体に頼りすぎない効果的な採用の形はないだろうかと考えていたところ、リファラル採用を知りました。
元々、店舗や工場も含めた短期アルバイトについては、パートさんのご子息を紹介いただくなど、従業員紹介の地盤はありました。また、北海道出身者同士が繋がっていることから、道外に就職した人のUIターン採用にも効果が期待できると考え、リファラル採用に力を入れていこうと決めました。
とはいえ、道内では地場媒体が強いところもありますから、そこは数値を見ながら精査して、多様な手法の中でコントロールしていく一つとしてリファラル採用を導入しています。
UIターン採用の狙いについて詳細をお伺いしたいです。
小濱氏:
そうですね。社内SEの場合、そもそも北海道内ではSEとして働ける職場が限られているため、新卒では東京に出る人が多いです。しかし30歳くらいを節目に戻ってきたいと考えた時、なかなか良い職場が見つからず戻ってこられないという声もありました。
他にも、北海道に縁はないけれど働きたいと考えているが、どう動けばいいのか分からないという方もいらっしゃいます。そうした方々を呼び込むために、イベント開催や、移住費用も含めたサポートなどを行っていますが、社員のクチコミで伝えられたらより効果的ではないかと期待をしています。
リファラル採用導入にあたって、何かハードルはありましたか?
小濱氏:
先ほど申し上げた通り、私たちの場合は元々パートなど従業員が紹介する文化がベースにあったため、進めやすい環境でした。とはいえ、いきなり本格的に始めたというわけではなく、初年度は社内SEと工場採用からスタートしました。人財育成部が予算を持ち、必要なフローは全部こちらで用意するなどスムーズに開始できるような工夫も行いました。さらに、それぞれのセクションごとにMyRefer運用担当を1人設置しました。このように導入を丁寧に行った結果、滑り出しは順調です。今後他の事業に展開していく足掛かりになると思います。
社内SEと工場から始めたということですが、どのように現場展開していきましたか?
小濱氏:
工場については、工場長や現場の実務担当者と打ち合わせをして、そこから現場に落としてもらうという段取りを組みました。工場として初めての試みなのでとにかく分かりやすさを心掛けて、QRコードを読み取るだけで簡単に登録・紹介できるチラシを作成しました。また、食品工場ですから当たり前のことですが、コロナ禍での募集であるため、衛生面がしっかりしていることもしっかりアピールしましたね。
社内SEの場合はコミュニケーションがほぼSlackでおこなわれているため、担当者からSlackやメールで告知することからスタートしました。
インセンティブはどのように設計しましたか?
小濱氏:
社内SEについては応募段階で、工場については一定の労働時間が経過したら、3000円のギフト券をプレゼントするという施策を打ちました。もともと求人媒体費用として外に出ていたお金の一部を、社内に還元できる仕組みがこれで確立できたと思います。
リファラル採用の導入当初だけ盛り上がって下火になってしまうケースもありますが、そこを打開するヒントはありますか?
小濱氏:リファラル採用の定着という観点でいくと、インセンティブもさることながら、情報発信も鍵になると思います。どこかの部署で成功しているという事例が周知されれば、他の部署も追随していくでしょう。また、あまり短期的に結果を求めるのではなく、細く長く続けていくことです。まずは限定的な範囲でスタートをして、成功事例を積んでいくことが、長く続くポイントだと考えています。
MyReferの社内ニュースも活用して、コープさっぽろブログの紹介や、募集求人のリマインド配信を行っています。リファラル採用は情報浸透が非常に需要であるため、定期的にアクションを起こすようにしています。
また、社内SEは求人を展開した後にSlackでフォローも行っています。紹介したいときに、気軽に相談できる状態を作ることに気を付けました。
リファラル採用の具体的な成果についてお聞かせください。
小濱氏:
石狩の工場では、1カ月弱の期間で10名以上の採用が決定しました。この工場は交通の便があまりよくないのですが、送迎バスの頻度や働く環境などについて、実際に働く人がしっかりと紹介してくれたからこその成果だと感じています。特に年末年始のアルバイトの場合、多くの企業が募集をかけるために、求人媒体に掲載しても差別化が難しく、そのうえ時給設定も高くなります。その点リファラルでは、媒体費用はかかりませんし、募集の呼び水として時給を上げる必要もないため、メリットが大きいと感じました。
また、今まで新卒採用などの若手人材採用のために東京まで出向くことが多かったのですが、最近はオンラインでのコミュニケーションが活発になったこともあり、リファラル経由でのUIターン応募を、出向かなくても獲得できるようになりました。たとえば今年入社した新卒採用の社員は、去年入社した新人からの紹介です。2人とも道外出身者で、先に当協に就職した先輩が、就活に悩んでいる後輩に声を掛けて、道外出身者ならではの悩みを共有することから、応募につながったようです。
他に印象的な紹介エピソードはありますか?
小濱氏:
以前から、パートさんが自分のご子息を紹介するということはあったのですが、MyReferを導入後、想像以上に多いと思いました。特に目立ったのは、母親から紹介されたご子息が、またその同級生を紹介してくれるパターンです。紹介が紹介を呼ぶという連鎖が見えたことが、新たな発見でした。
MyReferを使い始めてから、見えなかったことが可視化されるようになったことは本当に大きな成果です。誰が誰を紹介したのか、誰がたくさん声を掛けてくれているのか、今まで分からなかった動きが見えてきたことは、今後の施策の足掛かりになると思います。
まさに、会社のファンとなってくれる方が分かりますよね。社内SE採用についてはいかがですか?
小濱氏:
DX部署の中で、事業にどんな人が必要か、しっかりと人物像を共有して、誰もが紹介できるようにしています。今年に関してはエンジニア10名以上来ていますが、半分以上が北海道に縁のない方です。コープさっぽろのDX推進に興味を持って、道外から引っ越してきてくれたITエンジニア夫婦もいます。
また、関東の大学に進学、そのまま就職した北海道出身の若手エンジニアが、コープさっぽろで働く友人からDX強化の話を聞いてUターン入社するという事例もありました。コロナ禍でオンラインコミュニケーションが増えた分、道外に一度出た方や、出身ではないけれど北海道に興味のある方にアプローチできる基盤ができたことは、大きな変化ですね。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
小濱氏:
現在は一部の部門での展開ですが、今後は宅配や移動販売の需要も増えているため、ドライバーなどにも展開していきたいと考えています。そして、新卒採用の活用も広げていきたいです。コープさっぽろで働く人たちに自分の組織を好きになってもらい、そのことを外部に発信してもらうことによって自然とコープさっぽろのファンが増えていけば、「働きたい」という人も増えていくのではないかと考えています。
ありがとうございます。まずは工場と社内SEで成功事例を作っていただけたと思いますので、それをもとに、今後もリファラル採用を広げるご支援をしていきたいと考えています。本日はありがとうございました!
編集後記
コープさっぽろ様の丁寧かつ戦略的なリファラル採用の取り組みが伺えるセミナーでした。工場アルバイト採用では、チラシ等で取り掛かりやすい工夫を行うことで、もともと顕在化していた家族・親族間のリファラルに加えて、同級生などの紹介も喚起・可視化できたことが印象的です。
また、社内SEでは、UIターン希望者が多いという北海道の特性と、オンラインで紹介ができるMyReferの仕組みがマッチして、道内出身者のUターンだけではなく、北海道に憧れを持つIターンの呼び込み事例をお話しいただきました。「短期的に結果を求めるのではなく、まずは限定的な範囲でスタートして、成功事例を積んでいくことが、長く続くポイント」と小濱様がおっしゃる通り、着実にリファラル採用の文化が浸透しつつあるのだと思います。
自社のファンを増やし、リファラル採用を根付かせていきたいと考えていらっしゃる方は、ぜひMyReferにお声掛けください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
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