ビジネスチャット「Chatwork」で広く知られる株式会社kubell様(以下、「kubell」)は、中小企業のDXを支援するBPaaS(Business Process as a Service)事業を第二の柱として展開し、急成長しています。大きな変革期を迎える同社にとって、事業戦略を推進できる人材の採用は、非常に重要なテーマです。
一方、労働力人口が減少傾向にある日本において、安定した採用の母集団形成が困難な状況です。その状況を打破するためにkubellでは、「過去に接点のあった候補者とのつながり」に着目し、2025年5月より「MyTalent」を導入。そのつながりを最大限に活用できる「タレントプール採用」を進めています。
なぜタレントプール採用に焦点を当てたのか、そしてそのパートナーとして「MyTalent」を選ばれた理由について、採用担当の渡辺 道太氏に詳しく伺いました。

株式会社kubell
・従業員 :639名*2025年6月末時点
・事業 :ビジネスチャット事業、周辺サービス・新規事業の開発運営
・取材対象者:株式会社kubell ピープルディビジョン リクルーティング&イネーブルメントユニット キャリア採用グループ グループ長代理 渡辺 道太氏
働くを支援する「中小企業No.1 BPaaSカンパニー」の実現に向けて―経営戦略を共に推進する人材を戦略的に採用するkubellの取り組み
まず、貴社の事業内容と、その上での採用戦略についてお聞かせください。
渡辺氏:
当社は「働くをもっと楽しく創造的に」をミッションに掲げ、中小企業のDX推進と生産性の向上を目指し、ビジネスチャット「Chatwork」と、新規事業であるBPaaS事業を幅広く展開しています。「Chatwork」は登録ID数775万を超え、導入社数は93万社以上、その97%が300名未満の従業員を抱える中小企業*です。中小企業のDX推進における課題として、社内にITに詳しい人材が不足していることや、自社だけでDXを推進できる体制が整っていないことが多く挙げられます。
こうした中、自社の力では難しいDXを、業務プロセスごと当社が巻き取り、お客様に代わってDXを推進していくためにスタートしたのが、BPaaS事業です。2024年2月に発表した中期経営計画でも「中小企業No.1 BPaaSカンパニー」の実現を掲げており、この戦略を推進するために必要な人材を1歩先回りして採用していくことが、我々の重要なミッションです。採用市場は変化が激しいため、先の予測が難しい中でも見立てをしながら戦略的に採用していきたいと考えています。
*2025年6月末時点
採用競争を乗り越える切り札―戦略ドリブンな採用活動として、データを活用したタレントプール採用の導入を決意
今回、タレントプール採用を導入した経緯を教えてください。
渡辺氏:
私が入社した2021年以降、スカウト媒体の運用をはじめ採用チャネルを年々拡大し、採用人数も増加傾向にありました。その一方で、選考過程で辞退された候補者のデータがかなり蓄積されていました。
転職はタイミングとご縁が大きく影響します。今はご縁がなかったとしても、将来的に可能性がある方々との接点を持ち続けるべきだという考えが根底にあり、タレントプールとして運用できないかと考えていました。加えて、母集団形成の難易度が上がっているという明確な課題もありました。
例えば、スカウト媒体の返信率が数年前は15%以上ありましたが、現在はかなり落ち込んでいます。
少子高齢化に伴い労働力人口は減少、採用競争が激化しているこの状況を乗り切るには、新たな候補者を探すだけでは不十分だと危機感を覚えました。これまで蓄積されていた過去の繋がりを活かしたタレントプール採用が必要だと感じ、導入を検討しました。
この考えに至った根底にあったのは、当社の「戦略ドリブン」を重視するカルチャーだと考えています。経営戦略を事業戦略、組織戦略へと落とし込む際、どの部門も市場などの前提情報を非常に重要視しています。採用戦略においても、「労働人口の減少と求人数の増加によって、需給のバランスが崩れている」という市場背景を踏まえた戦略を立てる必要がありました。

「採用特化型」が「MyTalent」導入の決め手―導入5か月後には内定、候補者体験向上の効果も
数あるサービスの中で、なぜ「MyTalent」を選ばれたのでしょうか。
渡辺氏:
多くのサービスを比較検討しましたが、一番の決め手はシンプルに、採用に特化しているMA(マーケティングオートメーション)ツールだったことです。「MyTalent」は採用候補者へのアプローチを前提とした設計で、オペレーションが非常に組みやすいです。特に、ATS(採用管理システム)などとの候補者データ連携のスムーズさは、他のMAツールにはない「MyTalent」の魅力の一つです。加えて、TalentXさんはタレントプール採用において豊富なノウハウを有しており、タレントプール採用を初めて取り組む当社のような企業にとって、専門的なアドバイスをいただけることも心強い点でした。
特に魅力に感じた「MyTalent」の機能がありましたら教えてください。
渡辺氏:
まず、候補者のステータスやサイト上の行動を管理・把握できる機能です。当社への関心が高い採用候補者をサイト行動からリアルタイムで把握できることに加え、誰に・どのタイミングで・どうアプローチし・どのような反応があったかも管理できるので、効果的なアプローチが可能になりました。もう一つは、応募前の候補者情報も一元管理できることです。例えば採用イベントで出会った方など、応募には至らなかった方々を管理することはATSでは難しいですが、「MyTalent」では採用におけるすべてのフェーズの方々を網羅できるため、運用上とても助かっています。
今年5月に導入されてから、現時点でどのような成果が出ていますか?
渡辺氏:
過去1〜2年接点がなかった候補者にアプローチしたところ、約10%の方から返信があったのは大きな発見でした。実際に何名かの方とお会いしましたが、皆さん当社のことを覚えてくださっており、温度感も高く、選考に進んでくださる方も出てきました。また、当社から連絡が来た印象について率直に尋ねたところ、「自分のことを覚えていてくれて嬉しかった」というポジティブな言葉をいただきました。候補者体験(CX)の向上にも繋がっていると手応えを感じましたね。
本格運用からまだ間もないですが、現在10名弱の方と面談を組めそうな状況で、直近では内定を出すことができています。タレントプール採用のスタートダッシュとしては良い効果が得られていると実感しています。
導入から短期間で効果が出ている要因は何だとお考えですか?
渡辺氏:
定性的ではありますが、一番は「当時の選考体験」が良かったからだと思います。過去に、当社の良い印象が残るコミュニケーションを心がけていたからこそ、「この企業なら話を聞いてみよう」と思っていただけたのではないでしょうか。
また、当社は候補者に選考体験に関するアンケートをお願いし、「面接の印象」や「意向が下がった理由」などのフィードバックを元に、選考内容を改善するPDCAサイクルを回しています。こうした地道な取り組みが、質の高い選考体験に繋がり、今回の成果の土台になっているのだと思います。
貴社のようなIT企業を志望する候補者に対して、タレントプール採用によるアプローチはどのような効果を発揮すると思いますか?
渡辺氏:
他業界と比べてIT業界では転職サイクルが早く、採用候補者が企業に求める要素も多岐に渡ると感じています。特に、これまでのSaaS業界のように急成長している企業では、組織フェーズやカルチャーの変化も目まぐるしいため、候補者も「上場を経験したい」や「第二創業期のグロースを牽引したい」「新規事業責任者を担いたい」といった明確なキャリアプランをもって転職活動を行う方が多い印象です。それを踏まえると、候補者のキャリア志向などの情報を蓄積、転職タイミングをリアルタイムで把握したうえで、その方にとって適切なタイミングに効果的なアプローチができるタレントプール採用は、非常に効果的な採用手法だと考えています。
「MyTalent」を基盤に本格的な採用マーケティングへ―kubellが描く新たな採用の未来
それでは最後に、今後の展望についてお聞かせください。
渡辺氏:
渡辺氏:今後はリファラルやアルムナイなど、様々な切り口でタレントプール活用を進めていきたいと考えています。さらには「採用マーケティング」にも力を入れていきたいと考えています。採用活動はセールスやマーケティング活動に似ており、私たちが日々発信するコンテンツを、誰に、どのタイミングで、どう届けるかを戦略的に設計する必要があります。「MyTalent」を基盤に、そういったマーケティング的なアプローチを体系化できれば、当社らしい採用活動が実現できると信じています。
編集後記
人材獲得競争が激化する中、「母集団形成」の強化だけでは十分な成果が得られない企業様も多いのではないでしょうか。kubell様は蓄積された過去の候補者データに着目して採用活動を戦略的に再構築しました。過去に自社への関心があった候補者のタイミングを捉え、再び応募に繋げる取り組みは、タレントプール採用における素晴らしいロールモデルだと感じました。
採用候補者との中長期的な関係構築手法や、採用候補者毎にカスタマイズしたアプローチに関心のある採用担当者様は、ぜひTalentXまでお問い合わせください。
▼タレントプール採用によって内定辞退から数年後に入社した、採用候補者の体験エピソードはこちらから
https://mytalent.jp/lab/case_altius-link/
▼タレントプールとは何か、タレントプール採用を導入するために何から始めればいいか気になる方は、以下の「タレントプール採用の教科書」も併せてご覧ください。







