「社業の発展を通して豊かな人間生活の向上に貢献する」ことを経営理念に掲げ、医療、介護、保育等、人々の生活と関わりの深い分野で事業活動を行っている株式会社ニチイ学館様。同社は資格講座の展開により、全国各地で人を集め、育て、雇用することで、サービスに欠かせない優れた人財を養成し、地域に密着したサービスネットワークを築いています。
超高齢社会により介護や医療などのサービス需要が大幅に増加するなか、「人財供給力」を高めるため、さまざまな採用変革に力を入れています。
今回は、採用変革を推進している背景やタレントプールの取り組みについて、人財開発事業部 シニアエキスパート 千石友明 氏に伺いました。
株式会社ニチイ学館
・従業員数 :81,504人(2024年3月末時点)
・事業概要 :医療関連事業、介護事業、保育事業、ヘルスケア事業
・取材対象者:人財開発事業部 シニアエキスパート 千石友明 氏
超高齢社会によりサービス需要が高まる介護業界──そのニーズに応え得る「人財供給力」をいかに整備するかが重要な課題に
まず、貴社の事業内容を教えてください。千石氏:
ニチイ学館は「社業の発展を通し豊かな人間生活の向上に貢献する」ことを目指し、医療、介護、保育という人々が安心して暮らしていくために欠かせないサービスを提供しています。
創業初期からある医療事務講座をはじめとする資格講座を展開し、全国各地で人を集め、育て、雇用することで、サービスに欠かせない優れた人財を養成し、地域に密着したサービスネットワークを築いてきました。現在では約12万人の介護サービスをご利用のお客様、約7千件の医療機関の皆様にサービスを提供しています。
超高齢社会に突入しつつある日本ですが、業界動向や課題をどのように捉えていますか?
千石氏:
私たちが挑戦する超高齢化にともなう社会課題は極めて大きく険しいものです。2040年には65歳以上の高齢者が全人口の約35%(3,929万人)に達する一方、15歳~64歳の生産年齢人口は、2025年時の推計と比較すると約1,000万人以上も減少する見込みです。
介護や医療などのサービス需要が大幅に増加するなか、各地においてそのニーズに応え得るサービス供給力(人財供給力)をいかに整備するかがニチイ学館の課題であり、わが国の大きな課題とも言えます。
次に、採用方針や求める人物像があれば教えてください。
千石氏:
現在の介護業界では他の業界と同じく人財不足が課題となっているなか、当社は採用活動を強化し、一緒に働く仲間を集めることを目標に、働きやすさの改善、イメージの向上などに取り組み、世間ではなかなか認識されていない働き甲斐とともに発信していきたいと考えています。
求める人物像としては「やさしさを、私たちの強さにしたい。」というブランドスローガンに込めた想いに共感してくださり、人が好きで人に喜ばれることが一番嬉しいと感じる方々です。そういった方々にとって、暮らしの中に笑顔の時を添える介護の仕事は、人の人生から不安な時・さみしい時を微力でも減らすことができる仕事なので、やりがいが非常にあります。
資格講座の修了生やアルムナイなどニチイ学館と過去に接点があった方々と中長期でつながり続けるプラットフォームを構築するため、「MyTalent」を導入
キャリア採用において、これまでの採用施策と課題について教えてください。
千石氏:
ニチイ学館の創業は、月末月初の保険請求業務に追われ、医師が本来の仕事である診療行為に専念できない診療所の状況を目の当たりにした寺田明彦(当社創業者)が始めた医療保険請求業務の受託事業がはじまりです。診療所における医療保険請求業務の受託から始まったニチイ学館は、その後、日本初となる通学形式の医療事務講座を開講し、人財養成(教育)事業を開始します。ちなみに、当社社名は「日本の医療を学ぶ館」に由来しています。
そのような背景から、介護領域においても講座を開講し人財育成を進め、講座の修了生にニチイ学館での活躍の場を提供することに加え、昨今の採用難を乗り越えるために、求人媒体やハローワーク、近年ではリファラル採用など、様々な採用手法に取り組み始めています。
今回、タレントプール構築をスタートしたきっかけを教えてください。
千石氏:
当社の成り立ちでもある「講座からの登用」と「アルムナイ(再雇用)」の2つを効果的に活用することを考えたのがきっかけです。
将来の活躍を期待する重要な人財として講座の受講生・修了生を認識し、その方々に対して定期的にコミュニケーションをとることを大切にしているので、その手法の一つとしてタレントプールを導入しました。
また、アルムナイについても、以前から復職者が一定数存在しており、重要な人財群との認識をしていましたので、そこに対するアプローチの必要性を大きく感じていました。
まとめますと、教育事業の受講生や退職者など興味関心を持つ方々へのアプローチとプラットフォーム構築、そしてそのデータベース化とデータの一元化を目的としてタレントプールシステムを導入しました。
そうしたなか「MyTalent」を導入した理由は何でしょうか。
千石氏:
純粋に求人を発信して応募を促すだけではなく、潜在候補者をナーチャリングしていきたいと考えており、それが実現できるサービスが「MyTalent」だったからです。
運用のイメージとして、求人の配信に加えて、介護職もしくはニチイ学館の魅力や理解を深め、就業志望度を上げるためのコンテンツの配信を考えており、そのためのメール配信に対する操作性や配信後の効果測定が他社に比べて秀でていると感じました。
配信した求人やコンテンツがどの程度閲覧されたか可視化できることはもちろんですが、各タレントの動向が可視化できるので、配信コンテンツに対する効果測定や改善策を立てやすく、タレントプール構築の目的が「介護職もしくはニチイ学館の魅力や理解を深め、就業志望度を上げる」我々にとっては大変魅力です。
また、機能だけではなく、TalentX社はタレントプールやアルムナイに対する知見も多くお持ちなので、配信コンテンツや目標設定、分析など非常に良いコンサルティングをしていただいていると思いました。
介護職の魅力を伝え、私たちとともに働く仲間を増やし、社会課題解決に貢献
「MyTalent」導入後の取り組み内容についてお聞かせください。
千石氏:
「MyTalent」を導入してまだ数ヶ月ですが、ホームページ上に興味のある方や仕事を探している方向けにキャリア登録のページを公開しており、そこで登録いただいた方に対して、情報発信をしています。
有益なコンテンツ配信をすることで、志望度の醸成(アンケート回答数増加)を目指しています。具体的には、登録タレントの属性や特徴ごとに配信コンテンツの内容を変えるなどをして、アンケート回答数の増加、志望度の醸成、求人への応募数増加へ取り組んでいます。
ありがたいことにタレントプール数は2.5万名を突破し、タレントプール経由の応募・採用は確実に増えつつあります。
(参考:https://kaigo.nichiigakkan-careerplus.jp/careerregistration/)
「MyTalent」の活用について、今後の展望を教えてください。
千石氏:
現在、登録したタレントに対して、アンケートで「転職志望」を定期的に聞き、新たに「転職志望有」と回答した方には、直接お電話をさせていただいて、状況をお伺いする運用をしています。
今後は上段に加え、「HOTフラグ」というタレントの行動履歴や興味度が可視化できる機能を活用し、転職意向を自ら表示をした顕在層ではなく、意思表示をしてはいないが、興味がありそうな潜在層に対してもアプローチができるようになりましたので、そうした機能を有効に活用しようと考えています。
また、介護やニチイ学館への志望度を高め、アンケート回答数の増加を図り、応募や採用につなげることはもちろんですが、前段でもお伝えした、介護業界やニチイ学館に対する魅力や理解を深めるためのツールとしても、採用ブランディングの一環として活用をしていきたいと考えています。
タレントプール構築の今後の展望を教えてください。
千石氏:
タレントプール経由で採用数を増やすことを目標として、求人の配信や介護職・ニチイ学館の魅力や理解を深め、就業志望度を上げるコンテンツの運用を実施していますので、まずはその運用をしっかりと構築し、PDCAを回すことが当面の目標です。
採用難の時代だからこそ、一度応募してくださった方や、接点を持った方に対して中長期でコミュニケーションを取り続け、どれだけ採用につなげることができるかが重要だと考えます。そのためにはニチイ学館の魅力を発信する必要がありますが、ニチイ学館の魅力自体を高める取り組みは進めながら、個々の状況に応じた個々が魅力に思う情報を発信することで、ニチイ学館の採用ブランディング、そして介護業界の魅力を伝えることができればと考えています。
最後に採用全体の目標や今後の展望をお伺いできますか。
千石氏:
目指すべき未来は、介護の仕事を希望する人を増やすことで、経営理念にあるように、ニチイ学館だけでなく、日本の社会課題解決の一助となることです。
介護職の環境改善に努めるとともに、日々進化している介護現場の現状や、介護職の魅力を発信していくことで、一緒に働きたい、ともに理念達成を目指したいと思ってくれる仲間を集め、企業の成長ひいては、介護業界の発展に貢献していきます。
また、採用活動や組織開発においては、日本生命へのグループイン後、様々な改革プロジェクトをスタートさせており、より多くの人財が集まる組織づくりに着手しております。日本生命グループが長きにわたり培ってきたノウハウ等も活かし、幅広い人財層にニチイ学館で働きたいと思っていただけるよう、本社から現場まで、一丸となって改革を推進してまいります。
ニチイ学館様のタレントプール取り組みに関するオンラインセミナーを12月17日(火)に開催します!
下記から是非ご覧ください。
編集後記
超高齢社会により介護や医療などのサービス需要が大幅に増加するなか「人財供給力」を高めるため、採用変革を推進する株式会社ニチイ学館様のインタビューをお届けしました。採用難の時代だからこそ、一度応募してくださった方や、接点を持った方に対して中長期でコミュニケーションを取り続け、どれだけ採用につなげることができるかが重要だと考え、タレントプール構築に取り組んでいます。
タレントプールを構築して自社の持つ候補者データを資産にしたい企業や、候補者との継続的な関係づくりに興味のある採用担当者様は、ぜひTalentXまでお声がけください。