近年、日本の労働市場は劇的な変化を迎えています。特に、労働人口の減少と採用需要の増加が顕著です。このトレンドは、特に専門職や技術職において深刻であり、2030年までにはほぼすべての職業にて人手不足が深刻化することが予想されています 。このような状況下で、各社は優秀な人材を確保するため、転職顕在層だけに絞った採用手法だけではなく、採用ターゲットの大多数を占める転職顕在層を惹きつける施策を実施することが重要になります。
転職潜在層の獲得のため、適切な採用マーケティング活動を行うことが各企業には求められますが、採用マーケティングの一種として自社採用力を高める施策である「タレントプール採用」。短期的且つ外部依存型の募集手法が主流であった人材紹介や転職サイトとは全く別の採用手法であり、転職潜在層と長期的な関係を築きながら適切なタイミングでアプローチをしていく手法です。
今回は、そのような「タレントプール採用」におけるメリット・デメリットをまとめた資料の一部を本記事でご紹介します。
「タレントプール採用のメリット・デメリット」ダウンロードはこちらタレントプール採用とは
タレントプール採用とは、選考に進まなかった候補者や、まだ転職意欲が活性化していない候補者、面接辞退者など、将来に採用可能性がある候補者情報を資産化して関係を維持する採用手法を指します。
これまで日本企業の主な採用活動は、リクルーティングでした。リクルーティングは企業の差し迫った短期的なニーズを満たすものですが、タレントプールは自社に引き入れたい優秀なタレントのデータを集約することをいいます。タレントプールを採用活動に活用することができれば、長期的な視点を持ちながら社内で雇用の最適配置を実現することができます。また、自社が求める優秀な人材獲得(タレントアクイジション)にもつながるので、結果的に長期的な企業成長にも効果的です。
タレントプール採用のメリット
タレントプール採用を実施すると、各企業にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。下記で三つのメリットをご紹介いたします。
転職潜在層へのリーチ
転職潜在層から単願で優秀な人材を獲得できます。再アプローチ時の候補者と企業の間柄は、見ず知らずの関係ではなく、一度選考で話してお互いに理解している状態から始まるので、候補者の意向が高まりやすくなります。
採用確度の向上
企業は採用ニーズが発生次第、すぐに候補者へのアプローチを開始することが可能です。自社のタレントデータベースに蓄積している優秀なタレントに声をかけるだけで面談をするのみなので、第三者が仲介することなく採用熱度を高めることができ、採用確度の向上に寄与します。
低コストでの採用
選考時に決定に至らない応募者データを掛け捨てせず、自社データに蓄積すれば、翌年や数年後の採用決定に繋がり、自社採用力も向上していきます。結果的に、タレントプールを中長期的に活用することで、採用コストを大幅に削減できます。
タレントプール採用を実施するうえでの課題
採用担当者がタレントプール施策に取り組まれる際の課題は、個人情報などの法令遵守や決定実績イメージがないことがポイントとしてあげられます。
- 過去候補者に連絡しても問題ないか(個人情報や紹介会社の存在)
- 選考辞退者も少なく個人情報も破棄しているのでやる必要がないのでは
- 採用成果がすぐ出るとは思わないし候補者が応募に至るイメージもない
- キャリア採用の選考辞退者や内定辞退者が少なく、プールできる人数が少ないので運用する意味を感じない
- 決まった年数で個人情報を破棄しており、プールできる候補者がいない
- 一度辞退した候補者なら、再度アプローチしても、実際に応募してもらえると思えない
- アプローチする時間ばかり取られて、採用決定が出ないのではないか
上記のような課題や疑問があるなかで、本記事では1.~3.の課題をピックアップし、ポイントと併せてご紹介します。
1.個人情報の取扱いに対する懸念
「過去の選考辞退者に一定期間経過後に連絡しても問題ないか」という声をよく伺います。タレントプールを活用する際には、各社のプライバシーポリシーに準じますが、「個人情報の利用目的(採用活動)を明示・公表」していることがポイントです。
- 企業に直接応募があった場合
- 転職エージェントなど、人材仲介会社などの第三者を通じて応募があった場合
- 取得した個人情報は利用年数制限を設ける必要があるのか
などの具体的なケーススタディを資料内で紹介しております。
2.人材紹介エージェントとの契約内容に関する懸念
「人材紹介会社経由の候補者をプールすることは契約上問題ないか?」という懸念もよく伺います。一般的な人材紹介契約では、人材紹介会社の優先権が存在しているため、12箇月の優先期間を設ける企業が多いですが、契約書を確認することをおすすめします。
資料内では、人材紹介契約書の規約例を用いてケースをご紹介しております。
3.短期的な採用実績に繋がるイメージがない
タレントプール採用は、中長期的な施策と考えているため、短期施策は別施策に集中したいというお声もよく伺います。タレントプール採用は初期は効果が出ず、中長期的な施策と捉えられがちですが、初回応募創出まで平均28日、一人目の内定創出まで平均3ヶ月と短期的にも効果があります。(※MyTalent導入企業における成果創出までの平均リードタイム)
資料では、企業が決定創出するまでの期間と決定実績をご紹介しております。
本資料では1.~3.の詳細情報のほかに4.以降の懸念や課題・疑問にもお答えしていますので、ご興味がある方はお気軽にダウンロードしてご確認ください。
タレントプール採用に成功する企業の施策実施背景
ケーススタディ: 総合機械・電気メーカー
ある総合機械・電気メーカーでは、カンパニー制への移管に伴い、各事業感での連携が薄まり、採用における機会損失が顕在化していました。中長期的に勝ち続けるために、優秀な人材の確保が必須であるため、グループ横断プールを構築しています。イベント参加者、中途、新卒、退職者などの経路別応募者をプールで区切り、検索性を担保したり、細かい権限管理を実施することで個人情報の取り扱いをクリアしています。自社採用ホームページからキャリア登録導線を設ける取り組みを通じて、企業は優秀な人材を効率的に確保することができています。
ケーススタディ: 航空サービス企業
ある航空サービス企業では、事業変革に必要な多様性あるキャリア採用を目指し、タレントプールを活用しています。採用候補者に対して一過性の関係ではなく、中長期的につながり続ける関係づくりを実現しています。採用管理システム上に存在する多くの候補者データが存在するも、データ分析や活用がこれまでほとんどできていなかったなかで、過去接点のある候補者データ構築と再アプローチを実施することによって、応募者数が施策開始前比50倍以上に向上しています。
タレントプールのメリットやデメリットをより詳しく知るには
タレントプール採用は、長期的な視点での人材獲得戦略として非常に有効です。労働市場の変化に対応し、優秀な人材を確保するためには、従来の採用手法に加えて、タレントプールを活用した戦略的なアプローチが求められます。
その他の課題や解決策、タレントプール促進方法に関しては資料内で解説していますので、気になる方は資料をダウンロードください。
監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレント・アクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレント・アクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。