本調査レポ―トは、日本企業の「採用マーケティングの実態」を明らかにし、その取組状況や効果、直面している課題を解明することを目的として作成したものとなります。
目次|採用マーケティングに関する実態調査レポート【2025年版】
- なぜ今採用マーケティングが必要なのか
- 採用マーケティングに関する調査
- 採用マーケティングが注目されている背景
- まとめ

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なぜ今採用マーケティングが必要なのか
日本の労働人口が減少し、企業間での人材獲得競争がかつてないほど激化しています。こうした中で求められているのは、「人を採る」のではなく「人が集まる」仕組みづくりです。その鍵を握るのが、マーケティングの視点を取り入れた採用戦略です。
AIやテクノロジー、マーケティング戦略を駆使して採用候補者に対して自社の認知獲得、興味喚起、応募獲得、採用に至るまでの実践的アクションを行う「採用マーケティング」は外部チャネルに依存しない“自社の採用力”を高める手法として発展してきました。本章では、採用マーケティングの概要と、今なぜ採用マーケティングが必要とされているのか、その背景について解説します。
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは「マーケティング戦略を駆使してその企業ではたらく価値を提案し、タレントを惹きつけ、採用し、維持する」行動のことを指します。
従来の「求人を出して待つ採用」とは異なり、候補者との接点を設計し、中長期的な関係構築を通じて“自社に合う人材が自然と集まる仕組み”をつくることが大きな特徴といえます。
採用マーケティングが注目されている背景

「労働市場の構造変化」「採用市場の構造変化」など、日本の市場はかつてないスピードで複雑に変化し、企業にとって優秀な人材の確保は年々難しくなっています。こうした中、戦略的に候補者との関係を築き、自社の魅力を発信していく「採用マーケティング」が注目を集めています。
欧米では2013年頃からマーケティングの考え方を採用活動に取り入れ、候補者との関係を構築する「採用マーケティング」の手法が浸透しており、日本でも “人を採る”ではなく“人が集まる仕組み”を構築することが求められてきています。
採用マーケティングに関する調査
調査概要
| 調査期間 | 2025年9月18日~9月19日 |
| 調査対象 | 従業員数500名以上の会社で働く中途採用に関わる人事担当者 |
| 有効回答数 | 219名 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査主体 | 株式会社TalentX |
本調査は、日本企業における「採用マーケティングの実態」を把握し、 その取組状況や効果、直面している課題を明らかにすることを目的としています。
経営陣の採用活動に対する意識と行動
経営陣(社長や人事担当役員)の日頃の会話やメッセージから、 中長期的な計画で経営陣が将来の事業展開や経営戦略に必要な人材を確保(タレントアクイジション)する重要性を発信していますか?

中長期的な人材獲得(タレントアクイジション)の重要性を発信する経営陣は約8割。戦略的な採用活動は経営の重要アジェンダになっているという事がわかりました。
1年前と比べて採用活動における経営陣とご自身の危機感は高まっていると感じますか?

この1年で採用活動に対する危機感が高まった経営陣は約8割。採用担当者と同様のレベルに達しているという事がわかりました。
以下のうち採用現場で感じている課題はありますか? ※複数回答

採用現場の主な課題は「コストの上昇」「採用した社員が定着/活躍できない」「候補者との接点不足」が上位となりました。さらに、『求人広告や人材紹介以外の新たな採用手法が必要だと感じるか』という問いに対しては87.2%が『必要性を感じる』と回答しています。
採用マーケティング手法の実態
現在の採用活動で以下の手法を実施しているかお答えください ※複数回答

リファラル採用、SNSや動画を使った採用活動、オウンドメディア運用、アルムナイ採用など採用マーケティング領域の実施割合が従来型の求人広告、人材紹介に迫っている事がわかりました。
採用活動においてAIやテクノロジーを活用したツールは重要だと感じますか?

採用マーケティングのドライバーとなる AIやテクノロジーを活用したツールの重要性を約9割の採用担当者が感じていると回答しています。
現在利用している採用ツールや採用サービスで、前年と比べた予算の増減を教えてください ※本設問のパーセンテージの分母は、該当ツールやサービス「現在利用している」と回答した企業数です

前年比で予算増となった採用ツールやサービスは 採用MAサービス、動画作成、オウンドメディア作成、ATSと採用マーケティング領域が上位を占める結果となりました。 また、RPOが最も高く、ツールと専門人材の掛け合わせニーズの高まりも予想されます。
今後採用マーケティングの知識・スキルを持つ人材確保を強化する必要があると感じていますか?

採用マーケティング人材の確保は87.7%が必要と回答しています。 専門的知識・スキルを持つ採用マーケティング人材強化への期待が高い一方で、『勤め先に採用マーケター※人材を配置しているか』という問いに対し専任配置は37.4%に留まっており、兼任が大半だという結果が出ています。これは、専門人材の確保や採用が今後の課題であると考えられます。
※採用マーケター:リファラル採用、オウンドメディアの運営、アルムナイ採用などの採用マーケティング施策を専任で行う方
採用マーケティングが注目されている背景
これまでの調査結果を踏まえ、これからの採用の在り方を考えるうえで、なぜ「採用マーケティング」が注目されているのか――背景をひも解いていきます。
日本企業の採用活動状況

出典:マイナビ「2025年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」
出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2024年度上半期実績、正規社員)」
まず挙げられるのは労働市場の変化です。少子高齢化の進行により労働人口は年々減少し、2030年には約644万人の人手不足が予測されています。加えて、テクノロジーの進化によりデジタルネイティブ世代が台頭し、働き方やキャリア観の多様化が進んでいます。
採用市場でも、若年層人口の減少により採用難易度が上昇し、有効求人倍率や採用単価は過去最高水準に達しています。候補者が企業を「選ぶ」時代となり、従来の手法では採用目標を満たせない企業も増加しています。 こうした背景から、外部チャネルへの依存を抑え、上昇し続けるコストを削減しつつ、自社で候補者を惹きつけることができる「採用マーケティング」への関心が高まっています。
これまでの採用の考え方

日本社会では、少子高齢化や経済成長の鈍化など大きな構造変化が進む一方で、「採用」の在り方は長らく大きな変化を遂げていません。かつての高度経済成長期には、安定した労働人口と経済成長を背景に、「終身雇用」や「年功序列」「新卒一括採用」といった仕組みが一般的でした。しかし現在は、労働人口の減少や経済成長の停滞を背景に、「ジョブ型雇用」や「成果重視」など、働き方や雇用の価値観が大きく変化しています。
にもかかわらず、採用の仕組みだけが過去の前提のまま取り残されている——この“構造的な遅れ”こそが、いま採用変革が求められている背景といえるでしょう。
これまでの採用の考え方と求められる採用の進化

社会の仕組みや働く人々の価値観が大きく変わる中で、採用もまた時代に合わせた再設計が求められています。これまでの採用は、安定した労働人口と経済成長を前提に「人手を確保する」ことを目的としてきましたが、これからは「人材を戦略的に獲得する」ことが重要なテーマとなっています。そのためには、経営と人事が一体となって採用戦略を描き、採用の目的・基準・手法を根本から見直す必要があります。
まさに今、採用の抜本的なアップデートが求められている時代といえるでしょう。
これからの採用の在り方

欧米の企業では、ITやテクノロジーを駆使したプラットフォームを基盤に、採用活動全体をデータドリブンで運用する仕組みが一般化しています。「採用マーケター」と呼ばれる採用マーケティングの専任担当者が配置され、候補者への情報発信やタレントプールの構築、スカウトを通じた関係形成を担います。その後の選考・採用・定着フェーズでは、リクルーターやコーディネーターが連携し、ソーシングからオンボーディングまでを一貫して設計・運用しているのが一般的です。
こうした分業体制とテクノロジー基盤により、採用効率と候補者体験(CX)の向上を同時に実現しているのです。
▼ 記事:なぜ日本企業に採用マーケターが必要なのか
https://mytalent.jp/lab/why_recruitment_marketers/
まとめ
採用市場が変化し優秀人材の獲得が難しくなる中で、転職潜在層にむけて認知〜興味喚起を実施する採用マーケティングは、今後ますます重要となっていきます。
「即戦力になる人材がほしい」「新規事業を牽引してもらいたい」「採用コストを削減したい」「既存の採用手法では頭打ち感がある」と考えている企業や人事担当者様は、採用活動にマーケティングの概念を取り入れてみてはいかがでしょうか。
当社では、採用マーケティングを実践したい方に向けて、さらなる情報を提供しております。ご興味をお持ちの方は、各リンクからご覧ください。
▼ 企業ブランディングを行う際に整理すべきEVPとフレームワーク「WORCS」を整理した資料

▼「採用マーケター」の役割やスキルを整理した資料

監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。






