「社員インタビューの記事を作ったのに、最後まで読まれない」「社員の声を載せても、応募につながっている実感がない」。採用コンテンツを担当していると、このような悩みに直面することがあります。
社員インタビュー記事の書き方で差がつくのは、実は取材後の文章力ではなく、企画段階での人選と質問設計、そして取材後の編集判断です。
本記事では、社員インタビュー記事の企画から事前準備、取材、撮影、公開後の活用まで、実務担当者が押さえておきたい手順と判断基準を解説します。
目次|社員インタビュー記事の書き方
- 「作成したのに求職者に読まれない」原因はどこにあるか
- 社員インタビュー記事の全体制作フロー【企画から公開まで】
- 事前準備で決まる記事の質—誰に、何を聞くか
- 応募意欲を高めるための質問設計と聞き方
- 取材・撮影当日に押さえるべき実践ポイント
- 公開した記事を採用成果につなげる二次活用
- まとめ
「作成したのに求職者に読まれない」原因はどこにあるか
社員インタビュー記事を作成したが求職者に読んでもらえない、応募につながらない場合、見直したいのは文章表現だけではありません。企画段階にある3つの原因を整理し、求職者に届き、応募につながる記事にするためのポイントを解説します。
経歴紹介で終わってしまうケース
多くの企業で最初に作られる社員インタビュー記事は、「大学卒業後、○○株式会社に入社。その後○○部へ異動し、現在は○○を担当しています」といった経歴紹介に終始しがちです。事実は正確に伝わりますが、求職者が知りたい「入社後にどう働き、どう成長するのか」という具体的なイメージには結びつきません。
回答が抽象的なまま掲載されるケース
社員の回答をほぼそのまま掲載してしまうことも、よくある原因の一つです。「仕事のやりがいは、チームで協力して成果を出せることです」「社風が良く、社員同士のコミュニケーションが活発です」といった回答は、多くの採用サイトで共通して使われている言葉であり、他社との差別化にはつながりません。こうした回答になるのは、取材そのものに問題があるのではなく、深掘りする質問が不足していることが原因です。具体的な解消方法は、後半の「質問設計」の章で詳しく解説します。
記事のターゲットが定まっていないケース
記事のターゲットが定まっていないことも、読者に届きにくい記事に共通する特徴です。新卒採用と中途採用、未経験職種と専門職種では、求職者が知りたい情報も、起用すべき社員像も異なります。ターゲットを明確にしないまま「社内で人気の社員」を起用すると、記事の内容が一般的な会社紹介に近づき、特定の求職者の応募を後押しする内容になりにくくなります。
社員インタビューは「社員を紹介する記事」ではなく、「ターゲットとなる求職者が知りたいことを、社員の経験を通じて伝える記事」と捉えることが重要です。こうした視点を持つことで、企画や取材の軸も定めやすくなります。
求職者に読んでもらえる記事とそうでない記事の違いは、「どの案件でどのような壁にぶつかり、どう行動したのか」といった、業務に関する具体的な場面が描かれているかどうかにあります。こうした内容を引き出せるかどうかは、取材当日の話し方だけでなく、どの社員に何を聞くのかという企画段階の設計によって大きく左右されます。
社員インタビュー記事の全体制作フロー【企画から公開まで】
前章では、社員インタビュー記事の企画段階で発生しやすい課題を整理しました。ここからは、企画から公開までの制作工程を具体的に見ていきます。社員インタビュー記事の制作にはいくつかの工程があり、それぞれで担当者が押さえるべき判断ポイントも異なります。まずは全体の流れと、標準的な制作期間の目安を確認しましょう。
企画〜公開までの5ステップと標準スケジュール
社員インタビュー記事の作成は、企画、事前準備、取材・撮影、執筆・編集、校正・公開という5つの工程で進みます。着手から公開までの期間は、社内の確認体制や取材対象者のスケジュールによって前後しますが、おおむね3週間から6週間程度が一般的な目安です。
| 工程 | 主な作業内容 | 主な担当者 | 目安期間 |
|---|---|---|---|
| 企画 | ターゲット・目的の設定、掲載対象社員の選定 | 採用担当・広報 | 3〜5日 |
| 事前準備 | ヒアリングシート送付、質問項目の確定 | 採用担当・編集担当 | 3〜5日 |
| 取材・撮影 | インタビュー実施、写真撮影 | 編集担当・撮影担当 | 1日 |
| 執筆・編集 | 原稿作成、構成・タイトルの調整 | 編集担当 | 5〜10日 |
| 校正・公開 | 関係者確認、修正対応、公開作業 | 採用担当・広報 | 3〜7日 |
制作期間の中で特に時間がかかりやすいのが、執筆・編集の工程です。取材後すぐに原稿が完成するわけではなく、話し言葉を整理したり、出来事の順番を組み立て直したりする作業にも相応の時間がかかります。
採用成果につながる記事の条件
成果につながる社員インタビュー記事には、共通する条件があります。
1つ目は、記事の対象となる読者像が明確であることです。ここでは「求職者」という大きな括りではなく、「営業経験があり、事業会社への転職を検討している人」のように具体化することがポイントです。
2つ目は、抽象的な言葉だけでなく、社員の具体的な経験や業務上の出来事が描かれていることです。3つ目は、記事を読んだ後に求職者が次に取るべき行動が示されていることです。たとえば、エントリーやカジュアル面談の申し込みなどが挙げられます。
これらの条件が定まらないまま執筆に進むと、取材後にどれだけ丁寧に書き直しても、「誰に向けた記事なのか」がぼやけたままになってしまいます。つまり、記事の完成度は執筆の技術だけでなく、企画段階でこれらの条件をどこまで明確にできているかによって大きく左右されます。
事前準備で決まる記事の質—誰に、何を聞くか
記事の質は、取材当日の進め方よりも、その前の準備段階でどれだけ設計できているかによって大きく左右されます。特に、誰に話を聞くか、そして何を事前に確認しておくかという2点が、当日に引き出せる話の深さを左右します。
ターゲットに合わせた社員選定の判断基準
社員インタビューの対象者を選ぶ際、実績のある社員や役職者を起用したいと考えるのは自然な発想です。しかし、成果を上げている社員ほど業務量が多く、取材時間の調整が難しくなる傾向があります。加えて、経験が長くなるほど話の内容が抽象化しやすく、「入社したばかりの求職者が自分に重ねられる話」からは離れていくことがあります。
求職者が記事を読んで自分の入社後を具体的に想像できるようにするには、ターゲットに近い経験を持つ社員を選ぶという視点が有効です。未経験からの転職者に向けた記事であれば、入社1〜2年目で実務に慣れてきた社員が向いています。中途採用でミスマッチの不安を減らしたい場合は、入社後にギャップを感じながらも克服した経験を持つ社員のほうが、記事に説得力があります。
人選に迷う場合は、次の観点で確認すると判断しやすくなります。
- 採用したいターゲットと経歴が近いか
- 入社前と入社後の変化を具体的に話せるか
- 成功だけでなく、苦労した経験も話せるか
なかでも、苦労した経験を話せるかどうかは特に重要な基準です。失敗や苦労の経験には、入社後に直面する課題と、それを乗り越える過程が含まれているため、成功した結果だけを聞くよりも、求職者が自分の入社後を想像しやすくなります。
取材効果を高める事前ヒアリングシートの設計
取材当日にその場で質問を投げかけるだけでは、社員が準備のないまま曖昧な回答をしてしまうことがあります。これを防ぐために、取材前に簡単なヒアリングシートを送付し、深掘りしたいエピソードのあたりをつけておく方法が有効です。
ヒアリングシートで避けたいのは、「仕事のやりがいを教えてください」といった抽象的な質問です。この形式では、社員も抽象的にしか答えられません。
「直近1年で、特に苦労した仕事は何ですか。その仕事で難しかった点も教えてください」のように、具体的な場面を尋ねる設問にすることで、当日の会話も事実に基づいた内容になりやすくなります。
事前ヒアリングシートの役割は、取材前に回答を完成させてもらうことではなく、当日の取材で深掘りする「入口」を見つけることです。そのため、長文の回答を求めるのではなく、思い出したことを簡単に書いてもらう程度にとどめると、社員側の負担も抑えられます。
応募意欲を高めるための質問設計と聞き方
事前準備が整っていても、当日どう質問を投げかけるかによって、引き出せる話の深さは大きく変わります。特に効果が出やすいのが、質問の順番を意識することと、回答をもう一段深掘りする問いかけです。
過去・現在・未来を軸にした質問構成
社員インタビューの質問は、転職前の状況や転職理由といった過去、現在の業務内容とやりがいや苦労といった現在、そして今後のキャリアや目標という未来の3つを軸に構成すると、話に一貫性が生まれます。過去では「転職を考えたきっかけは何でしたか」、現在では「今、仕事で難しいと感じる場面はありますか」、未来では「今後挑戦したい仕事はありますか」のように、各フェーズで軸となる質問を1つ決めておくと、当日の会話がぶれにくくなります。
ただし、この順番を当日厳密に守る必要はありません。社員が具体的なエピソードを話し始めたら、予定していた質問の順番を止めてでも、そのエピソードを掘り下げるほうが、記事に使える情報を多く引き出せます。
抽象的な回答を具体的な場面に変換する深掘りの技術
取材の場で「この会社の魅力は何ですか」と質問すると、「チームワークの良さです」「社風が良いことです」といった一般的な回答になりがちです。こうした回答自体は誤りではありませんが、記事にそのまま使うと、他社の記事と似た内容になってしまいます。
ここで必要になるのが、抽象的な回答をさらに一段階深掘りする問いかけです。「社風が良いです」という回答に対しては、「社風が良いと感じた具体的な出来事はありますか」と場面を特定する質問を続けます。「困ったときに周りが助けてくれました」という答えが出てきたら、「どんな仕事で困っていたのですか」「誰がどのように助けてくれましたか」とさらに掘り下げます。すると、「社風が良い」という抽象的な評価が、「入社直後に担当した案件で困っていたとき、別部署の社員が過去の資料を共有してくれた」といった具体的な場面に変わります。
深掘りでは、「なぜ」だけを繰り返すのではなく、「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」という事実と、「そのときどう感じたか」という感情の両方を尋ねると、話を自然に具体化できます。この2~3段階の深掘りを重ねるだけで、記事に使える具体的な描写は大きく増えていきます。
取材・撮影当日に押さえるべき実践ポイント
質問の設計が整っていても、当日の進行や撮影の仕上がりによって、記事全体の印象は大きく変わります。ここでは、取材に慣れていない担当者でも実践しやすい、現場での具体的なポイントを紹介します。
警戒心を解き本音を引き出すアイスブレイク
取材に慣れていない社員は、カメラや録音機材を前にすると緊張し、当たり障りのない回答に留まりやすくなります。取材の冒頭でいきなり本題の質問に入るのではなく、最近の業務やちょっとした出来事について雑談を挟むことで、話す側の緊張をやわらげることができます。
たとえば「最近気になっているニュース」や「休日の過ごし方」など、業務から少し離れた話題から始めると、社員が構えずに話し始めやすくなります。加えて、「記事にする前提なので、話しにくいことは無理に答えなくて大丈夫です」と一言伝えておくと、社員は回答をきれいに整えようとせず、自分の言葉で話しやすくなります。数分の雑談を経てから本題に入ると、その後の回答も自然な言葉で返ってくることが多いようです。
素人でも失敗しない撮影の基本
写真撮影は専門的な技術がなくても、いくつかの基本を押さえるだけで印象を大きく改善できます。まず光については、逆光を避け、窓際などの自然光が顔に当たる位置に被写体を配置することが基本です。構図については、被写体を画面の中央に置くのではなく、三分割法にならって少しずらした位置に配置すると、写真に奥行きが生まれます。表情については、カメラを意識した正面からの真顔ではなく、実際にパソコンや資料を扱っている作業中の様子や、会話をしている自然な瞬間を撮影すると、記事に動きが生まれます。
| NG例 | 改善例 |
|---|---|
| 窓を背にして顔が暗い | 窓からの光を顔に当てる |
| 無機質な壁の前で直立 | 実際の仕事場で撮影する |
| カメラを見た硬い表情 | 会話中や作業中の自然な表情 |
写真は「きれいに撮る」ことよりも、「この人がどのように働いているのか」が伝わるかどうかを基準にすると、記事全体の説得力も高まります。
公開した記事を採用成果につなげる二次活用
社員インタビュー記事は、公開して終わりではありません。作成したコンテンツをどのように活用し続けるかによって、採用成果への影響は変わります。ここでは、公開後の記事を採用活動に生かす具体的な方法を整理します。
スカウトメールや選考案内でのマルチユース手法
完成した社員インタビュー記事は、採用サイトに掲載するだけでなく、複数の場面で活用できます。たとえばスカウトメールを送る際に、「○○のご経験を拝見し、現在同様の業務を担当している社員のインタビューも参考になるかと思い、ご紹介します」のように、候補者の経験に近い社員の記事のURLを補足資料として添えると、選考に進む前の段階で自社の業務内容や社風への理解を深めてもらえます。
選考中の候補者に対しても、面接前後のフォローとして関連するインタビュー記事を送ることで、入社後のイメージを具体的に持ってもらいやすくなります。こうした活用は、内定後の辞退防止にも一定の効果が期待できます。
記事の中にある「転職理由」「苦労した経験」「入社後のギャップ」「現在のキャリア」といった要素は、それぞれ別の切り口として展開できます。1本の記事を採用サイト・スカウト・選考フォローという複数の場面で二次活用することで、記事作成にかけた工数に対する効果を高めることができます。
まとめ
本記事で解説した内容を、実務で確認しやすいようにまとめます。
- 企画段階で、記事のターゲットと掲載する社員が一致しているか
- 人選は、ターゲットが自分を重ねやすい社員を選んでいるか
- 事前ヒアリングシートで、具体的な場面を尋ねる設問になっているか
- 取材当日、抽象的な回答をさらに深掘りする質問を準備しているか
- 撮影時、光・構図・表情のポイントを押さえているか
- 公開後の記事を、スカウトや選考フォローで活用する計画があるか
社員インタビュー記事が求職者に届かない、応募につながらないといった課題の多くは、企画段階の人選や質問設計、取材後の編集判断に起因しています。本記事で整理したポイントを踏まえることで、企業側が伝えたい情報を並べるだけでなく、求職者の関心や応募を後押しする記事へとつなげられます。
一方で、記事を1本ずつ丁寧に作り込むほど、企画・取材・撮影・編集・校正という一連の工程にかかる工数は積み重なっていきます。継続的に社員インタビューを発信し続けるには、この制作工程を回し続けるリソースの確保が課題になりやすい領域でもあります。
社員インタビューをはじめとする採用コンテンツの制作を支援し、完成した記事を掲載できる場として「MyTalent Brand」があります。コンテンツ制作のリソースを補いながら、継続的に記事を発信したい場合は、選択肢の一つとしてご検討ください。
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監修者情報
監修 | TalentX Lab.編集部
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