近年、多くの企業においてパーパス経営が取り入れられています。
現代の企業経営には、経済的な利益を上げるこに加え、大規模災害、経済問題、環境問題などの社会課題の解決にも取り組むことが求められています。それらの要望に応えるために、多くの企業においてパーパス経営が取り入れられています。
パーパス経営とは、自社の存在意義を明確にし、社会の中で果たすべき役割を果たしていくのかといったパーパスを軸として企業経営を行うことです。
この記事では、パーパス経営とはどのような意味を持つのか、またパーパス経営が注目されている背景をわかりやすく解説するとともに、パーパス経営を実践するメリットや実現するための手順をわかりやすくご紹介していきます。
目次<パーパス経営とは?意味や求められる背景、メリットと実践の手順を解説>
- パーパス経営とは
- パーパス経営の重要性と注目され始めた背景
- パーパス経営を実践するメリット
- パーパス経営を実現する4つの手順
- まとめ<パーパス経営とは?意味や求められる背景、メリットと実践の手順を解説>
パーパス経営とは
パーパス経営とは、企業が自社の存在意義を明確にし、社会の中においてどのような役割を果たし貢献するのかといった「パーパス」を掲げ、それを軸にして企業経営を行っていくことです。
パーパス(purpose)は、目的、意思という意味を持つ言葉です。企業経営に関して使われる場合には、存在意義や志といった意味を表わしています。
パーパスとMVV
パーパスとは「目的」や「意思」を表す言葉であり、ビジネスシーンにおいては「企業の存在意義」を表わしています。パーパスは、社会的な貢献や社会とのつながりを強く意識した意味合いで使われているといえるでしょう。
ビジネスの現場においてパーパスとともによく使われる用語に「MVV」があります。ここでは、MVVの意味をご紹介します。
- M:Mission(ミッション)
- V:Vision(ビジョン)
- V:Value(バリュー)
M:Mission(ミッション)
自社が社会に対して成し遂げたいこと、果たすべき使命や存在意義
V:Vision(ビジョン)
自社が実現したいあるべき姿、なりたい状態や実現したい未来像
V:Value(バリュー)
自社の全ての従業員がやるべきこと、ミッションやビジョンを実現するための具体的な行動指針や行動基準
パーパス経営の重要性と注目され始めた背景
現代の企業経営においては、継続的に利益を上げることだけでは評価されない状況であり、企業には、大規模災害、経済問題、環境問題などといったような社会課題の解決にも取り組むことが求められています。
パーパス経営が注目され始めた背景は、社会課題の解決に取り組むこと、つまり自社の存在意義を明確にし、社会の中でどのような役割を果たし貢献するのかといった「パーパス」を掲げて企業経営を行っていくこが求められていることといえるでしょう。
ここでは、パーパス経営が注目される背景として、下記の5つの点についてわかりやすくご紹介します。
- SDGsやサステナビリティへの関心の高まり
- ESG投資の広がり
- ミレニアル世代やZ世代の台頭
- VUCA時代の到来
- DXの浸透
SDGsとサステナビリティ経営
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった言葉です。 SDGsは「持続可能な開発目標」と呼ばれており、SDGsの意味としては「持続可能でよりよい世界を実現するために、世界が達成するべき目標が示されたもの」になります。
「環境・社会・経済の持続可能性に配慮することで、事業のサステナビリティ向上を図る経営」と言い表されるサステナビリティ経営の実現には、自社の存在意義や価値観を明らかにして、社会の中でどのような事業を進めていくのかを明らかにするためにパーパス経営が求められているといえるでしょう。
SDGs(持続可能な開発目標)とは?企業にとっての意味や目的を解説
ESG投資の広がり
ESG投資とは、企業の環境(Environment)や社会(Social)への取り組み、ガバナンス(Governance)など、ESGの要素を考慮して投資先を選ぶことを指します。
従来は投資家が企業に投資する際の価値を測る材料としては、主にキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報が使用されてきました。しかし、現代社会では温暖化・気候変動問題などの環境問題、サプライチェーンにおける労働問題・ダイバーシティなどの社会問題、汚職や情報漏洩・企業の不祥事など企業統治の問題などによって企業の持続可能性を毀損する可能性が指摘されており、ESG投資はこのような長期的なリスクを回避することができる投資方法として広がりを見せています。
企業に対しての投資判断をする際に、ESGの要素を考慮して投資先を選ぶことが行われています。その際にパーパス経営を取り入れ社会の中でどのような役割を果たし貢献しているかといった視点を持つことで、投資家の支持を得られやすくなっています。
ESGとは?意味やSDGsとの違い、企業がESGに対応する方法をご紹介
VUCA時代の到来
VUCAとは、物事の不確実性が高く、未来の予測が困難な状態を表わしており、社会やビジネスの世界においては目まぐるしく状況が変転し、将来を予測することが困難な状況を意味しています。
このようなVUCA時代を乗り越えていくためには、企業が目指すべき「パーパス」を掲げ、それを軸にして企業経営や事業運営を行っていくことで、不確実性が高い中でもすべての従業員が一貫した方針や指針をもち行動することができます。
VUCAとは、下記の4つの言葉を組み合わせたものです。
- Volatility:変動性
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性
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DXの浸透
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。あらゆる産業においてデジタル化の波が押し寄せ、これまでにない新しい製品やサービス・ビジネスモデルが生まれています。
DXに対応し新しい製品やサービス・ビジネスモデルを変革していくためには自社の存在意義や社会の中で果たすべき役割を見直す必要があります。そのためにはパーパスを明確化して経営を進めるパーパス経営が求められています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や重要性を解説
ミレニアル世代とZ世代の台頭
ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる世代の社会進出にしたがって、社会的価値のある仕事を求められたり、消費行動の変化などがおこっています。
ミレニアル世代やZ世代は、デジタルネイティブとも呼ばれるように、インターネット環境が整った環境下で育っており、さまざまな情報を得るとともに、多種多様な価値観に触れてきています。これらの影響により企業に対して経済的価値だけでなく、社会的な意義や社会貢献などの社会的価値を求めているとも言われています。
このような、社会的な意義や社会貢献などの社会的価値を求めているミレニアル世代やZ世代からの支持を得るためには、パーパスによって自社の存在意義や社会の中で果たすべき役割を明確にするパーパス経営が求められています。
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パーパス経営を実践するメリット
パーパス経営を実践することによって得られる3つのメリットについて紹介します。
- 従業員のエンゲージメントが向上する
- ステークホルダーからの支持を得られる
- イノベーションが生まれやすくなる
従業員エンゲージメントが向上する
パーパス経営のメリットとして、従業員エンゲージメントが向上することがあげられます。従業員エンゲージメントとは、「企業と従業員が信頼し合い、互いに貢献し合う概念」です。
パーパスによって、自社の存在意義を明確にすることで、企業と従業員が信頼し合い、互いに貢献し合うといったことがより理解しやすくなり従業員エンゲージメントが向上します。
ステークホルダーからの支持を得られる
パーパス経営のメリットには、ステークホルダーから支持を得られる点があげられます。 企業には顧客や従業員、株主・投資家といった、多くのステークホルダーが存在しています。
自社のパーパスを軸にした経営を行うことで共感を得られ、ステークホルダーからの支持を得られることにも繋がります。
イノベーションが生まれやすくなる
パーパス経営のメリットとして、イノベーションが生まれやすくなることもあげられます。
パーパスによって、自社の存在意義や目的を明確にすることで、従業員は同じ方向に向かって仕事を進めることになり一体感が高まります。そして多様な意見やアイデアを出し合える環境が出来上がります。それらの結果として、モノ、仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどあらゆる領域において、社会に大きな刷新、変革や新しい価値を生み出すイノベーションの創出につながる可能性が高まります。
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パーパス経営を実現する4つの手順
パーパス経営を実現する際の手順を、4つのステップに分けてご紹介します。
- ステークホルダーと自社の分析を行う
- 自社のパーパスを明文化し、社内に浸透させる
- 経営戦略や事業戦略に落とし込む
- 従業員の日々の業務に落とし込む
1.ステークホルダーと自社の分析を行う
自社のパーパスを考える際のファーストステップとして、自社がどのような環境や状況の中におかれているのかを分析します。自社が関わるステークホルダーを洗い出し、それぞれが関わる項目について分析を行います。その際には、マーケティングの分野で使われる分析のフレームワークを活用するのもお勧めです。
2.自社のパーパスを明文化し、社内に浸透させる
分析を行った後には、パーパスとして掲げる「言葉・文」を決め、明文化していきましょう。 パーパスを明文化するとともに、パーパスを決定した理由や背景についても説明することで、より共感を得られ浸透もしやすくなっていくでしょう。 「社会における何を問題と捉えているのか」「問題の根本的な原因は何なのか」を最初の段階で深掘りしておくと、自社がどのような社会貢献をしたいのかがより明確になります。
3.経営戦略や事業戦略に落とし込む
パーパスを決定し社内に対して周知するとともに、実際に経営活動や事業運営に落とし込むことが必須です。パーパスを軸として、中長期的なビジョンや数値目標など、あらゆる場面において価値観や判断基準を作り上げていきましょう。
4.従業員の日々の業務に落とし込む
作り上げてきたパーパスは、従業員の日常業務に落とし込まれます。従業員一人ひとりがパーパスを深く理解し、パーパスに基づいて仕事をすることが求められます。
まとめ<パーパス経営とは?意味や求められる背景、メリットと実践の手順を解説>
現代の企業経営においては利益を上げることだけでは評価されない状況であり、大規模災害、経済問題、環境問題などの社会課題の解決への取り組みが求められています。それに対応するための1つとして、パーパス経営が注目されています。パーパス経営がもたらすメリットには「従業員エンゲージメントの向上」「ステークホルダーからの支持を得られる」「イノベーションが生まれやすくなる」などのメリットがあるといわれています。
パーパス経営によるメリットは、自社を取り巻くステークホルダーの支持が得られることによって企業イメージの向上に繋がり、人材採用の際にも良い影響を与えることが考えられます。また、従業員エンゲージメントが高まることによって、企業は優秀な人材の離職を防ぐことができ組織力の強化といった人事採用部門の課題解決にも貢献するといえるでしょう。
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