
現代のビジネスシーンで働く人たちの多くは、急激な社会情勢の変化、グローバル化、DX化、人手不足や企業の状況によって、さまざまな困難や問題、ストレスフルな状況に遭遇しています。そのような状況の中、注目されているのがレジリエンスです。
レジリエンスとは、「回復力」「立ち直る力」「復活力」などを意味する言葉であり、困難な問題、危機、ストレスなどを乗り越えてすぐに立ち直ることを意味しています。
この記事では、レジリエンスの意味や因子、ビジネスパーソンに求められ理由や高めるポイントなどをわかりやすく解説します。
目次<レジリエンスとは?ビジネスパーソンに求められる意味や因子、高めるポイントを解説>
レジリエンスとは
レジリエンス(resilience)とは、回復力、立ち直る力、復活力などの意味を持つ言葉です。ビジネスの場面では、困難な問題、危機、ストレスなどを乗り越えてすぐに立ち直ることを表しています。
レジリエンスは、心理学の分野では困難やストレスを乗り越え立ち直る力である「精神的回復力」を表す言葉として用いられています。近年ではビジネスシーンにおいても精神的回復力を表わすレジリエンスが注目されています。
レジリエンスの定義・意味
レジリエンスは、元々は物理学の分野で「外から加えられた力によって変形した物質や物体が元の形に戻ろうとする性質」を表す用語として使われていました。近年では心理学の分野で困難やストレスを乗り越え立ち直る「精神的回復力」を表す言葉として使われています。
ビジネスシーンでは困難な問題、危機、ストレスを乗り越えてすぐに立ち直る人材は「レジリエントな人」などと呼ばれています。
レジリエンスがビジネスで注目される理由
日本の企業の多くは、急激な社会情勢の変化、また、グローバル化、DX化、成果主義、労働力不足といった労働環境の劇的な変化など様々な困難な問題やストレスフルな状況に遭遇しています。レジリエンスがビジネスで注目される理由は、前述の乗り越えなければならない困難な問題を解決しすぐに立ち直る必要があるからです。
レジリエンスを高めることは、ウェルビーイングの実現に重要な役割を果たすとも言われています。
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また、従業員の健康管理に配慮した「健康経営」の観点からも、メンタルヘルス対策の一環としてレジリエンスを高めることが注目される要因の一つになっています。
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レジリエンスの因子と尺度
レジリエンスの因子とその尺度については、さまざまな研究がなされています。
ここでは、レジリエンスの因子として良く知られている3種類の因子と1つの尺度をご紹介します。
- 危険因子と保護因子
- 精神的回復力の構成因子
- 資質的要因と獲得的要因
危険因子と保護因子
レジリエンスは、困難な問題やストレスなどを乗り越えてすぐに立ち直る力とお伝えしていますが、ここでは 人のストレスをひき起こすもとになる要素の「危険因子」と、それからの立ち直りを促す「保護因子」についてご紹介します。
危険因子
危険因子とは、困難な状況やストレスをもたらす原因となる出来事です。具体的には、戦争、災害、病気、貧困、離婚、虐待など多岐にわたると考えられています。
保護因子
保護因子とは、困難な状況やストレスを乗り越えることを促す要因のことです。具体的には、個人の性格や特性、考え方などの個人内因子、問題解決能力などの後天的な能力因子、対人関係、学校や地域、職場などの環境要因などが考えられています。
精神的回復力の構成因子
レジリエンスを導く個人内因子は「精神的回復力」といわれています。精神的回復力を構成する3つの因子をご紹介します。
新奇性追求
新たな物事や人などに興味を持つことや、常識や習慣にとらわれず前向きにチャレンジする姿勢や行動など
感情調整
自身の感情、特に喜怒哀楽のなかでも「怒」や「哀」といったマイナス感情をコントロールすること
肯定的な未来志向
未来に対して期待感をもつこと。前向きな未来を予想し、明確な目標やビジョンを持ち、具体的なプランを描くこと
資質的要因と獲得的要因
困難な問題やストレスなどを乗り越えてすぐに立ち直る力(レジリエンス)を促す要因には、持って生まれた要因と結びつきやすい「資質的レジリエンス要因」と、後天的に身につけやすい「獲得的レジリエンス要因」とがあるとされています。ここでは、その2つをご紹介します。
資質的レジリエンス要因(資質的要因)
「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」など、持って生まれた気質と関連が強い要因
獲得的レジリエンス要因(獲得的要因)
「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」など、発達の中で身につけやすい要因
レジリエンスを測定するおもな尺度
レジリエンスを測る尺度については、未だ研究が続けられているのが現状です。ここでは、これまでに公表されたレジリエンスを測る尺度の中でよく知られたものを4つご紹介します。
- レジリエンススケール(Resilience Scale)
- 森敏昭氏らのレジリエンス尺度
- 精神的回復力尺度(Adolescent Resilience Scale)
- 二次元レジリエンス要因尺度(Bidimensional Resilience Scale)
レジリエンスが高い人と低い人の特徴
ここまでレジリエンスの因子と尺度についてご紹介しましたが、ここではレジリエンスが高い人の特徴を中心にご紹介するとともに、レジリエンスが低いと考えられている人の特徴もご紹介します。
レジリエンスが高い人の特徴
レジリエンスが高い人は、困難な問題、危機、ストレスなどの逆境に遭遇してもうまくり越えて、すぐに立ち直ることができます。以下はレジリエンスが高いといわれる人が持っている代表的な特徴をご紹介します。
- 思考の柔軟性が高い
- 楽観的である
- 自尊感情が高い
- 感情のコントロールができる
- チャレンジ精神を持っている
- 周囲との協力関係を築ける
レジリエンスが低い人の特徴
レジリエンスが低い人は、困難な問題、ストレスなどの逆境に晒されたときそれを乗り越えることがうまくできず、元の状態に回復するまで時間がかかってしまいます。以下はレジリエンスが低いと思われる人が持っている代表的な特徴をご紹介します。
- 自己肯定感が低い
- 自己有用感が低い
- 主体性に欠ける
- 気持ちの切り替えが苦手
- 考え方の柔軟性に欠ける
レジリエンスを高めるポイント
レジリエンスは、個人と組織の両方にあてはまる概念です。ここでは個人と組織それぞれのレジリエンスを高めるポイントをご紹介します。
個人のレジリエンスを高めるポイント
個人のレジリエンスを高めるポイントとして、良く知られている項目をご紹介します。
- 自己効力感を高める
- ミッションやビジョンを浸透させる
- 自尊感情を高める
- 自分の思考の傾向を理解する
- ABCDE理論を活用する
組織のレジリエンスを高めるポイント
企業や組織のレジリエンスを高めるポイントとして、良く知られている項目をご紹介します。
- 失敗を恐れずチャレンジできる企業風土をつくる
- ミッションやビジョンを浸透させる
- 成功体験の経験と共有
- 社員が働きやすい職場環境を整える
- 社員のレジリエンスを高める取り組みを進める
まとめ<レジリエンスとは?ビジネスパーソンに求められる意味や因子、高めるポイントを解説>
企業やそこで働くビジネスパーソンは、社会情勢、グローバル化、DX化、ダイバーシティなどの劇的な変化などによって、困難な問題やストレスフルな状況に遭遇しています。事業の成長や業績向上を目指す企業と個人の両者に、それらを乗り越えてすぐに立ち直る力であるレジリエンス(精神的回復力)が求められています。
企業においてこのレジリエンスを理解して自社と従業員のレジリエンスを高めることは、自社の成長に欠かせない要因の1つです。特に人事部門においては、従業員のレジリエンスを高める取り組みやレジリエンスの高い人材を採用することは注力すべきポイントといえるでしょう。
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