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2024.11.13更新

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EVPの最先端事例とは?レッドブルが活用する人材獲得のための考え方【後編】

人材獲得競争がますます激しくなる中、採用マーケティングの核となる考え方として「EVP(Employee Value Proposition)」が注目されています。

一方で、日本ではまだまだ本格的に自社のEVPを設計し、採用マーケティングに取り組んでいる会社は少ないのではないでしょうか。

前編では、EVPのフレームワーク「WORCS」をご紹介しました。後半である今回は、実際のEVPの設計・活用方法、そして海外の最先端事例をご紹介します。

「EVP」とは

EVPとは、「Employee Value Proposition(エンプロイー・バリュー・プロポジション)」のことで、従業員価値提案という意味です。企業が従業員に提供できる価値を言語化するものになります。

候補者が企業に抱くブランドイメージである「Employee Branding(エンプロイー・ブランディング)」とは異なり、よりその会社で働く従業員の具体的なメリットが提示されているのがEVPです。社内の従業員に対して提供しているリアルな価値と、社外の候補者に対して発信する価値を一貫して設計していくことが重要なポイントになります。

EVPの設計方法

EVPは、社内の従業員と社外の候補者、双方に対して一貫したメッセージを伝えていくことが鍵となります。EVPの設計において、下記に記載する2つの項目からアプローチすることをおすすめします。

1.従業員が感じている魅力

従業員に対して「この会社で働く魅力をどこに感じているか」をヒアリングすることが第一です。アンケート調査や幹部メンバーを集めたディスカッション、個別メンバーへのヒアリングなど、さまざまな方法を用いるとよいでしょう。

リファラル採用で従業員が実際に友人におすすめしているポイントを集めることも、自社の本質的な魅力を知ることに役立ちます。

※当社のMyReferでは、従業員がリファラルでおすすめしている口コミを自動で蓄積、分析ができるので、EVP策定にも効果的です。

2.候補者から見た魅力

同様に、候補者に対しても、候補者観点で感じた自社の魅力をヒアリングしましょう。外部のリサーチ会社に委託して自社の採用におけるターゲットにアンケートを取ることも有効です。

上記を行うことによって、候補者側からすると魅力的なポイントなのに、実は従業員に対して価値を提供しきれていないなどといった事例も発見することができます。逆に、従業員が魅力的に思っているけれども候補者に伝わっていないことは、外部へのメッセージングを再検討する必要性が出てきます。

事例をきっかけとすることで、結果的に人事制度の設計や運用強化にもつなげることができます。このように、従業員が感じる魅力と候補者から見た魅力の両方をふまえて、会社のコアに結びつくEVPを設計していくことが重要です。

EVPをどのように活用するか 

自社で設計したEVPはどのように活用すればよいのでしょうか。活用方法は、社内の従業員向けのエンゲージメント施策と、社外向けの採用施策に分かれます。

社内の従業員に向けたエンゲージメント施策

「EVP(Employee Value Proposition)」は、基本的には社外に向けて発信するものと捉えられていますが、実は社内のエンゲージメント施策にも効果があります。EVPを設計する取り組みを通じて、自社が従業員に提供すべき新たな価値が見つかるため、新たな人事制度を設計するきっかけにもなります。

また、そのように新しい人事制度ができたら外部に公開するのみでなく、それぞれの要素の活用事例を社内報で取り上げましょう。従業員に新たな価値を提供でき、結果的に従業員エンゲージメント向上にもつながることが期待されます。

社外の採用候補者に向けた採用施策

採用に関しては、応募を集める段階と、選考過程の段階でEVPを活用します。

応募を集める段階では、全ての求人広告をEVPの内容に揃えることが大事です。人材紹介会社にも、「EVP Book」のように情報をまとめ、自社の魅力を伝えていくことも有効です。自社の採用サイトにも求職者が訪れる可能性が高いので、EVPが伝えられるように設計し、入口の一貫性を保つことが求められます。会社概要と人事制度のみではなく、事業や人・文化、報酬、キャリア、働く環境の魅力の整理を行うことが理想といえるでしょう。

選考過程では、候補者の職種や志向にあわせて魅力付けすることが重要です。キャリアや転職理由から、この候補者は特にこの項目に対して思いやニーズが強いということが分かってくると思います。例えば、働き方の中でも女性の活躍を気にしていたら、女性の管理職の割合や柔軟に働いている人の事例をお伝えする。若手から裁量を持ちたいと強く思っている人には、入社後3年目で部長になった人のキャリアを伝える。そのように、候補者にあわせてEVPを具体的な数字やエピソードで語ることが鍵になります。

海外では先行してEVPが活用されている 

まだまだ日本企業ではEVPを設計して活用している事例は多くありません。一方で、海外では、2013年頃から「Recruiting is Marketing」という言葉が唱えられ、採用マーケティングの盛り上がりとともにEVPを設計するようになっています。

海外では日本よりも生涯平均転職回数が多く、候補者が転職で求めるニーズもより多様化しているからこそ、企業はEVPを設計して伝えていくことが採用競合に勝つために重要になっているのです。海外で使われているEVPのフレームワークも、基本的な要素は「WORCS」と共通しています。

EVPを活用している海外企業事例 

ここまででEVPの活用方法をお伝えしてきましたが、実際の活用事例として先行して進んでいるレッドブルの企業事例をお話します。

レッドブルは、ブランドポジションとEVPを定めて採用に注力しています。「つながり」「創造性」「意欲」「思考」という4つの重要な要素を洗い出して、それらが自分たちのターゲットとなる候補者に届くように設計しています。

「カラフルに塗られたオフィスで無料のランチやビーンバッグを楽しんでいる笑顔の従業員のビデオはありません。代わりに、私たちが多くの製品やプロジェクトを通じて生み出すものの品質とプロ意識によって私たちを判断してください。」

レッドブル採用ページより引用

これはレッドブルのキャリア Web サイトからの引用です。多くの企業が実施しているような従業員インタビューの動画は掲載していません。製品やプロジェクトの品質に絞ってストーリーを組み立てて、自分たちはエナジードリンクではなく体験を売っているのだと伝えているのです。このように、パーパスに紐づけて一貫性のあるEVPを設計して伝えることが、強い採用ブランディングにつながっています。

日本企業の採用のこれから

海外企業での事例をご紹介しましたが、今後は日本企業でも採用マーケティングやEVPの設計の重要性がより増していくことでしょう。

人的資本経営の必要性が叫ばれる中で、人材獲得力が企業価値に直結していく社会に突入しつつあります。国内の労働力が減少する中でもGDPを維持しようと、人材の獲得競争がより激しくなることが予想されます。その中で、求職者を獲得し続けていくためには、もっと知恵を絞ってオリジナルな魅力を伝えていく必要が出てきます。

求職者にあわせてオリジナルな魅力を伝える手段として、自社のブランドコアから魅力を棚卸ししてEVPを設計することが求められるのです。自社と一貫性のあるEVPを活用することで、多様な求職者に魅力を伝えていく事例が増えていくでしょう。

採用マーケティングは、EVP設計からはじめる         

今回は、人材獲得競争がますます激しくなる中で採用マーケティングの核となる考え方として「EVP(Employee Value Proposition)」についてご紹介しました。

EVPのフレームワーク「WORCS」をもとに、日本の会社の中でもいち早くEVPの設計に手をつけてみてはいかがでしょうか。人材の獲得と流出防止のみでなく、企業価値の向上に寄与する重要な指針となるでしょう。

また、下記資料では、EVPのフレームワーク「WORCS」や、具体的な企業事例をピックアップし、EVP策定事例を紹介しています。

TalentXではEVPフレームワーク”WORCS”に基づき、EVPの策定からコンテンツ制作までを支援しています。

社員・潜在求職者の双方が認識している魅力のギャップを洗い出し、企業のオリジナルの魅力づくりを伴走させていただきます。EVPの魅力はわかるが、やり方がわからない、ノウハウやリソースが割けないという方は是非お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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