2025.12.03更新

「累計960名」の決定を生んだデニーズが語るリファラル採用×採用ブランディング―ファンを増やす採用で実現する、理念共感型の組織づくり

ファミリーレストラン「デニーズ」を展開する株式会社デニーズジャパン様（以下、「デニーズ」）。同社は、ビジョン実現の軸として「働きやすく、働きがいを持って働ける環境を」を掲げ、働く人たちのエンゲージメント向上を重要課題と位置づけています。

外食産業は、特にアルバイト・パートといった店舗スタッフの採用と定着が組織力の要となります。人材確保の競争が激化する中で、同社が着目したのは、従業員の「デニーズ愛」を活かすリファラル採用と採用ブランディングです。これらを、企業の文化形成とエンゲージメント向上を両立させる戦略的施策として位置づけ、注力しています。

今回は、人事部の安藤正則氏、デニーズ第4ゾーンマネジャー（営業部）の尾上貴昭氏に、「MyRefer」「MyBrand」を活用した具体的な組織変革について伺いました。

株式会社デニーズジャパン

・従業員　　：11,100名（正社員733名、パート社員10,367名）※2025年2月末時点
・事業内容　：レストラン事業、コントラクトフード事業、外販事業
・取材対象者：人事部採用・教育安藤正則氏
　　　　　　デニーズ営業部第4ゾーンマネジャー尾上貴昭氏

ビジョン実現の鍵は「エンゲージメント向上」―未来に繋ぐデニーズの人材戦略

貴社の人材戦略を教えてください。

安藤氏：
人材戦略の軸は、当社のビジョンの一つである「働きやすく、働きがいを持って働ける環境を」の実現です。単に採用して労働力の不足を補うだけではなく、育成と連動させることで、従業員のエンゲージメントを向上させていくことを重視しています。これが未来に繋がる人材戦略の土台となっています。

貴社の採用計画、求める人材像について教えてください。

安藤氏：
アルバイトは年間で約6,000名、正社員は新卒・中途・社内登用を合わせて約50名の採用を計画しています。

求める人材像は、当社の理念に共感し、体現できる人材です。当社では理念教育に力を入れており、理念を日々の行動に落とし込むため、クレドカードと呼ばれる行動指針が記載されたカードを全従業員が持ち、常に理念の実現を意識した行動につなげられるよう、全社で取り組んでいます。

リファラルを通して企業文化にマッチした人材獲得が事業成長につながる

人的資本経営の観点から、リファラル採用をどのように位置づけていますか？

安藤氏：
人的資本経営の観点において、ただ必要な人数を揃えることを繰り返す採用には未来がないと考えています。特に、接客や調理における高いクオリティを維持・向上させていくには、通常の採用・教育だけでは不十分です。

リファラル採用によって、入社時からデニーズについて一定の理解がある。つまり、当社の企業文化にマッチした人材の比率が増えることは、調理やサービスのクオリティを維持し、さらに事業成長させていく上で非常に有効な手法と捉えています。リファラルの比率が安定的に採用全体の2～3割を占めることができれば、企業としてより強い組織になると考えています。

教育を通して会社から理念への共感を促すことは重要ですが、リファラルを通して理念に共感した人が自然に集まってくる状態が最も理想だと考えています。

リファラル採用を強化した背景について教えてください。

安藤氏：
リファラル採用強化に至った背景には、大きく2つの課題がありました。

1点目は、従来の採用手法におけるコストと定着の課題です。単に広告媒体への投資を増やすだけでは期待通りに充足しないこともあり、たとえ採用できたとしても早期に退職してしまうことが起こっていました。

2点目は、紹介制度を十分に活用しきれていなかったことです。ありがたいことに、「デニーズ愛」を持った従業員は多くいますが、幅広く業務を担う店長が紹介採用に注力する余力がなく、このポテンシャルを活かせていませんでした。

このような状況の中、「デニーズ愛」のある従業員が多くいるという当社の強みを採用に活かしたいという思いと、仕組み化における簡易性、従業員に直接情報を発信することで「ファン化」を進めるツールとなり得ると感じ、「MyRefer」の導入を決めました。
リファラル採用は、お店と従業員、そしてその先のお客様の皆が幸せになる採用手法だと考えているので今後も強化/促進していきたいと思っています。

”デニーズ愛”が生んだ累計960名決定と正社員定着率100%

「MyRefer」を活用したリファラルを通じて、どのような成果や組織変化を実感されていますか。

尾上氏：
元々あった紹介制度が「MyRefer」によって仕組み化されたことで、活動成果が明確に見えるようになりました。リファラルで累計960名の決定が生まれており、人員充足率の向上に繋がっています。

組織変化としては、効果が出るまではやや抵抗感もあったのですが、活動状況を発信していくことと、実際に身近で多くのリファラル採用が発生することにより、全体的にリファラル採用に対する捉え方がポジティブに変わりました。

また、責任者クラスのアルバイトの方向けにオンライン説明会を実施したことで、登録や紹介の動きが促進されました。店長からよりもできるだけ近い立場の人（アルバイト）からの案内の方が「登録してみようかな」といった気持ちになりやすいという傾向が分かりました。

安藤氏：
2024年度以降リファラル採用で入社された正社員の定着率は100％です。同じくアルバイトについても、通常の採用に比べて早期離職率が7割低いという成果が出ています。

また、「MyRefer」では社内ニュースに対する開封率やシェア数をデータで確認することができます。”実はこのコンテンツの開封率が良い”などのリアルな反応から、「どのような情報を訴求すべきか」といった狙いを採用戦略に活かせるようになったことも大きな成果だと感じています。

「MyBrand」導入以前の課題と、課題解決のために「MyBrand」が魅力的だった点を教えてください。

安藤氏：
「MyBrand」導入前の採用サイトは、新卒・アルバイトごとなどで分かれ、世界観や情報が複雑化しているという課題がありました。どの働き方においても「理念共感」という軸は一貫しており、一つのサイトで世界観を統一したいという思いがありました。

また、従来のホームページ制作にはコストと時間がかかることに加え、情報のアップデートにも都度コストと工数が発生するという課題も感じていました。

これらの課題を解決する点で、「MyBrand」はノーコードで操作が簡単かつ、一度サイトを公開してからも情報の鮮度を高く保てるという点に魅力を感じました。
特に、構成を自由に操作できるなど、将来的な採用環境の変化にもすぐに対応できる「生きた採用サイト」が魅力的でした。

▼「MyBrand」で制作したデニーズ様の採用サイト
https://dennys.brandmedia.i-myrefer.jp/

また、「MyRefer」と連携して、従業員が紹介者向けに投稿した自社の口コミを表示できるので、社員が感じる当社の魅力をサイト上で見ていただくことができます。そして、担当者が並走してくれる体制も大きな決め手となりました。導入前に社名変更が決まっていたため、スムーズに移行できるといった柔軟性も導入の後押しとなりました。

▼デニーズ様採用サイトの社員口コミページ
https://dennys.brandmedia.i-myrefer.jp/comment

今後、「MyBrand」を活用してどのような採用上のゴールを目指していきたいとお考えですか？

安藤氏：
採用サイトを通じたブランディングで「理念に共感している集団」の実現を目指していきたいです。

単なる不足人員補充ではなく、採用の質を高め、結果的に従業員のエンゲージメントを向上させたいと考えています。エンゲージメントが上がれば、彼らがデニーズの良さを社外でも語り、そこからお客様として来店いただくことにも繋がっていく好循環を確立できると考えています。

「MyBrand」は、この好循環の入口となる「理念共感」を促すための、効果的なブランド訴求の場だと位置づけています。

今後、「MyRefer」や「MyBrand」の活用を通じて、貴社の会社づくりや組織風土にどのような変化が起こることを期待していますか？

尾上氏：
デニーズの「良いところ」をより知ってもらうために、従業員の口コミや採用サイトを介して、ブランドの魅力を広く伝えていきたいと考えています。

特に私の管轄している店舗では、リファラルを通じて、地域に根差した優秀な社員を採用・育成し、地域採用の強化に繋げることを期待しています。現状、店長の約半分がアルバイト経験者であるように、デニーズで働いている人が自社の「ファン」となり、長く活躍し続けられるような組織を目指したいと考えています。

安藤氏：
両ツールを通じて、「デニーズ愛」に基づく組織風土の強化を目指しています。リファラル採用で入社した人は理念共感が比較的高い状態で集まってくれています。
各店舗でエンゲージメントの高いデニーズが大好きな人が増えていけば、「デニーズらしい」風土が維持され、企業文化が醸成されていくと信じています。