
「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により社会の期待を超える価値を創造し持続可能な未来づくりに貢献する」を経営理念に掲げ、総合建設業を展開する清水建設株式会社(以下、清水建設)様。
長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」の実現に向け、「事業構造のイノベーション」「技術のイノベーション」「人財のイノベーション」の融合により、新たな価値を創造するスマートイノベーションカンパニーを目指しています。
その一環として、専門職人財など経験者採用の強化を目的に採用手法の多様化を図るべく、本格的にリファラル採用をスタートしました。今回は、この取り組みの背景や、「MyRefer」を3拠点から段階的に全社展開した理由、今後の展望について人事部 採用グループ 馬目 遼氏に伺いました。

清水建設株式会社
・従業員 :連結 21,286名、単独 11,163名(2025年3月31日現在)
・事業 :建築・土木等建設工事の請負事業を展開
・取材対象者 :人事部 採用グループ 馬目 遼氏
事業環境や採用ニーズの変化に対応し、採用手法を多様化する清水建設

まず、貴社の事業内容や特長を教えてください。
馬目氏:
清水建設は、建設、不動産開発、エンジニアリング、グリーンエネルギー開発、建物ライフサイクル、フロンティアの6つを主な事業としています。また、海外展開も強化しており、進出国に根差した持続的かつ安定的な事業展開で、収益力強化を図っています。
また、当社は大手5社の中でも唯一全都道府県に拠点を持つという特長があります。これは地域に根差し、お客様に寄り添った「ものづくり」を大切にする企業文化の表れです。
次に、人財戦略の概要と、キャリア採用の施策をお伺いできますか。
馬目氏:
当社では、「人財と組織力の成長」を最重要課題の一つに挙げており、経営戦略との連動や人財育成・教育に関する活動を展開しています。
具体的には、長期ビジョンである多様な人財が活躍する職場の実現に向け、人事制度の刷新や採用変革にも取り組んでいます。2025年4月より、キャリア採用の強化を目的に採用手法の多様化を図るため、リファラル採用制度およびアルムナイ採用制度を新設しました。
採用ハードルの高い専門職の安定獲得を実現するため、リファラル採用を本格化
これまで取り組んできた採用手法を教えてください。
馬目氏:
当社では、人材紹介や派遣社員の正社員登用、スカウト、リファラルなど、一般的に活用されている採用手法は一通り取り入れており、それぞれの特性に応じて使い分けてきました。実際には、採用の大半を人材紹介と派遣社員の正社員登用が占めているのが現状であり、即戦力となる人財を確保するという意味では一定の成果がある反面、依存度が高まってしまうリスクも感じています。
事業の性質や採用タイミングによって、最も効果的な手法は異なりますので、単に同じ手法を続けるのではなく、状況に応じて柔軟にバランスよく最適な手法を選定することが、これからの採用活動には求められると考えています。
いろいろな採用手法を取り組まれる中で感じていた課題を教えてください。
馬目氏:
今回のリファラル採用制度の新設にもつながるのですが、従来の採用活動ではどうしても転職市場で既に活動している人財に限ったアプローチしかできませんでした。その結果、激しい獲得競争を勝ち抜く必要があり、他社と差別化できる要素を十分に伝えきれないまま、縁が切れてしまうケースが多数ありました。
今回、リファラル採用制度を新設された背景を教えてください。
馬目氏:
当社はスーパーゼネコンということもあり、一定の認知度はありますが、業界全体で人手不足が叫ばれており、特に専門職人財は母集団形成が難しく、業界内のつながりを活かしたリファラル採用の重要性が高まっていました。
既に転職市場で活動している人財は各社がアプローチをかけていますが、一方で社員の友人であれば、まだ転職潜在層のうちから当社を紹介することが可能であり、また具体的な働き方・キャリアイメージを直接的に伝えることができます。これらの背景から、新たな採用手法として期待ができるリファラル採用を制度化する意義があると判断しました。
社員の目が最初に介在しているので、ある程度の質が担保できる、かつ入社確度の高い方が選考を受けてくれる点には期待しています。
全社員が採用の担い手となり、清水建設の未来を創る

リファラル採用の本格化に伴い、「MyRefer」を全社展開した理由をお伺いできますか。
馬目氏:
これまで3つの拠点で「MyRefer」を先行導入しておりました。特に母数の少ない専門職人財の採用や、応募数や入社者数においても一定の成果が確認できていました。また、「MyRefer」は採用制度の設計から社内での周知方法、効果的な広報活動まで、リファラル採用に必要なすべてのプロセスをサポートする体制が整っていることから全社展開を決定しました。
リファラル採用を本格的に推進していくうえで、「リファラル」というものを、より認知・浸透させるという観点からも、全社的に活用できる「MyRefer」の導入には期待感を持っています。
今後リファラル採用に期待されていることについてお聞かせください。
馬目氏:
リファラル採用では、まだ転職市場に出ていない潜在層との接点が生まれる点に大きな可能性を感じています。たとえば、当社社員が「清水建設でリファラル採用をやっているよ」と声をかけることで、転職をなんとなく考えていた方の背中を押すこともできます。
そうした自然な紹介が積み重なることで、採用を「人事の仕事」として限定するのではなく、社員全員が担い手となるスタイルに変えていきたいと考えています。全社展開を機に、単なる採用数の増加にとどまらず、社員一人ひとりが採用を「自分ごと」として捉えられるような文化の定着を目指しています。
友人・知人を紹介するにあたり、社員にはどんな魅力を伝えて欲しいですか?
馬目氏:
技術職・管理系スタッフ問わず、会社としてシンボリックな建築構造物に関われること、それに付随してやりがいが大きく、多様な規模・工種の現場を通じて、職種間のつながりや先端技術に触れることができるのは清水建設の魅力としては大きいと思います。
またキャリア採用者は毎月入社しており、定期的にキャリア向けの入社式を催すなど、全社的に受け入れ環境が整備されておりますので、安心して働きはじめることができる点は伝えてほしいですね。
人事側からも社内で採用成功事例を発信しながら、紹介しやすい環境づくりを進めていきたいです。
最後に、社員の皆さまへメッセージをお願いします。
馬目氏:
清水建設は、全社員が「採用の担い手」として、自らのネットワークを通じて清水建設にふさわしい人財を迎え入れる文化の醸成を目指しています。
本業で貢献いただくのはもちろん、企業活動の中で欠かせないリソースである「人財」の採用という角度からも今後の会社の発展や存続に貢献できる点を意識いただけると嬉しいです。
皆さんの日々の業務の中で欲しい人財が浮かび上がったとき、「MyRefer」の求人情報を活用して、これまでのつながりの中で出会った「この人なら清水建設で活躍できる」と思える方を、ぜひ積極的にご紹介ください。
編集後記
「MyRefer」の全社展開で、全社員が「採用の担い手」として活動できる環境構築を目指す清水建設様。
求められる専門職人財を獲得するため、元々のつながりを活かした「リファラル採用」の本格化で、各社員の”つながり” を財産に、強い組織を作り上げていこうという想いが伝わってくるインタビューでした。
リファラル採用・アルムナイ制度・タレントプール構築といった、新しい時代に即した採用手法を検討されている方や、潜在層へのアプローチに課題を感じている採用ご担当者様は、ぜひ一度TalentXにご相談ください。業界特性を踏まえた導入・定着の支援をご提案いたします!