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2025.12.09更新

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【2025年版】採用活動と経営戦略の連動に関する実態調査レポート

本調査レポートは、日本企業における「採用活動と経営戦略の連動」の実態を明らかにし、その取組状況や効果、直面している課題を解明することを目的として作成したものとなります。

目次|採用活動と経営戦略の連動に関する実態調査レポート【2025年版】

  • 調査背景
  • 採用活動と経営戦略の連動に関する実態調査
  • 求められる採用マーケティング型の組織とは
  • まとめ

調査背景

近年、人的資本に関する開示が段階的に進むなかで、企業には「人材に関する取り組みをどのように経営戦略と結びつけて説明できるか」が問われるようになっています。2026年以降は、人的資本の開示領域がさらに広がる見通しで、採用・育成・配置といった人材に関する意思決定も、これまで以上に“経営レベルの整合性”が求められるようになるでしょう。こうした背景から、採用活動の位置づけにも変化が生まれています。

たとえば、これまでは「労働力の確保」を目的とした採用が中心でしたが、今後は 事業成長に寄与する人材をいかに獲得し、戦略的に配置できるかが重視されるようになります。採用KPIの考え方や体制設計、データ活用の範囲など、採用の在り方そのものが転換期を迎えているとも言えます。

この図が示す通り、採用活動は管理部門の業務から、事業成果に貢献する“戦略的な役割”へとシフトしつつあります。採用手法の多様化に加えて、候補者認知・入社後のデータ活用まで含めた一貫した管理が求められるなど、採用と経営を結びつける動きは今後さらに強まっていくと考えられます。

採用活動と経営戦略の連動に関する実態調査

調査概要

調査期間2025年9月18日~9月19日
調査対象調査対象 従業員数500人以上の会社で働く中途採用に関わる人事担当者
有効回答数219名
調査方法インターネット調査
調査主体株式会社TalentX

本調査は、日本企業の「採用活動と経営戦略の連動」の実態を把握し、その取組状況や効果、直面している課題を明らかにすることを目的としています。
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります

経営と採用の間に残る「戦略の断層」

1年前と比べて採用活動における経営陣の危機感は高まっていると感じますか

この1年で自社の採用活動の危機感が高まった経営陣は約8割。採用は経営における重要アジェンダとなっていることがわかりました。

お勤め先の採用計画は、事業計画から逆算した必要人材・人数に基づいて立案されていますか

「常に事業計画から逆算した採用計画」を立案している企業は34.7%。経営・事業計画と連動した採用活動推進は道半ばであることがわかりました。

お勤め先の採用計画は、「長期的な人材構成の形成(ポートフォリオ形成)」を考慮して、採用計画を組んでいますか

人材ポートフォリオを常に考慮し採用計画を立てている企業は37.4%。経営・事業計画に基づいた採用計画も部分的実施に留まっていることがわかりました。
※人材ポートフォリオ:短期充足ではなく、中長期で必要人材のバランスを設計する考え方

採用の“量”から“質”へ — その転換にはデータ活用の強化が不可欠

以下の数値を採用活動の目標に取り入れてますか

採用KPIは多くの企業が採用人数、内定数に偏り、その他中間指標に関しては、活動の検証・改善に活かされていないことがわかりました。

以下の指標を定期的に採用戦略や採用要件、選考プロセスなどの改善に活かしていますか

入社後の定着率や評価を活用し採用要件の定期改善に活かす企業は半数以下。どんな人材が価値を生むかの検証サイクルが不十分であることがわかりました。
※本設問の分母は以下の指標を計測していると回答した人数

戦略的な採用を推進するツールや人材の強化

採用活動においてAIやテクノロジーを活用したツールは重要だと感じますか

AIやテクノロジーを活用し、データ収集や分析を後押しするツールの重要性を約9割の採用担当者が感じているということがわかりました。

今後採用マーケティングの知識・スキルを持つ人材確保を強化する必要があると感じていますか

経営と採用をつなぐ採用マーケティング人材のニーズは約9割。データ・ブランド・CRMを横断できる人材確保が急務であるということがわかりました。

求められる採用マーケティング組織

欧米の企業では、採用活動を「候補者の認知から定着までを一貫して設計する取り組み」と捉え、マーケティング思考とテクノロジーを組み合わせた採用組織が広がっています。採用チャネルが多様化し、候補者の行動が複雑になる中で、一つの部門や担当者だけでは効果的なアプローチが難しくなっているためです。その中心的な役割を担うのが 採用マーケター です。採用マーケターは、候補者との最適な接点づくりや情報設計を担い、採用プロセス全体を“候補者視点”で捉えながら、認知から興味喚起までの上流プロセスを戦略的に設計します。さらに、こうした役割を含めた採用活動を分業化し、それぞれの専門領域に合わせて最適なアクションを行う体制が整備されています。また、その分業を支える基盤として、候補者情報を一元管理するプラットフォームを活用し、認知・興味・応募・選考・定着といったプロセス全体をデータに基づいて改善していく仕組みが特徴です。

このような採用マーケティング型の組織が一般化している背景には、「採用を事業成長に直結する戦略活動として扱う」という明確な認識があります。日本でも採用難が続く中、これらの考え方を取り入れ、採用マーケターをはじめとした役割分担とデータ基盤の整備を進めることが、採用の質を高めるうえで重要になるといえるでしょう。

▼「採用マーケター」の役割やスキルを整理した資料
https://i-myrefer.jp/corp/download/327/input

まとめ

今回の調査から、採用活動と経営戦略の連動にはまだ大きな改善余地があることが明らかになりました。採用活動を事業成長に結びつけるためには、単に必要人数を充足するだけでなく、どのような人材が組織に価値をもたらすのかを見極め、その判断基盤となるデータを適切に活用していくことが求められます。

また、採用チャネルの多様化や候補者行動の変化が進む中では、従来の体制だけでは高度化する採用活動に十分対応できないケースも増えています。採用マーケターをはじめとした役割分担や、プラットフォームによるデータ連携など、欧米で進む採用マーケティング型の考え方は、日本企業にとっても参考になる点が多いといえるでしょう。

採用難が続く環境下では、採用活動を「経営戦略の一部」として再定義し、

  • 経営との連携強化
  • データに基づく改善サイクルの構築
  • 採用マーケティングを支える体制整備

といった取り組みを進めることが、採用の質を高める鍵になります。自社の現状を振り返りながら、今回の調査結果を今後の採用戦略の検討に役立てていただければ幸いです。

※本調査の全文は下記からダウンロード可能です。

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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