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2024.04.11更新

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終身雇用とは?成果主義との違い、メリット・デメリットを解説

終身雇用とは

近年では、日本企業において定着していた終身雇用制度は大きな転換期を迎えていると考えられています。

終身雇用とは、企業が社員を新卒入社から定年退職まで雇用し続けることを意味しています。終身雇用は、多くの日本企業で制度化され、終身雇用制度として定着してきました。

この記事では、終身雇用が始まった目的や、終身雇用制度としての定着と変遷、成果主義との違いについてわかりやすく解説していきます。さらに終身雇用のメリットとデメリットについて、企業側と従業員側それぞれを整理し、終身雇用制度の今後について考えていきます。

また、日本の終身雇用制度がなぜ崩壊したと言われているのか、その理由についても解説していきます。

目次< 終身雇用とは?成果主義との違い、メリット・デメリットを解説>

  • 終身雇用とは
  • 終身雇用の目的
  • 終身雇用と成果主義
  • 終身雇用制度の変遷
  • 終身雇用の現状
  • 終身雇用が崩壊したといわれる理由
  • 終身雇用企業側のメリット
  • 終身雇用企業側のデメリット
  • 終身雇用従業員側のメリット
  • 終身雇用従業員側のデメリット
  • 終身雇用の今後を考える

終身雇用とは

終身雇用とは、企業が採用した正規雇用従業員を定年まで雇用し続ける人事制度のことです。

終身雇用制度では、大学や専門学校、高校などを卒業した求職者を新卒で正規社員として採用し、倒産などの特別な事由が無い限り定年まで雇用し続けることが一般的です。従業員側からみると、新卒で入社してから定年退職するまで、一つの会社に勤め続けることを意味します。

日本と海外の雇用形態の比較

終身雇用は法律や制度として定められているものではなく、日本特有の慣行(ならわし)として長く続いてきました。一方、海外では労働者はよりよい待遇を求めて転職していくのが一般的であり、企業の業績などによって、従業員が解雇されることも珍しいことではありません。

終身雇用の目的

終身雇用は、企業が人材を獲得する目的で始まったとされています。
企業は従業員に長く働いてもらうことで、中長期的に人材を育成できるメリットがあり、経営理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)など自社の考えに沿った従業員を時間をかけて育成することが可能です。

企業にとっては終身雇用を通じて安定した事業運営・経営基盤を構築することが可能になるため、さまざまな企業で終身雇用制度の導入が始まりました。

終身雇用と成果主義

終身雇用とは相反する考え方に「成果主義」があります。成果主義は在籍年数や年齢は問わず、従業員の成果や成績、実力に応じて評価・待遇を決定する方法です。
海外ではこのような成果主義が一般的であり、日本が昔から進めてきた「終身雇用」や「年功序列」とは相反する方法だといえるでしょう。

終身雇用制度の変遷

多くの日本企業で終身雇用は制度化され定着してきました。この終身雇用制度は、いつどのように生まれていったのか、終身雇用制度の変遷についてご紹介します。

変遷①:終身雇用制度の誕生

終身雇用制度が生まれたのは、大正時代末期から昭和の初期のことです。それまでは、日本でも転職や解雇が頻繁に行われていました。そこで企業は、優秀な人材を長くとどめておくため、退職金を設けたり、勤続年数に応じて待遇をよくしたりと年功序列を重視する人事制度を作っていきました。その結果、従業員が長く雇用され続ける、いわゆる「終身雇用」のスタイルが広まっていったのです。

変遷②:職場の固定化

戦時中は、男性が徴兵されたため人手不足が進み、国が労働統制を敷くこととなりました。また、転職や解雇が禁止されるなどして、固定された職場で働くスタイルが定着していったのです。企業は労働者の生活を守り、従業員は企業のために働くという考えも、「終身雇用」として人々の間に根付いていったと考えられています。

変遷③:高度経済成長期に終身雇用が一般化

貧困に苦しむ人々が多かった戦後から、日本経済が大きく復興していったのが、高度経済成長期といわれる時代です。企業が業績を伸ばしていくなか、従業員を定年まで雇用し続ける終身雇用制度も一般化していきました。

終身雇用の現状

終身雇用制度は長らく日本企業で当たり前の雇用方法として定着してきました。しかし、現在は終身雇用制度に対する考え方は変わりつつあります。ここでは、終身雇用制度の現在の状況について解説していきます。

終身雇用に対する世間の声

現在の日本においては、自分にとってより働きやすく、待遇のよい企業を求めて転職していく考えは、多くの人々の間で広まってきています。また企業の人事側も同様に、終身雇用ではなく実績や結果を重視した成果主義にシフトしつつあります。

終身雇用は必要ない?

一方で2019年の労働政策研究・研修機構による「第7回勤労生活に関する調査」によると、全国の男女4,000人のうち終身雇用を支持した人は87.9%。1999年の調査以来、過去最高を記録しています。特に20~30代の若い世代で終身雇用を支持する割合が高く、不安定な経済状況から、雇用が保証される終身雇用制度を求める声も上がってきています。

出典:第7回勤労生活に関する調査(労働政策研究・研修機構)

終身雇用が崩壊したといわれる理由

終身雇用を求める人々がいる一方で、近年では「終身雇用は崩壊した」と言われています。終身雇用制度がなぜ崩壊したといわれているのか、その理由についてわかりやすく解説します。

終身雇用崩壊の理由①:日本経済の低迷

終身雇用制度が定着したのは、日本経済が右肩上がりで成長していった高度経済成長期の時代です。この時期は、多くの企業が業績を伸ばしていきました。しかし現在、日本経済の成長は長く鈍化しています。
終身雇用は従業員を長く雇用する性質上、企業にとって人件費の負担が大きい制度であり、経済の低迷や企業の業績次第では長期雇用が難しくなっており、徐々に終身雇用が崩壊していると考えられています。

終身雇用崩壊の理由②:IT化で従業員に求めるスキルが変化

終身雇用では、長期にわたる人材育成が大きなメリットをもたらしていました。しかしIT化が進み、さまざまな作業がITの技術によって代替されたり、時代によって企業に求められるスキルの変化が激しくなってきました。
このような背景から長期雇用による人材育成のメリットが小さくなり終身雇用を撤廃するような企業が増えてきました。

終身雇用崩壊の理由③:「成果を重視する」という考えの変化

終身雇用では年功序列の考えが基本にあり、給料などの待遇は勤続年数や年齢によって変わりますが、成果主義などの成果や成績、実力で評価・待遇が決まるモデルが一般化してきています。従業員や企業の人事担当者、求職者などさまざまなステークホルダーが終身雇用や年功序列から成果主義の考えへと変化しています。

終身雇用企業側のメリット

終身雇用では、企業側にどのようなメリットが生まれるでしょうか。
ここでは、終身雇用の企業側のメリットとして下記の2つについてご紹介します。

  • 採用工数の削減
  • 長期の人材育成

企業側のメリット①:採用工数の削減

企業側のメリット1つ目は、終身雇用を前提とした採用を行うことによる、採用工数の削減です。
終身雇用制度により退職を一定抑えることができ、かつ終身雇用とよくセットで考えられている新卒一括採用を取り入れることで、同時期にまとめて選考を進めることができ、企業側の採用に関わる人件費を安く抑えられることが期待できます。

企業側のメリット②:長期の人材育成

企業側のメリット2つ目は、終身雇用によって長期の人材育成が可能になることです。
定年まで働くことを前提とした終身雇用制度の中では、従業員に長く勤めてもらえることで、業界や自社の事業に関するノウハウが蓄積され、安定して育成・戦力化していくことが可能です。
また、経営理念やカルチャーなど、スキル以外の面でも長い時間をかけてフィットさせることができるので、自社の理解が深く帰属意識が高いメンバーを多く育てることも可能です。

終身雇用企業側のデメリット

終身雇用では、企業側にどのようなデメリットが生まれることがあるでしょうか?終身雇用制度を運用することで起きうるデメリットについて解説します。

  • 人件費の高騰
  • 多様な人材を確保しにくい

企業側のデメリット①:人件費の高騰

企業側のデメリット1つ目は、終身雇用による人件費の高騰です。
終身雇用は一般的に年功序列とセットで運用されることが多く、従業員の勤続年数や年齢に応じて給与や賞与など待遇を上げていかなければなりません。
そのため、平均年齢が高くなった企業では実力や成果に関わらず高い給与を支払う必要があり、人件費が高騰しやすいといえるでしょう。

また、終身雇用制度の中では、生産性が低く、意欲がない従業員も雇用し続ける必要があり、人件費が高い人材を雇い続けなければならないことも多くあります。

企業側のデメリット②:多様な人材を確保しにくい

企業側のデメリット2つ目は、多様な人材を確保しにくいことです。
終身雇用によって長く同じ会社で働き続ける従業員が増えると、徐々に会社の色に染まってしまい、多様性が生まれにくい状況や文化を作ってしまうことが考えられます。

また、終身雇用とよくセットにされる新卒一括採用がメインの場合、他業界、他社を経験したスキルや考え方を持った人材を獲得することができないため、更に多様性が生まれにくくなると考えられるでしょう。

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終身雇用従業員側のメリット

次に従業員側からみた終身雇用の2つのメリットについてご紹介していきます。

  • 雇用と収入の安定
  • 帰属意識や愛着が芽生える

従業員側のメリット①:雇用と収入の安定

従業員側のメリット1つ目は、雇用と収入の安定です。
終身雇用は定年までの雇用が保証されており、入社すれば定年まで給料が支払われ続け、雇用が確保されます。また、年功序列制度もある場合、勤続年数や年齢に応じて安定的に給与が上がっていきますので、従業員側からの大きなメリットとなるでしょう。

新型コロナウイルスのような社会情勢を大きく変えてしまう事象に直面しても、終身雇用を導入している企業で働くということは一定の安定(安心)があると考えられるでしょう。

cメリット②:帰属意識や愛着が芽生える

従業員側のメリット2つ目は、帰属意識や愛着などエンゲージメントが高まることです。
終身雇用を前提として収入と雇用が保証されている企業に対して、従業員は「この組織の一員である」という意識や企業に対する愛着が強く芽生えていきます。また、長期にわたって働いている中で自社の理念や考え方への理解も深まり徐々にこういった想いは強くなると考えられます。

終身雇用従業員側のデメリット

従業員側から見た終身雇用のデメリットについては、以下のようなことが考えられます。

  • 向上心が薄れがちになる
  • 入社歴が浅い時期に評価がされにくい

従業員側のデメリット①:向上心が薄れがちになる

従業員側の終身雇用のデメリット1つ目は、向上心が薄れがちになることです。
終身雇用制度によって雇用が保証されているという安心感から、スキルアップを図ろうとするといった向上心が薄れがちになります。「一定の成果がなくても、企業に在籍でき給与も上がる」という考えから、向上心・野心といった考えは生まれにくくなります。

従業員側のデメリット②:入社歴が浅い時期に評価がされにくい

従業員側の終身雇用のデメリット2つ目は、若手時代など入社歴が浅い時期に評価がされにくいことです。
終身雇用と年功序列によって若い世代の従業員は成果に対して評価がされにくく、待遇面や役職、責任のある仕事など希望するものが手に入れづらいことが考えられます。
場合によっては成果と評価のギャップに苦しみ転職を考えたりすることもあるでしょう。

終身雇用の今後を考える

「終身雇用は崩壊し、成果主義が必要」という考えが増えるなかで、伸び悩む日本経済による不安感から、終身雇用を支持する人も一定数いる状況が続いています。企業の成長を考え、成果主義で採用する企業があるなか、終身雇用を継続する企業もなくなることはないのではないでしょうか。

監修者情報

監修 | TalentX Lab.編集部
この記事は株式会社TalentXが運営するTalentX Lab.の編集部が監修しています。TalentX Lab.は株式会社TalentXが運営するタレントアクイジションを科学するメディアです。自社の採用戦略を設計し、転職潜在層から応募獲得、魅力付け、入社後活躍につなげるためのタレントアクイジション事例やノウハウを発信しています。記事内容にご質問などがございましたら、こちらよりご連絡ください。

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