世界的なスポーツブランドとして展開する株式会社ニューバランスジャパン様(以下、「ニューバランス」)。同社は、リファラル採用をカルチャーに共感する人材との接点を最大化し、組織を強化する仕組みとして推進しています。
今回は、執行役員 人事総務部 ディレクターの村上 儀明 氏に、同社のコアバリューが採用戦略にどのような影響を与えているのか、リファラル採用を特別な施策ではなく当たり前の仕組みとして浸透させるための考え方について、詳しくお伺いしました。

株式会社ニューバランスジャパン
・従業員 :420名(2025年6月1日時点)
・事業 :シューズ、アパレル、アクセサリーの輸入・企画・販売
・取材対象者:執行役員 人事総務部 ディレクター 村上 儀明 氏
最適な人材との出会いを逃さず、カルチャーフィットを生み出すリファラル採用

採用全体におけるリファラル採用の位置づけについて教えてください。
村上氏:
当社のような小売り店舗を持つ企業にとって、店舗スタッフの採用は常に重要なテーマです。年々、採用難易度が高まる中で、人材紹介サービス等を利用することが一般的ですが、それだけでは十分にリーチできない層が存在します。そうした中で、リファラル採用は既存の採用手法では出会えない優秀層との接点が持てる仕組みだと捉えています。
私自身、前職時代からリファラル採用を推進していますが、現場の採用で確実な成果を生み、組織を強くするための仕組みとして、導入しておくべきだと考えています。
リファラル採用を導入するメリットについてはどのようにお考えでしょうか。
村上氏:
リファラル採用は当社で働いている従業員からの紹介であるため、人柄やパフォーマンス、組織への親和性がある程度担保されているというメリットがあります。
自社のカルチャーを理解している従業員が一定スクリーニングをした上で紹介してくれるので、入社後のカルチャーギャップが少なく、早期離職のリスクを抑えられる点が人事として最大のメリットだと感じています。
リファラル採用において「カルチャーフィット」を重視されていますが、改めて貴社のカルチャーについて教えてください。
村上氏:
当社の全従業員が共通で大切にしているコアバリューには、3つの価値観があります。
- 「INTEGRITY」 誠実さ
- 「TEAM WORK」 チームワーク
- 「TOTAL CUSTOMER SATISFACTION」総合的な顧客満足の追求

これらは全て繋がっています。
例えば、「INTEGRITY」は嘘をつかない、真摯に接する、人によって態度を変えないといった誠実さを指します。そのような人柄であれば相手を尊重し、強固な「TEAM WORK」を築くことができます。そして、その志があれば、結果として「TOTAL CUSTOMER SATISFACTION」を実現できるという考え方です。
採用においてスキルや経験はもちろん重要ですが、どれほど優秀であっても「チームワークは不要」というスタンスの方は、当社のカルチャーにはフィットしません。だからこそ、コアバリューに共感できるかどうかが採用においても重要な軸なのです。
リファラル採用においてもこの価値観が共通の物差しとなり、従業員がカルチャーに共感した人たちを集めてくれることで、自然と同じ方向を向いた一体感のある組織がつくられていると考えています。
グローバルで一般的なリファラル採用を日本でも当たり前の文化に

リファラル採用を導入した際、社内の反応はいかがでしたか。
村上氏:
社内の熱量が劇的に跳ね上がったというよりは、リファラル採用自体が非常にナチュラルに受け入れられていると感じています。導入時に、リファラル採用制度を「NB Friends」と親しみやすい名前にして全社に展開しました。従業員からは「良い制度があるんだね」と、前向きな反応が多く見られました。
これには外資系企業という背景も影響しているかもしれません。
米国本社とのミーティングでも「リファラルで何人採用できたか?」という話題は日常的に出ますし、グローバル全体で戦略的な仕組みとして根付いています。
また当社では、新しい施策などに対し、まずは「ノー」ではなく「日本でもこうすればできそうだね」と前向きに適応させる思考が染み付いています。だからこそ、特別な障壁なく、ごく自然に浸透していったのだと思います。
「MyRefer(MyTalent Refer)」を運用する上で、特に意識されていることを教えてください。
村上氏:
採用という入り口以上に、長く活躍し続けてもらう「定着」を強く意識しています。日本のニューバランスは、本部も店舗も共通して定着率が非常に高いです。だからこそ「いかにして当社カルチャーや雰囲気に共感してくれる人材を獲得するか」が重要になります。
そのために、従業員が紹介する際の「最初の一歩」のハードルを下げる工夫をしています。店舗スタッフは日々の業務で忙しいため、定期的な社内ニュース配信によって自然にリファラル採用を想起できる状態を目指しています。今後は、休憩室にキャンペーンや紹介方法を記載したポップやシールを掲示するなどアナログな接点を活用することで、従業員が気軽に紹介できる環境を整える予定です。
今後、リファラル採用をどのように発展させていきたいですか。村上氏:
あえて「リファラル採用」という言葉を使わずとも、当たり前の習慣として社内に定着している状態を目指したいです。従業員一人ひとりの自社に対する想いが、特別な施策としてではなく、ごく自然な形で知人への紹介という行動になって現れている、それが理想の姿です。
最後に、従業員の方々にはどのような想いでリファラルをしてほしいとお考えですか。
村上氏:
従業員の皆さんには、リファラル採用を単なる採用活動ではなく、「自社をさらによくするための一歩」として捉えてほしいと思っています。
当社の最大の魅力は「人」であり、「お客様と一緒に物事を進める姿勢(カスタマーファースト)」です。
まずは、ニューバランスで楽しく働けそうな人がいたら気軽に紹介してほしいです。いきなりコアバリューを体現する人を探すとなるとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、当社の価値観に共感し、理解を示してくれる仲間に声をかけてもらえれば、それだけで嬉しいです。
ニューバランスをさらに魅力的な組織にしていくために、当社のコアバリューに共感してくれる仲間を誘って、ぜひ一緒に一歩踏み出しましょう。
<編集後記>
コアバリューを大切なカルチャーとして軸に持つニューバランスジャパン様。村上様の言葉からは、長年築き上げられてきた価値観の上に、リファラル採用が「ミスマッチを防ぎ、カルチャーに共感する人材を集めるフィルター」として自然に機能していることが伝わってきました。
誠実さやチームワークを重んじる姿勢が、従業員自身の声というフィルターを通すことで、大きな信頼として社外へと波及していく。リファラル採用は、現場主導で組織にフィットする人材を集め、持続的に企業価値を高めていくための採用戦略であることを再認識しました。
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