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2026.10.07更新

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成豊建設が「魅力の言語化」から始めたMVV策定―組織の目線をひとつにし、採用のミスマッチをなくす

創業60年以上の歴史を誇り、全国でトンネルや都市土木工事などを手掛ける成豊建設株式会社様(以下、「成豊建設」)も、まさにこの課題に直面していました。国内47都道府県の施工実績を持つ同社ですが、全国の現場作業所に分散する組織構造ゆえに、本社と現場での認識のギャップや、採用のミスマッチによる早期離職という課題を抱えていました。

成豊建設株式会社

・従業員 :社員148名、技術員466名
・事業内容:鉄道・道路の新設等に伴う各種トンネル工事、地下鉄・上下水道建設等
     のシールド工事、鉄道関連工事等の都市土木工事、災害復旧工事等
・取材対象:管理本部 副本部長 総務部長 夏坂 恭平 氏
     管理本部 総務部 人材育成室長 野﨑 大雅 氏

全国20以上の現場を抱える成豊建設が直面していた、「自社らしさ」を共通の言葉で語れないという課題

まずは貴社の事業内容や特徴について教えてください。夏坂氏:
当社は山岳トンネルの新設工事を主軸としております。その他にも、駅改良などの鉄道関連工事をはじめとした都市土木工事や災害復旧工事を手掛けており、これまでに国内47都道府県や海外を含めて1,100箇所以上のトンネル施工実績があります。組織としては全国に25もの作業所を構えており、管理側の社員(本社)と施工管理を行う社員と技術員(現場)に分かれています。2か月に一度は全国の所長が本社に集まり、経営陣と情報共有を行う場を設けており、そこで本社の方針を各現場に持ち帰って共有してもらうという仕組みです。

野﨑氏:
トンネルなどの大規模な工事は一人で成し遂げられる仕事ではないため、人と人とのつながりがとても濃いのが特徴です。現場の社員・技術員同士は非常に結束が強く、一人ひとりが人情味にあふれています。ともに汗を流しながら日々の作業に向き合う中で、着実に信頼関係を積み重ねていく文化が根付いています。

今回のプロジェクトに取り組む前に抱えられていた課題について教えてください。夏坂氏:
実は本プロジェクトを始める前に、独自に「従業員満足度調査」を実施していました。その結果、「経営の考えていることが現場に伝わっていない」「現場の思いが経営陣に届いていない」という経営と現場のコミュニケーションギャップがあることがわかりました。背景には、現場ごとに所長の裁量が大きく、独自の風土や強みがある一方で、会社全体として「成豊建設らしさとは何か」を一言で表す明確な言葉がなかったことが影響していると考えています。本社からのメッセージも、現場の所長を挟むことで解釈にタイムラグやズレが生じるなど、共通の言葉で足並みをそろえる仕組みが十分でなかったことも課題の一つでした。

野﨑氏:
採用活動におけるミスマッチと早期離職も大きな課題でした。これまで候補者に対しては、「宿舎費や水道光熱費が会社負担」といった待遇面をアピールすることが多くありました。その結果、条件面だけで入社した社員が、厳しい現場環境や人間関係に直面した際に「何のためにここで働くのか」という踏ん張る理由を見出せず、離職してしまうケースもありました。

夏坂氏:
条件や待遇はあくまで付加価値であって、私たちが本質的に提供している価値や仕事の魅力にはつながらないと考えています。しかし、それを自社の中でうまく言語化できない状態が続いていました。だからこそ、MVVという形で明文化する必要がありました。

野﨑氏:
また、現場からは「頑張った先に何があるのかが見えない」という声もありました。まずは私たちが何を大切にし、どこを目指しているのかを言葉にして示す必要があると考え、MVVの策定に着手することにしました。

「魅力の言語化」から始めたMVV策定―TalentXを伴走パートナーに、現場と経営の声をもとに進めたプロジェクトを実行した理由

数あるコンサルティング会社の中で、なぜTalentXの伴走支援(RXO)を選ばれたのでしょうか。野﨑氏:
打ち合わせの中でTalentXさんが、当社の歴史や技術力、まだ言葉になっていなかった強みを短時間の対話でパッと見抜き、「成豊建設様にはこんな素晴らしい魅力がありますよ」と提示してくださったんです。こうした客観的な視点で当社の魅力を言語化してもらえたことで、「この会社になら任せられる」と確信しました。加えて、いきなり抽象的な「MVV策定」から入るのではなく、まずは「当社で働く魅力の言語化」という具体的なステップから段階を踏んで進めようと提案してくれたことも、大きな決め手になりました。

実際の策定プロセスはどのように進められたのでしょうか。夏坂氏:
まず、「魅力の言語化」のステップとして、事前に実施した社員インタビューから挙がった魅力がどの程度全社的に実感されているかを測るため、全社員を対象に「成豊建設で働く魅力をどれくらい実感しているか」を尋ねるアンケートを実施しました。その結果、経営陣やベテラン・若手、或いは現場と本社、担当業務の違いなどによって、自社の魅力や課題に対する認識に大きなギャップがあることが可視化されました。こうした経緯から、MVV策定をスタートした際には、本社と現場、事務系と施工系、トンネル系と都市土木系など、特定の部署に偏らないようプロジェクトチームを結成し、「成豊建設らしさ」をテーマに議論を進めていきました。

野﨑氏:
いきなりMVVの策定から始めていたら、その必要性や重要性を全員が感じることはできなかったと思います。最初に「魅力の言語化」というステップを踏んで社内アンケートを実施し、そのギャップが見えてきたことで、歴の長い社員や経営陣からも「そういう課題を俺も感じていたんだよ」という声が少しずつ上がるようになりました。段階を踏んだからこそ、「MVVをつくるべきだ」という空気に変わっていったのです。

新しい価値観を定義するにあたって、社内の不安や葛藤はありましたか。野﨑氏:
経営陣やベテランを中心に、「これまで会社が大切にしてきた社是や歴史を否定されるのではないか」といった、変わってしまうことへの漠然とした不安もありました。

夏坂氏:
そこで私たちは、「今ある良いものを否定して変えるのではなく、大切にしてきた想いを次の世代に引き継ぐために言葉を整理するんだ」というメッセージを根気強く伝え続けました。上から言われたからやるのではなく、自社の未来のために私たちが主体となって動くという当事者意識を持ってもらうコミュニケーションを意識しました。

また、社内の人間だけで現場の本音を経営陣に伝えると、客観性がなく角が立つ懸念もありました。TalentXさんが「現場からこういう意見が出ています」と、客観的な第三者として意見を提案してくれた結果、本質的な対話に立ち戻ることができたと感じています。

私たちだけでは進行が途中で迷走してしまうことも不安要素でしたが、TalentXさんがプロジェクトの枠組みをしっかりとつくって走ってくれたからこそ、最後までやり切ることができました。第三者として本音を可視化してくれただけでなく、進め方そのものを設計し、最後まで並走してくれたことが、伴走支援で一番有難かった部分です。

(出典:成豊建設株式会社「社是・経営理念・MVV」より)

建設業界で働く「誇り」を持てるように―MVVに込めた未来への願い

MVVが完成したことで、社内にどのような変化や手応えが生まれていますか。夏坂氏:
採用活動における発言の「軸」ができたことが最大の成果です。これまでは待遇面の話に偏りがちでしたが、「成豊建設はどのような会社で、何を大切にしているのか」を、誰が面接に出ても同じ言葉と熱量で語れるようになりました。理念に共感した上で入社してもらう土台ができたことで、入社後のミスマッチ防止につながっていくことを期待しています。

野﨑氏:
社員からも「会社の動き」に対する関心や要望が増えてきました。本格的な社内浸透や経営計画への反映はこれからですが、組織が同じ方向を向き始めた実感があります。

最後に、今回策定したMVVを通じて、今後どのような組織を目指していきたいか展望をお聞かせください。夏坂氏:
私たちのような建設業界の仕事は、厳しい環境下で行われ、泥臭く、危険も伴います。今日明日で終わるものではなく、現場の仲間と汗をかき、泥だらけになりながら信頼関係を築いていく高度な仕事です。だからこそ、個人の想いとしては、社員・技術員には自分たちの仕事に強い「誇り」を持ってほしいと考えています。給与や休日といった条件だけで選ぶのではなく、「だからこそ自分たちがやるんだ」という強い信念と熱い想いでつながる会社でありたいと思っています。今回完成したMVVが、社員一人ひとりが自らの仕事に自信を持ち、互いに感謝し合える組織づくりの道しるべになると信じています。

<編集後記>

今回の成豊建設様の事例では、抽象度の高い「MVV策定」をいきなり目指すのではなく、まずは「自社の本来の魅力を可視化・言語化する」というステップを踏んだことが成功の鍵となりました。自社の強みを一貫した言葉で語れる「共通の軸」ができることは、インナーブランディングの効果にとどまりません。会社が発信するメッセージの質が高まることで、カルチャーフィットした人材の定着や活躍が見込めるようになり、「タレントアクイジション(戦略的な優秀人材の獲得)」へと近づくのです。

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資料ダウンロード:https://i-myrefer.jp/corp/download/346/input

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